第78話「武者斬姫 参」前編(改訂版)
第三十八話「
「”
自家の紋章を施した華麗な白いマント姿の男は、部下の言葉を不機嫌そうに確認する。
「はい、今回の臨時招集はそう言う内容になるかと、確かな筋からの情報です」
目の前で不機嫌そうに椅子の肘掛けに頬杖を着いた男、尊大な態度の主人に答える家臣は、小太りで頭髪にチラホラと白髪の交じった、やや
「……対象は”
「!」
その尊大な主、
「
「そ、それは……」
主君の言葉に
「子女である
「で、ですが、
「
「そ、それは確かに……殿下は
「学友?……ふっ、別に
「それよりも
「いえ、去年には本科の全課程も修了されたそうです。それも他者を全く寄せ付けないほどの成績を残し、その年の首席で……」
「……ほぅ」
因みに”予科”とは通常教科に基本の政治学などを含めた課程で、通常は高校までで習得し、”本科”とは更に高度な政治学や戦術論、軍政学、戦史などの高度な学問を指し、通常は大学、大学院で修学する項目に相当する。
「やはり俺の対抗馬を用意するなら
「はい、母君は”
「だったな……なら俺の推測は先ず間違い無いだろう。
そう言い放った
「あの裏工作に長けた
「むむぅ……で、では殿下!?」
「ふっ……」
主君の説明で事態を完全に把握した中年家臣、
「殿下、殿下はどのように……」
――コンコンッ!
その場に渇いたノック音が響き、続いて一人の剣士が入ってくる。
「……あ、
長めの黒髪を雑に纏め、鋭い眼光を宿した男。
「主よ、ご命令通り”
「っ?」
「そうか……で、
しかし
「そうか」
「で、殿下、
短いやり取りをする主君と剣士に、遂に耐えかねた
「ああ、”
「っ!!」
その答えに
確かにその話は聞いている……が!
”
その
「し、しかし……殿下はそれを拒否し続けていたのでは?」
「ああ、だがな、”
そういう
抜け殻のような彼女は既に
「し、しかし、一度庇護下に置いておいてそれは仁義に……」
納得がいかないという顔の
「当面の敵たる”
「殿下?」
「”
目の前の尊大な主君には、本州西の大国”
だとしたら、それは何という行動力、何という自信。
「なんと、そんな先のことまで……」
「戦略とはそう言うものだ。とはいえ、あの女は武人としては正直、期待外れだったが、女としてはそれなりに情も交わした。俺とて思うところが無いわけで無いが……これも戦国の世の常だ」
言葉の通り、
英雄色を好むと言うが、
「
――なんと言うことだろう
――この御仁は……国の重鎮が揃う場で、現在最も勢いがあると思われる、
用意周到というより臨機応変……
非情というより無情……
仕えて久しいが改めて思い知る主君の器の大きさに、中年家臣、
第三十八話「
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