第70話「一騎当千」前編(改訂版)
第三十話「一騎当千」前編
「うぉぉっ!退け、退けぇぇーー!」
ズザザザザァァーーーー!
戦場に
ドドドドドドドッ!!
出来上がったばかりの一本道を、
「な、なんだっ!?」
「うわっ!」
「い、
ドドドドドドドッ!!
「……」
真っ二つに裂けた敵軍の
「うぉっ!?なっ?なっ!!ひぃぃっーー!!」
一応、右手に剣を
しかし予想を遙かに超える”閃光将軍”の突破力に、
結果だけから言えば……無理矢理に陣形前方に押しやられていた
ダダダッ!ダダダッ!
馬を駆り迫る
「き、貴様らぁっ!
状況に十分納得していない状態で、数日前まで敵であった
そんな理不尽な状況の中でも、隊長である
実際、ここまでの戦いは
元は同じ
お互いに混乱状態で、未だ割り切れない二つの軍は無意識に精彩を欠き、ダラダラと茶番に時間を費やす事になった。
――それに
――殲滅将軍、
見目麗しきプラチナブロンドの美少女は、戦場にあっては屈指の剣士!
その
「退け、退けぇぇー!!でないと首と胴体が生きたまま離れる事になるぞぉっ!!」
この時、一千の
彼は目を血走らせて叫び、
ダダダッ!ダダダッ!
「……」
いや、
戦場における”
そして、
「うわっ!」
「ぎゃっ!」
「ぐはっ!」
すれ違い様の一瞬で、見えない刃ともいえる閃光に雑に薙ぎ払われて……
「ぎゃあっ!」
「がはぁぁっ!」
「ひぃぃっ!」
白金の閃光が通った直後に、爆竹が弾けるが如く連続で首が宙を舞った。
「わぁぁーー!」
ザシュ!
「たすけ……ば、ばけものぉぉっ!!」
ズバァッ!
ダダダッ!ダダダッ!
「……」
美しき
ザシュ!
「あ、
「ちぃ!この……役立たず共め!」
そして
「あ、
「ま、
部下を捨て置き、一目散に逃げる大将に
「ぎゃぁぁっ!!」
「ひぃぃっ!」
秩序の欠片も無い、回避でも後退でも無い、闇雲なる逃走……
両軍が実際に槍を交えて数刻も経たずに――
数に勝るはずの
――
―
「…………」
「個の武勇は時として倍する兵を凌駕する、忠告はしただろうに」
――”一騎当千”……只独りにて千もの兵士に匹敵する武勇!
――そんなものは比喩だ、戦場では実際にそんな
そう言う者も居るだろう。
しかし……
希ではあるが、百人に匹敵する武勇を誇る英傑は存在する。
そして戦場において、
――”百人分の武力を所持する個人”と、”百人の兵士”の武力は同列では無い
――百対百
単純な数字比べでは同戦力であるが、個と集団ではその運用も効果も全く別物だ。
たとえば、一人に同時に斬りかかれるのは精々三人から五人で、百の武力を持つ豪傑に五人程度で勝てる道理が無い。
たとえば、百人の兵を手足の如く扱い、一矢も乱れぬ運用を行うのは至難の業だが、それが個人なら造作も無い。
なんといっても
統率力、判断力、機動力、等々……
傑出した武勇は脅威であり、なによりそんな化け物が戦場に存在するという事象は、味方に与える希望という士気上昇と、敵を蝕む恐怖心による士気低下という、甚大な影響を及ぼす事だろう。
「なればこそ、百の兵力と同等の英傑は千の兵に匹敵する……ましてや
「惜しむらくは、それでも尚、寡兵である上に、この地の利を理解していないと言うことか……」
――
ウォォォォッッーーーー!!
ワァァァァッッーーーー!!
直後、大軍による叫び声が辺りに響き、槍や剣を打ち鳴らす金属音がその場の大気を震わせる!
騒音の正体は勿論、軍隊だ。
それが、主力の
編成は――
突出しすぎた
「一騎当千……確かに脅威だが、戦場での主役はあくまで集団戦だ。決着を急ぐ余り、個の武勇に傾倒しすぎたのが
第三十話「一騎当千」前編 END
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