第69話「僻地の梟」(改訂版)
第二十九話「僻地の
「おぉぅ!この兵士の数々……勝機が見えてきたとあって流石に
「これだけあれば今日にでも
緩む口元を
「確かにな……未だ征服者たる
「…………」
そして更にもう一人……
先の二人に比べて年若い青年は応じずに、テーブル上の戦略地図に視線をやっていた。
――姓名は、
黒髪を尻尾のように後ろで結わえた、スッキリした顔立ちの青年だ。
「ふんっ」
――ここ数日で
数日前、乗っ取った
――
よって、二将の目論見は、防衛するにより有利な堅城、
「…………」
「やはり
「先ずは一番近い”
ガタンッ!
「っ!?」
多少浮ついた感じで事を進めようとする
「…………」
――先ずその駒を眺め
――次いでその駒が置かれた軍議用テーブルの
「……」
――そして最後に、その駒をこれ見よがしに自分の前に置いて、自分の高揚する気分に水を差した男を睨む!
「……なにか?
――こんな程度の若造が、
自身よりも優に一回り以上年若い男の顔を睨みつけて、
「……いや、貴公の案に一つ、二つ異議があるだけだ」
しかし当の年若い指揮官は威嚇する猛者の眼光にも全く臆する感じも無い。
「なんだと?」
更にドスの利いた声と顔で、若い男の顔を睨み上げる
「
因みに
このまま
再び揺れる
「グダグダと理由を並べているが、実際は臆病風に吹かれたか?それとも古巣に弓を向けるのが今更怖くなったか、
そんな
――裏切り者風情が何を偉そうに
「……戦の道理を説いたまでだ。
だが、
「
「
「ぬっ!か、勝てばよいのだ!!臆病者め、屁理屈を並べるだけの
口論で全く歯がたたない
「…………」
普段と変わらぬ表情で座したまま、普段と変わらぬ表情で自身を見下ろす猛々しい武将を見上げている。
「ぬぅぅっ!!」
一度は敗戦し、支配された
その為には目前の男……
つまり、
――この反乱成功には、あらゆる意味で
だがそれでも……
「ぐっぬぅぅ!!」
息子ほど年が違う若造が!と軽んじていた。
「戦の”いろは”も知らぬ若造が……!」
赤ら顔で睨み付ける
「そうか、なら、やりたければやればいい。だが、斥候からの情報だと直前に迫っている
「っ!!」
一転して”しれっ”とそう言う
「く、
――閃光の如き光の剣で
――”
「う、うぬぅぅ……」
勇ましく立ち上がったままの男の無骨な顔面を、一筋の汗がゆっくりと流れ落ちた。
――
「そう、角を突き合わす事もあるまい……
暫らくその様子を見守っていた老将が、慌てる様子も無く仲裁に入る。
特徴的な刀傷が眉間に刻まれた痩せぽっちの老将だ。
「……」
「ぬ、
――
「とはいえ、攻めて来るとなれば対応は必要だろうて……
「う……むっ!いや……
兵数は三千対千……
しかし、
「ふはっ!大丈夫だて、兵力は三倍であるし、城から後方支援も行う……そうそう、三千の兵の内、一千は
そして続けて老将は”しれっ”とそう言ってのける。
「…………いや、無い」
チラリと二人に視線を向けられた青年はそう答えた。
この場合、当然、
「
”してやったり”と言わんばかりの顔で、ニヤリと
「お……応っ!」
さっさと仕切る
――
―
「ど、どういうことだっ!
「いや、そのままであるが?」
「ぬ、ぬぅぅ!!」
部屋を出たところで直ぐに老将へと食ってかかる
「お主?まさかとは思うが……
「な、なにを!?……ははっ、いや、腕が鳴るのぉ!ワハハッ!」
「…………」
明らかに図星を突かれた男は、それを下手な誤魔化し笑いでやり過ごす。
「し、しかし
そして、どう見ても誤魔化し切れていない状況の中、
「うむ……この”
老将、
「なるほど……
「
――それでは己に危険ばかりが増すだけで益が全く無い
――
”それ”に終始していた。
「どちらにしろ、元は
そして
「ふふ、なるほど……我が
「……」
――なんとも
――だが武勇はある
老将は内心ほくそ笑む。
それは、自分たちに利用される元
それとも、”駒”の如く使われていることに気づかない目の前の男に対してか……
「ははははっ!しかし
「ふはははっ!
――潰し合えぃ!元
そして、
未だ故国の再興をなどという、愚かな夢を見る
「ふはははははぁぁぁぁ」
自分以外、全てを出し抜いて老将は笑いが止まらない。
――この地を征するのは”四十八家”等という過去の遺物では無い
――無論、
――
――
本州中央で”
独立小国群、
第二十九話「僻地の
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