第67話「釣り合わない条件」(改訂版)
第二十七話「釣り合わない条件」
――
女性としては高めの身長と
俺の所領である”
深紅の弓を用いた戦闘
両手に愛用の
「ワタシが代表を続ける理由?…………一番能力のある者が責任を持つ、それだけよ」
在る時に戦場で、俺がなんと言うこと無くした質問に対する彼女の答えだ。
そして、それから何年か後……
「
「いない?領主も兄もいると聞いたぞ」
「領主?ああ、親父と兄貴らか?あれは駄目だ、語るに値せん!どんな話を持ち込まれても日和見主義というか優柔不断で何度も領国を滅ぼしかけたと聞くな」
「……」
――日和見主義?
――違うな……
大国”
たった一つの選択ミス、至らぬ判断で国が滅び領民は生活基盤、ヘタをすると命を失う。
その重責から逃れたいが為の優柔不断、日和見主義……
彼らは、只単に領主として、自身が生まれ持った運命から逃げ出しただけだ。
「……」
――だから……か
”一番能力のある者が責任を持つ、それだけよ”
俺が知りうる情報では、それまで……
14までは
家中の誰もが”
思えば――
盟主国である
――全ては
――はは、どこがだ?……彼女は……
――他の誰よりも”領主”を全うしているじゃないか!
俺はそれらを知った……
そして
終始に
誰よりも……そう、実は俺が知る誰よりも真面目な……
つまり
――”
――
―
「若……本当にお一人で敵中に行かれるのか?出来うるならこの老体も……」
俺がいつも愛用している簡易的な鎧を外して”一騎打ち”の準備を整えている最中、何度も
「何度も言っただろ?
「ぬぅ……」
老将は話の内容はそうでは無いと、不機嫌な顔を俺に返すが……
「あれは俺が不利でしか無い条件を突きつけたから
「し、しかし”20秒”とは……敵中にて、そんな露程の時間では、若自身が逃げ帰る事も
「お、王様、宜しいですか?……ち、調査の結果、王様が
オレの横で納得とは程遠い仏頂面をする
「そうか……急で悪かったが流石、
人物の名は
我が
「い、いえ滅相も無いです……ですが少し深いので、その……き、気を付けてく、ください……」
とはいえ、”可愛らしい”といっても俺よりも結構年上だ。
見た目では判断しづらいが、彼女は確か
「承知している、それより……」
俺は
そして、同時進行で
その際、”
「は、はい、なんでしょう……か?」
俺の言葉に
俺は丁度良かったので、一騎打ちの準備をする僅かな時間の間に、
しかし、俺の彼女への依頼はまだ続きがあった。
「ああ、それと……俺の方の事が済んだら後を頼みたい。これは”
「わ、わかりました……です!……せ、精一杯頑張ります!」
俺の顔を見て、
彼女は
「……」
――いつも一生懸命なのは良いが……少し疲れるなぁ
俺は苦笑いを返しつつも、再び隣で難しい顔をしたままの我が
「
俺は
「しかし……20秒とは……」
俺が負ければ開城する。
俺が勝っても
どう見ても釣り合わない条件だ。
つまりその間にも俺達、城門守備軍に休息を与えない為だ。
その間に守備兵の士気をできうる限り落とそうと、
あわよくば、そのままこの東城門を落としにかかる算段かもしれない。
だから、
勝てばこの場の指揮官の俺まで虜囚に出来き、開城された城に労せず入城できる。
――つまり本隊の援軍を待たずして一番楽に当初の目的を達成できる!!
また、俺が負けたにも
仮に
たった20秒間、俺の行動を見過ごすだけ。
そんな僅かな時間で逃げ切れない俺は、改めて捕らえられて
一見、どう考えても
――だからこそ乗ってきた
「
「……ぬぅ?」
俺の質問に豪胆な老将は傷に埋まった眉を寄せる。
「精々……150から200メートル程か」
そうだ……そんなものだろう。
そして、それでは城に戻ることはおろか、上手くしても城門前までが限界。
まして
「若っ!矢張りここはこの
無茶が過ぎる行動に、
「わ、若っ!?」
俺はその老将を鬱陶し気に右手を上げて制していた。
「まぁな、なんとかなるさ……それより
「っ!?」
気を揉む老将に答えらしい答えを返さないで、更なる困難を言いつける俺。
「…………」
「…………」
俺と父のような存在の老将は――
暫く無言で視線を交わす。
「…………どう……あってもやり遂げる顔ですな」
「……まぁな」
――さすが
そして俺の前に、
ブルルゥッ!
張りのある
「お前は……確か”
ヒヒィィーン!
返事のように馬が
「はは……”
俺は
「最早、言いますまい……若、ご武運を!」
「あ、あの頑張ってください……お、王様っ」
カコッ、カコッ……
二人に見送られ俺は城門に向かう。
「…………」
――日はまだ高い……”
長い一日を予測しつつ、俺は巨大な鉄扉越しに敵が
ガコンッ!!
数人がかりの兵士がゴツい留め金を外し――
ギ……ギギ……ギィィィーーーー
厚い厚い大扉がゆっくりと降りて――
ガッガァァーーン!
濛々と舞う砂埃を伴って天下の堅城、
――
ヒヒィィーーン!!
躊躇など微塵も無い!
視界が開けたと同時に俺は”
「軽く
そう言葉を残し、俺の駆る馬は一気に開いた城門の先へと風を切ったのだった。
第二十七話「釣り合わない条件」END
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