第64話「裏切りの代償」(改訂版)
第二十四話「裏切りの代償」
「本当に勝算は在るのだろうな!?その策を成功させる根拠は在るのだろうなっ!?」
そして程なく、
「
しかし、その流れに抗う者も確かに居る。
「
片方の男が焦りも露わにもう一人の男にせっつく。
「そう取り乱すな、
歩きながらも、その男に取りすがられる男は……
「手筈?それは……」
「”
眉間に刀傷の老将は、呆れ顔で溜息混じりに足を止める。
「
「…………」
安堵の表情を浮かべたのもつかの間、直ぐに新たな疑問をせっついてくる男に、眉間に刀傷のある
”
「”
「な、なんと……くっ……」
「…………」
「なに、問題は無い。貴殿も
「し、しかし……なんと愚かな……
見る見るうちに色を無くす
「”
自信たっぷりに笑う痩せぽっちの老将に、
「いや……しかし、”
「なに、問題ない。我らの蜂起には既に”
「しかしっ!我らのみでは……
どれだけ言葉を尽くしても不安を払拭できない
「
一喝する!
「っ!!」
老将の突然の一喝に
「いや、
老将、
「??」
驚いたままの表情の
「この挙兵の後ろ盾は”
「……?」
そして老将の……
「”
「なっ!!」
まさかの名前……
まさかの人物の名前に……
「ハァッハッハッハァーー!!どうだ?
「し……かし、それは
それは
「なんにせよ、この”
「そ、それは……たしかに」
退路を断たれた状況で、
「ふはは、いい加減に覚悟を決められい、
締めとばかりにそう言い、眉間に刀傷のある不敵な老将、
――
―
――”
その報は直ぐに”
「お待ちください、
純白の佳人と称される名刀”
城漆の鞘が美しい刀を手に、プラチナブロンドの髪が美しい少女がその場を発とうとしていた。
「…………なに?」
少女は短く応えて、不機嫌そうに振り向く。
腰まである輝くプラチナブロンドをひとつの三つ編みにまとめて肩から垂らした美少女は、それと同色で大きめの瞳を、自分に
「……え……と、このまま”
彼女の臨時副官を務める
不謹慎だと思いながらも、思わずドギマギと心臓を跳ねさせながら、少女の直情的な行動を
「…………さいかの敵は討つ……それだけ」
白磁のようなきめ細かい白い肌。
彼女の整った輪郭と、それに応じる以上の美しい
白い肌を少し紅葉させた頬と控えめな桜色の唇と……
「で、ですから、先ずは敵の陣容を詳しく……」
「”
「!?」
他人に興味の薄いこの少女……
感情表現が少しばかり乏しいこの美少女が
自身が担当する戦場では無い敵将の名前をこうも覚えているとは……
「さいかの邪魔をする者は斬る……それだけ」
もう一度そう言って、彼女はまたも背を向けて歩き出そうと――
「ま、待って下さい!
「…………」
そしてまたも呼び止められ、あからさまに不満そうな顔で、プラチナに輝く髪を揺らせて立ち止まった。
――これか……つまり
その顔を見て、
「あ、あの……つまりですね、それはまだ全容では無いはずです。これだけ周到な相手なら他に裏で糸を引く輩があるやもしれません、今暫くはこの”
「…………」
「
それ故に
「さいかが?……うん、そういえば……さいかなら……」
それを受け、プラチナの美少女は何やらブツブツと呟き考え込んでしまった。
「…………解った、
そしてようやく考えが
「ふぅ……しかし」
「
あれだけ食べてどうやってあの完璧なプロポーションを維持しているのか?
自身の仕事を進めるため、彼自身も忙しなくその場を後にするのだった。
――
―
――だが、それから半日も経ずに……
状況は、急展開を迎えたのだ。
「ほ、報告致します!依然”
「
「……」
それを聞く
報告する
「み、自らが治める領土を顧みず、議の無い戦に介入する鈴原
「この機に乗じて
衝撃の出来事に、ショックのあまり声が震えて言葉が出てこない
そこに居合わせた坊主、
そして、その報告を”
「…………」
その衝撃的な報告を、美しい容姿をイチミリも変える事無く聞いていた。
だが、
――あの
――他の誰が離反しようとも、鈴原
それはこの場に居る誰もが思いもよらなかった凶事、”青天の
「まぁ、あれですなぁ……正しい進言をしたにも
――っ!!
空気を読まない生臭坊主の言に、その場の兵士達が
「貴様に何が解るっ!!この
「
とは言えなくても、遠からずだろう。
だから半ばそれは最早、八つ当たりだと自覚していても、
長く
「これは失敬……とはいえ、主君が理に沿わぬ事を選択し、自身の意見、ひいては存在そのものを軽んじたとあっては……」
首元に大きな数珠を幾重にも巻いた坊主はいつも通り、通常の倍はあろうかという酒壺を肩に抱えた格好で、自身が作り出した殺気立つ空気の中でも平然と続ける。
「
言葉を震わせながらも、
「…………真面目故に起こる悲劇もあるであろうに、」
「か、
ああ言えばこう言う、遂に
――ヒュン!シュバッ!
「なっ!?」
「お、おぉ……!」
副官と坊主はその一閃に目を見開く。
ズッズズ…………ガシャン!!
そして、その光の軌跡が消失して一呼吸後、
中央に鎮座してあった玉座の背もたれが斜めにスライドして、上半分が石床に落ちた。
「…………」
「…………」
そこにいた将兵達も一瞬で言葉を無くして立ち尽くす。
「お、おぉ……なんと刹那で鋭利な、
「……
そして、
「…………」
最早”ひと”が御することができるとは思えないくらいの覇気を
――細みの刀身に
――零れ入る光を
真に映える見目麗しき純白の佳人と称えられる氷の刃を抜き身に下げた美少女。
いや、”抜き身”なのはそのプラチナブロンドの美少女自身も同様だろう。
「斬るわ……それだけ」
そして幾万の星の大河を内包したプラチナの
第二十四話「裏切りの代償」END
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