第63話「籠城戦」(改訂版)
第二十三話「
「……」
俺の鼻先にはキラリと凶暴な光を宿す切っ先が
「どういう事だ
怒声と共に女のつり上がった左目がギラリと光りを放ち、俺の隣から少し下がった位置に控える
鋭い眼光の左目、そして右目は……
革製の大きな眼帯……といえるのか?
右顔半分をも覆う程の、最早”仮面”と言えるほどの革製眼帯を装着した、奇抜な風体の
「
殺気立った空気も一向に気にせずに、ニコニコとした笑みを浮かべたまま、本人がこそばゆくなる様な賛辞を並べて同僚を諭す
「
――いかがわしい……俺って他国ではそんな風に思われてるのか?
「おいおい、俺はだな……」
巨大眼帯の女士官が放った言葉に、俺は多少引っかかって不満顔で反論を試みようとしたが……
その瞬間!
女士官、
ギィィン!
俺の喉元に伸びる切っ先を、いつの間にかに直ぐ隣で抜刀した
――うわっあぶなっ!……てか、鼻の頭を
「ここに至っても邪魔立てするか!
「まさか、貴女に単騎戦で勝てるとは思っていないわ……けどね、
――うぉ!?
俺の隣で短刀の柄を両手で握り、相手の剣先を
「……」
「……」
睨み合う二人の女。
”
「お、おいおい……そう殺気立つなって、人には会話が必要だぞ」
俺は女二人のただならぬ殺気に晒され、思わず仲裁をしていた。
――てか、なんで俺が……
どっちかというと”
「これは……失礼致しました、
そう応えて
「おぉ……」
――そんなところに入るのか!?……いや、なんていうか興味深い
「……ちっ!」
シャラン!
そしてその立派な胸元を思わず凝視していた俺に、明らかに面白くないという視線を突き刺した眼帯の女……
「と、ともかくだ、えっと、
だからこうして結論だけをせっかちに求めたわけだが……
「それを信じろと?先の
「……」
――だろうなぁ……正常な反応だ
「
――そう、
「むぅ……だが……」
――なるほど……多分、これは頭で理解していても感情的な部分で割り切れていないって顔だ
「
「ちょっ!ちょっと待て!私は……確かに姫様は何故かこの鈴原
平然と笑顔を絶やさず続ける
――恐ろしいほどの会話スキルだ……
中々に得体の知れない七山 七子を眺めながらも、俺もそれに乗ることにする。
「なんなら、
せっかく休んだ
「………………姫様は……お休みになったのか?」
俺の顔をジッと睨みながらも、
「ああ、あの疲れようなら今頃はもう夢の中の住人だろう」
俺は正直に答える。
「…………ならいい、了承した」
そして
――なるほど
なら同じ人物を気遣う者通し、俺達は上手くやれる。
俺は”
「なら、話は早い。俺はこれから”ちょっとした変装”と、もうひとつばかり所用があるから……お前等は先に司令部に行って他のメンバーを集めておいてくれ」
「変装だと?」
俺の言葉の一部を捉え、怪訝な顔をする
「畏まりました、
察しの良い
「ああ、ちょっとな……報告にあった”アレ”に会ってから行く」
俺はそれだけ言うと、既に二人の”
――多分な……今後、鍵を握るのは”アレ”との交渉だ……
――それなくしてはこの戦いは……
――
―
「
――!?
暫く目を瞑っていた俺は、その声に閉じていた
「…………」
「
そうだった……
俺は、”
「早いな、流石、
俺は
コトリ、コトリ……
そして盤上のクリスタル製の駒をいくつかを動かした。
――ロイ・デ・シュヴァリエ
「よし、これで最前線から
この
さらにその左右に展開していた各”伏兵部隊”に向かわせた
この戦場での情報系統の背骨は……
つまり、センターラインを知謀と情報戦に精通した人材で通したことにより、この戦の指揮系統は最短で統一され、
さっき俺は落ち込む
俺はこの
だからこそ、”より詳細な情報”を”より正確”に、逐次更新されゆく状況を把握する必要がある。
その為に
「この地を知り尽くし、尚且つ優秀な
そう言った俺に、
「
――動物好き?
――意外な……でもないか
「後は、後方の対
そして彼女は直ぐに表情を引き締めて報告を続ける。
――
「ああ、それは未だ詳細不明か……確かそこは」
「はい、
「……」
――
「申し訳ありません、情報部隊を増援して対応はしておりますが、詳細な状況報告は今暫しお待ちを……」
「いや、仕方無いだろう。少し前に届いた斥候の報告ではかなりの激戦らしいからな、混戦で情報が
俺の言葉に
「……兎にも角にも
その時、俺の意識は確実に正面の敵、大同盟の要たる男に向いていた。
そしてそれは……
この
”
後に云う”
第二十三話「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます