第39話「雪白と新しい名前」前編(改訂版)
↓久鷹 雪白のイラストです↓
https://kakuyomu.jp/users/hirosukehoo/news/1177354054892613273
第三十九話「
「
包帯男はそう言いながらも、チラリチラリとあからさまに俺と
「それで?」
俺はそんな奇人の態度を受け流して先を問うた。
「ですからぁ、どうやらぁ、そもそもこの寝返りを仕掛けた
――”
――しかし、
「……ですにゃ、だから、
俺の表情から考えを読んだ包帯男は説明を更に進める。
「……つまり、近隣に名を轟かす烈将、”
そして負けじと言う訳では無いが、献上されるその”ご馳走”とやらを言い当ててみる。
「ピンポーンピンポーン!!大正解!ボーナスポイント五百万点で
出鱈目な台詞とウンウンとオーバーリアクションで頷きながら、はしゃぐ包帯男……
「確かな情報か?」
しかし俺は無視をして情報のみを問い糾す。
「ウホッ?」
「……」
終始巫山戯た
この情報の真偽如何によっては、この包帯男の生死を判断するくらいに。
「本当で……がすよ、
「……」
――急に真面目な口調になりやがって……
とはいえ、俺の冷ややかな視線にビビった訳ではないだろう。
――
俺は何故か初対面のはずの奇妙な包帯男に対し、感じたことの無いくらいの
――妙だ、前にどこかで?……いや違うな……この”
目前の人物が俺の中で、頭の片隅で……
情報と記憶が繋がりそうで繋がらない、この感覚……
「情報は保証しますでがすよ、ええ、この?……この?……おお!この首をかけてぇぇ?」
包帯男はペタペタと首や頭を触っては、布の間から露出した両の眼をクリクリと光らせていた。
何の意味があるのか、トコトン趣味の悪い
「……」
――とはいえ、
――本州中央北部の宗教国家”
「
俺は理解出来ない自身の中の違和感は取りあえず捨て置き、話を進める。
「いえいえいーえ!そんな
ニヤニヤと細めた二つの眼で俺の質問に巫山戯た口調で正確に答える
「ちっ……」
調子が一々狂う相手に、俺はペースを握られがちで面白くない。
「
”
その名の通り七体の神を主神に崇める宗教だが、中心的な役割は”
宗教国家ではあるが、元々は他信仰に口出しすることも無く自国防衛以外に武力行使することも無かったが、近年は隣接国に対し積極的に侵略行為を繰り返している。
そして、その元凶とも言われるのが”
――現在の”
――その少女を
――成る程、我が
「確認はすみましたでがしょうか?
――!?
なんてタイミングだ。
まるで俺の頭の中での整理がつくのを待っていたかのような計ったようなタイミング。
「どうですかにゃぁ?」
「……」
俺を眺めながら恐らくは包帯の下でニヤけ面を見せる奇人。
「…………なら、尚更、今日話し合おうと思っていた案件を進めるべきだな」
俺はそんな包帯男を無視して
「
突然こんな事を言われても戸惑うばかりだろうが、どうも猶予は無さそうだ。
悪いが
「うん、わかった」
「いや、感情的な事もあるだろう……が!」
――そうだ!これ以上
「いや、口で言うほど簡単なことではないだろう……ほんと!猫の子を受け渡すようなやり方で悪いが今は時間が無い、だが、ここは了承してくれ!」
「うん、いいよ」
「…………」
「…………」
――あれ?
――なんか……噛み合ってない!?
「だから、いいよ、さいかの好きにして」
「えっ!い、良いのか?そんなあっさり!?」
「?」
驚く俺の顔を眺め、ぱちくりと美しい
「うん、だって
――”これきよ”だっ!
――顔どころか養父の名前も憶えてないぞ!おまえ……
「そ、そうか……」
――だが……
養子縁組も適当、只の便宜上で、
俺の心中は複雑だ!複雑だが……けど……今だけはそれは好都合でもある。
「お、王様、
確かに、緊急避難的な処置だし、ドサクサに紛れさせた方が手っ取り早いか。
「そうだな……じゃあ、名前の発音も似ているし
「お、王様?」
俺の突然の悲鳴に
「……」
何食わぬ顔で坐したまま、テーブル下で俺の
「おっおい!」
「……」
指摘されても、
――ちっ……あの顎髭男は嫌だと……そう言う事か?
「そ、そうだな……痛て!……なら……痛てて!……くそ、解ったって!ならいっそ作るか?」
――!?
半分ヤケになった俺の言葉に、
「作る?お、王様?」
「いや、家をだよ、新たに家臣を」
俺が
「……」
「お、王様……それは、さ、流石に……」
――み、皆まで言うな
色々面倒臭いから新参の家と養子縁組させようと考えたのにこれじゃ本末転倒、余計に仕事が増えたうえに中々に他の家臣達を納得し難いだろう。
「王様……」
――だが!
「まぁ、あれだ……俺は独裁者だから問題ない!」
――っ!!
そして俺の言葉にその場の全員が目を皿のように丸くしていた。
約二名を除いて……
「ふひゃひゃひゃふひゃひゃっひっっひっひぃぃーー!」
そして変な間の出来た空間に、なんとも奇妙な声が響き渡る。
「……」
――こいつ……
つまり例外の二名の内一人……包帯男、
因みに例外のもう一人は
「いえ、失礼、
俺を笑うかのような不遜な態度に
「
微妙な雰囲気をこんな珍妙な男に救われたとは思いたくないが……
まぁ結果オーライだろう。
「いやいや、そう言わず……私に良い案がありますですよ、
そして、そう言って包帯男、
第三十九話「
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