第23話「最嘉と南阿の風雲児」 前編(改訂版)
↓久鷹 雪白のイラストです↓
https://kakuyomu.jp/users/hirosukehoo/news/1177354054892613273
第二十三話「
――なるほど、だから付き
命令を半ば放棄して
ファミレス”ゲスト”の件に、今回の
それは
――
いやいや、ちゃんと一貫しているじゃないか。
「……」
――俺の目もとんだ節穴だな……
しかし……今更、自己弁護する訳では無いが、
帯剣した四人の手練れに、こっちは丸腰で囲まれ、
――この状況は良くないな
更に付け加えたくは無いが、その四人の内二人は”達人級”の戦士だろう。
――”
俺は左斜め後ろにいる、スキンヘッドで愛想悪そうな男をチラリと視界に捉える。
――まぁ……
「……はぁ」
俺は身動きを取れない状態で溜息を
「話は簡単じゃ、俺はこの後”
――
「…………”
そして俺は、奴の企みを推測した。
「そうじゃ、じゃがそれはあくまでも足がかりに過ぎん……その後は、そのまま
――おいおい……
俺は正直呆れていた。
この状況で?
それは現在、刃を突きつけられ囲まれた俺と、先の
「頭は大丈夫か?あれだけ手痛くやられたのは、ほんの数週間前だろうに……」
「
そう言う意味で自然と口に出た俺の反論には耳を貸さず、脅しという名の交渉を続ける
「…………
そうだ、先の
元々の持ち主である
「いいや、
――
――
とはいえ、やはりえげつない男だ、
今回は
「どのみち
「ことわる!」
――っ!?
俺が
それを織り込み済みに交渉しようと企んだのだろうが……
俺と
恋慕?主従?信頼?……そもそも俺達二人の関係はもっと複雑で、言うなれば……
言うなれば……
って、俺自身にも全く解らない関係だ。
――
「……」
とはいえ、俺の空気を読まない言葉で、一瞬にして周囲の空気が張り詰めるのがわかった。
チャッ!
左斜め後ろのスキンヘッドが静かに剣の柄に触れ、右斜め前の落ち着いた雰囲気の髭男は何事か思案しているように顎の辺りを
「……」
――そして背後の……
「
「
脅しには脅しで対抗し、俺は考える……
――
以降、強固な要塞”
俺が子供の頃、噂に聞いた”
「……」
――その
「……」
「……」
相変わらず咽元に刃を突きつけられた俺と、水瓶の上に立て膝で座る
二人は無言で睨み合う。
「……
一頻り俺と睨み合った後、
風格ある髭の男……
「……そうですな、ですが、我が方もこの
――ちっ、痛いところを……
俺は
そしてこの髭が言うとおり、現在、各城にはそれだけの兵が駐留している。
元々の
相手はあの
――グイッ!
「……っ」
更に俺の咽元で光る刃……
俺はそんな状況を再認識させられ、そして……改めて答える。
「
――っ!!
再び周囲の空気がざわめいていた。
「
「そうか?だが、どうせ気に入られるなら”
――っ!!
――!?
瞬間!明らかに今までと違う雰囲気……例えるならばっ!!
――その場の空気に亀裂が入った!?
さっきまでのざわめく感じじゃ無い!明らかな殺意!
シュバッ!
突き出される刃っ!
――俺は……
ガギィーーーーンッ!!
「くっ!」
――俺は……
「…………っ!」
――どうやら生きているようだ……
「……なにをしとるがじゃ……えぇ!にんぎょぉぉぉう!!」
俺の首を突く寸前で弾かれた
――しゅおぉぉぉぉんっっ!!
竿のように
「……」
しかし
剣先は弧を描き、少女の白い首筋に……
――くっ!まずいっ!
「
ビシュッ!
「……」
「……」
――危機……一髪だ……寸前のところで刃は制止する
先ほどまでの俺のように、咽元に鞭のような竿のような、奇妙な長剣の切っ先をあてがわれて突っ立った美少女。
「…………」
「やれやれ……殺しては元も子もないでしょう……
風格ある髭の男は、やや
「……」
一応、部下の進言を受け入れたようだが、
「さあ、
「……」
――ついさっき死にかけたというのに、なんだその無表情……本当に人形のつもりか?
そんな事を考えながら、俺は助けて貰ったにも拘わらず彼女に少し苛立っていた。
「
俺は改めて仕切り直し、ぶっきらぼうにそう条件を提示した。
「だ、そうですが、
そして風格のある髭は、こちらも相も変わらず仏頂面な主人にお伺いをたてる。
「……」
――
「
とはいえ、それほど困った様子でも無い所を見ると、こういう事は馴れっこなのか?
「……あくまで、俺の下にはつかんつもりかよ?」
「真っ平ごめんだな」
不機嫌な”男女”に俺は即答する。
「…………わかった……今回は退いちゃる……今回だけぜ……」
俺はその言葉を聞こえないふりをして、白い首筋に長剣の切っ先を突きつけられた
「そろそろ開放してやったらどうだ?結果的には、
その途端、俺の言葉に
――なんだ?
グイッ!
「お、おいっ!」
いやらしい笑みを浮かべた男により、一寸、突き出される刃!
「……」
「……」
……それでも彼女は……無表情で……更に僅かに顎を上げるのみだった。
――だから……なんだよ!それは……
俺の心はやはり……苛立つ……
「
「っ!?」
俺の反応を観察していたのだろうか?
「ふふん、やめちょけ……この女はこの通り”只の人形”じゃ……面白みの無い”
「
その間も、
「そうじゃ、”
――?
――何を言っているんだ、この
「この女はのう、見栄えは確かに超一級品じゃが中身は何も無い、げに仕様も無い人形ぜよ……」
そう続けて、
「
静止させようとする俺の声には自然と怒気が含まれる!
「……」
――だが、
「貴様っ!無防備な女相手になにをっ!?」
――
「なんじゃお
「……」
真剣な怒りを茶化す、
「まぁあれじゃ、その気持ちも解らんでも無い、俺もこの女を何度か
「っ!?」
――俺の心臓はドクリと跳ねる!
「と……いってもなぁ、まぁ全く来やしやがらん……
俺の反応を愉しむように話す
「見た目がこれじゃからな、俺とてそういう風に血迷ったことは何度もあるき……じゃが止めといた方が無難じゃ、
「俺の行動をお前に言われる筋合いは無い!」
俺は奴の、それ以上の言葉は赦さなかった。
これ以上
「はっ!そりゃそうじゃ……じゃが俺の国の”持ち物”でもある……じゃから……」
「
――!
俺の発言と同時にピシリと空気が張り付く感覚。
――まただ、空気が?
「鈴原どのっ!それは……」
落ち着いた髭の男、
「ぬぅ……」
スキンヘッドの無骨な男が低く唸って刀の柄に手を添えた。
シュオォォーーン!
そして、
――チャキッ
意外にも
「……ふぅ」
一部始終を見届けて、胸をなで下ろす
刀の柄から手を離す、スキンヘッド……
「……」
そして、俺は臨戦体勢のまま、堅く握った拳には汗が滲んでいた。
「
静かな口調で
――恐ろしいほどの殺気だった
その”
どこか余裕のあった奴の家臣達でさえ、緊張気味に様子を窺っているのがわかる。
「承知したか?
――だが俺は
「なら金輪際、
「……」
「……”
――っ!
ピクリと
――俺も大人げない……いや、命知らずだな
俺はそんなことを考えていた。
第二十三話「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます