第23話「最嘉と南阿の風雲児」 後編 (改訂版)
↓久鷹 雪白のイラストです↓
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第二十三話「
”
”なら金輪際、
――俺も大人げない……いや、命知らずだな
――これ程頭にくるなんてな……俺自身全くの予想外だ
「……」
「……」
本日何度目になるのか?俺と
「あぁ……わかったわかった、ほんに、たいしたタマじゃ
「……」
殺気の籠もった視線を向けていたかと思うと、一転、投げやりに手を払って面倒臭そうに吐き捨てる男。
だがしかし、その表情は意外にも不機嫌というだけでは無さそうだ。
「じゃち、俺らは帰るとするか、
そしてこれもまた、意外なほどアッサリと、交渉の終わりを宣言する。
「……帰りも漁船か?」
確かに交渉は成った。
そして俺達が求める見返りは金品だ。
それなりの額を前払いで請求する。
契約さえ守られるのなら、他のことはさほど気に掛かるわけでは無いが、俺は一応確認してみた。
「心配いらん、鈴原よ、
「……そうか」
誰が心配なんぞするかっ!と内心考えながらも……
――しかし
そう言った疑問も感じながら、足下の愛剣を拾い上げる。
「あぁそうだ、一応言っとくがな……
そして、一応そういう自身の体裁も整えておく。
二人の部下と供に、なにやら民家の裏側に去ろうとする
「ふん……口の減らんガキぜ」
そして去り際、一度だけ振り向いた女の様な男の……
どこか
――
―
危なくも騒がしい輩が去った後……
「……」
ガランとした民家の中で、所在なさげに佇む美少女が独り。
「……う……む」
――色々と面倒事を置いて行きやがって……
俺はその美少女と二人きりで、居心地の悪い空気の中、暫し佇む。
奴が実践して見せたように、そもそも数人程なら海を越えてこの
だから
「……」
しかし、今回も
この状況で?
「……」
「……はぁ」
多分……俺は試されているのだろう。
約定を守るか……
「ああっ!面白くないなっ!!」
「っ!?」
俺は叫んでいた。
そしてその途端、柄に無く沈んだ表情で佇んでいた
――人を試すのは好きだが試されるのは面白くない!
いや、我が儘と言われようが、皆そんなものだろう?
「…………」
俺が急に大声を出したからだろう、
「……」
「っ!?」
そして俺と目が合うと、慌てて視線を
「……はぁ」
そりゃ居辛いか……
というか、俺と二人の時は結構……感情豊かな時があるよなぁ
それは、先ほどの
一目瞭然だが……
いや、それは自意識過剰……なのか?
とはいっても、こういう風に罪悪感を感じると言うことは決して人形じゃ無い。
感情が薄いわけでも、ましてや人として欠落なんてしているはずが無い。
短い期間だが、彼女を見てきた俺にはそれが断言できる!
「明日は……
「……」
意を決して俺は声をかけてみたが、
「……そういえば
「?」
「クレープだよクレープ、甘くてふわふわの……女子に超人気!!」
「…………さい……か?」
少しばかり
――よしよし、上出来だ!
「なんだ?行きたくないのか?奢ってやるぞ、
更に誘惑を続ける俺。
「さい……か……わたし……だって……わたしは……」
こっちを見るには見たが……
戸惑い度
俺は真顔になって彼女を見た。
「……さ……さい……」
自信がある。
そう、視線さえ交わせば……
正面から向き合えさえすれば……
俺と
根拠の無いと言えばそうだが、それでも俺は、初対面の時のように……
何故か
「まぁな、色々あるさ……お互いにな……だが、取りあえず俺は
「!?」
――彼女は思いだしただろうか?
”今後、
そう言ったあの時の俺の言葉を……
「…………」
「自分の意思と反するとしても、嫌なことでも……な、取りあえずはお互いの立場でしなきゃいけない事があるだろう?今のところはそれを
「…………」
俺は続ける……
説得とか、懐柔なんて交渉術や話術では無い。
それはただの本心。
計略や奇策、謀略に塗れた鈴原
いつの間にかそれを必要としなくなってしまった……
「あぁ、勘違いするなよ、明日のクレープは俺の意思と反するとか嫌なことじゃないからな」
少し堅い表情であった彼女に、俺は冗談めいて付け足して笑う。
「……うん……うん、わかってる……よ」
そこで初めて、俺はちゃんとした
「じゃ、行くだろ?」
――心が跳ねる……なんでだ?
俺は俺の
「……わたしは……でも、やっぱり……さいかに謝罪を……わたしはさいかに……」
「いらないな」
期待していない答えに俺は首を振った。
「で、でも!」
――ほんと困ったちゃんだ……
普段は自己中に行動するクセに、こういう時に限って変な真面目さを発揮しやがって……
「じゃあな、その代わりに……そうだな……」
俺は譲歩する。
雪白が贖罪を求めるなら、俺は本来望まぬ”それ”に応じよう……
ただし……
「明日はとびきり可愛い恰好で来てくれ!」
「ぇ?」
俺は少しばかり企んだ。
「めちゃ可愛い格好だぞ、お前が持ってる服の中で一番……無いのなら俺が買ってやるぞ!ただし俺の趣味を侮ると後悔するだろうがなぁ!」
「あ……あぅ……その……さいか?」
――驚いた表情
――うむ、非常に愛らしい
人形なんて言わせるかよ!
俺はそんな少女を前に、満足げに頷く。
「そうだな、ヒラヒラのフリフリで、キラキラしたのってのはどうだ?」
「な、なにを……」
照れて白い肌を真っ赤に染める
――ほら、全然人形なんかじゃないだろ……やっぱ、見る目が無いな
「
気分の良い俺は、更に調子に乗る。
というか、俺的には後者の条件がおすすめだ!
「……うん……さいかがそれで……いい……なら」
少しはにかんで、小さく答える少女。
「じゃ、早速一枚服をっ!?」
「可愛い服の方だよ」
「…………」
俺は落ち込んだ。
――即答かよ……
「?」
残念顔な俺を不思議そうに見上げて来る、輝く銀河を再現したような
それは幾万の星の大河の
目の前のプラチナブロンドの美少女は、未だ遠慮がちながらも今は、俺から視線を
――そうだな……これでいい、今はこれで上出来だ
「よし、じゃあ約束だ!」
俺は笑うと右手の小指を差し出し、
第二十三話「
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