第5話 「最嘉と希なる捨て石」(改訂版)
↓京極 陽子のイラストです↓
https://kakuyomu.jp/users/hirosukehoo/news/1177354054892613231
第五話 「
ーー
その報が大国”
”
島国”
ひとつは中央に存在する最も面積の大きい島”本州”
次に大きいのが、その本州から北に浮かぶ島”
そして南に浮かぶ島”
最後に西に浮かぶ島”
西の統一国家、”
”
ーーそして十余年……
長らく続く
ひとつは二国間の間を分断する
そしてもうひとつが”
しかし
さらに駐留する海軍は、”
堅き黒甲羅を纏う
それは
「なんと目出度いことか!」
「おぅ!
「くぉぉ!今までどれだけの将兵達がその眼前に散っていったことか……」
「数多の部下を失ったのは貴殿だけでは無い……だがこれからは……」
「人民は将軍から庶民に至るまで宮を称えております」
荘厳な造りの広間でそれを聞いていた、玉座の前に佇む少女は……
「……」
透き通る様な色白の手をそっと上げてそれを制する。
大国、
本州屈指の大国、その政治、軍事の中枢たる場所で、臣下の報告を聞いていた少女の表情は別段の変化は無い。
腰まで届く降ろされた緑の黒髪は緩やかにウェーブがかかって輝き、白く透き通った肌と対照的な
「……
「……はっ!」
長年仕える老家臣にとっても、この少女の
そう……まことに
対峙する者を
恐ろしいまでに
「
「確か……
「少しは名の知れたとは言え、しょせんは属領如き匹夫の勇、実際はそんなものだろう」
宮廷内では、
「まぁまぁ諸将よ、先ずは申し開きを聞こうでは無いか。近日中に参内する予定なのだろう?」
「そうだな、その
言いたい放題の面々ではあるが、その実、
今回の戦における第一目標は、自領である”
つまり、
結果、本来の敵軍の規模や意図を伏せられて戦わされた小国群連合軍は多大な被害を被った。
それを知っていてなお、彼らは
いや、
「……それで、小国群連合軍の指揮を執っていた鈴原
ーー!!
黒い装いの美姫が放った言葉に、小国群連合軍の敗戦を肴に賑わっていた一同は静まった。
否が応でも注目を集める暗黒の美姫。
それは大国、
「報告では行方不明との事です」
「……」
老家臣の答えを聞いても、美しい容姿を寸分も変えない少女。
「実は敵に降伏したとも、討ち取られたとも……噂はありますが子細は不明、
「
少女はそのまま質問を続ける。
「はい、
「……」
「まあ、何にせよ、その鈴原
「
黒い装いの美少女はただ静かに、理不尽とも言える
「ほほ、確かに形式上はですな……しかし同じようなものでしょう。領地を切り取るにしても、その鈴原
ーーざわざわ……
当然の様にそう答える老家臣の言に、集った
そして……
ーーニコリッ
「……」
その流れを見届けてから、少女は老家臣が僅かに見せた呆れた様な笑みを確認する。
そう……それは”ガス抜き”だった。
何かにつけて小国群連合軍を見下す
「…………そうね」
細やかな気遣いを欠かさない家臣の行動を察した彼女の
ーー
ー
「しかし流石はこの
少し空いた沈黙の時間を好機とばかりに、ある将軍の彼女へのおべっかが割り込む。
「…………直ぐに
先ほどの老家臣の気遣いを思い出したのか、気持ちを切り替えたように話題を変え、今後の方針を議題に挙げて簡潔に断を下す。
ーーっ?
ーー!?
「えっ!」
「い、いま……直ぐにですか?」
浮ついた雰囲気から一転、諸将は鳩が豆鉄砲を食ったような顔で固まった後、
「その為の”
「いや、しかし……兵にも休息が……」
「そ、そうです、”
ーーふわりっ
泡を食う諸将には目をくれず、薄手のケープを翻してその場を去る少女。
「……!」
「…………」
それを呆然と見送るしか出来ない男達の間抜けな視線の先で……
彼女は思い出した様にそっと立ち止まった。
「…………ふたつ訂正」
そして、振り返りもせず静かな口調で言葉を発する。
「ひとつめ……優勢だからこそ”兵は拙速を
「お、
諸将の前で公然と愚かと言われ、流石に険しくなる先ほどの将軍の顔。
「ふたつめ……壁役は誰にでも務まるわけでは無かったわ……鈴原
しかし、少女は構わずに続ける。
「っ!?」
「……ちっ!」
堂々たる大国、
それでも相手は王族であり王位継承権を所持する京極
王宮”
「…………」
無数の敵意に晒されて独り佇む暗黒の美姫。
老家臣の心遣いを無に帰す愚行とは
なんとも言えぬ嫌な緊張感が支配する無音空間で……
ーー
ー
くるりと……美しく輝くウェーブのかかった緑の黒髪を僅かに揺らせて、暗黒の
「……ぅ!」
「……っ!」
そこには――
思わずゾクリと背筋が凍るような……
比肩しうる存在が想像すら出来ない氷の如き美貌が……
暗黒の美姫、
第五話 「
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