2手詰 果たされぬ約束

「おい、アイツはどこだ…!?」


一体どれほどの時が流れていたのか、

俺には全く見当もつかなかった。


ただ目を閉じる前には

そこにいたはずの誰かの姿が

跡形もなく消えてしまっていた事に

俺は酷く取り乱していた。


「歩九山田なら奴らに

連れて行かれたよ…」


そう言い終わると声の主は

悲しそうに遠くを見つめ、

長いため息をついた。


「なんでアイツだけ…!?」


行き場のない怒りから

声を荒げてしまったが、

目の前の男は冷静に答えた。


「俺たちを庇ったんだよ…

負けた俺たちを

勝ったアイツが…」


言い終わるか否かの刹那、

俺はその場に泣き崩れてしまった。


「マサキ、強くなろう…

強くなって奴らから

奪い返そう…必ず!!」


その男は力強く俺の肩を叩いた。


「そうだな…俺たちはまだ奪われてない…

高麗川、2人で…いや、3人で

奴らを倒そう!!」


この約束は

果たされたのだろうか…?


4年後にあの悲劇が

起こらなければ…

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