第12話
『epexつよつよ新人Vtuber現る!三石まほろと見せた神連携!』
Metubeの動画を徘徊していると、ふと気になる動画を見つけた。
気になる動画、というかまんま、まほろチュンの
※切り抜きとは、生放送などの良い場面、面白い場面をリスナーが切り取って、動画にしたものだ。
普段、そのVのことを知らない人でも、面白そうな切り抜きは見てくれるし、そこからファンになる人も多い。
収益化がされている放送の切り抜きだったりもしかしたら少しグレーに当たる部分も存在するとは思うが私も切り抜きを好んでみるタイプなので言及は避けたい。
そんな切り抜きが昨日の今日で作られていた。
シーンは生放送の初戦などチャンピオンを取った試合中心に作られているようで、雀やまほろちゃんの面白い発言に字幕がついていたり、細かい編集がされていたりと二人をよく知らない人でも楽しめるようになっている。
感謝……!
昨日のコラボとこの切り抜きのおかげもあって、登録者が結構増えている。
だからか、くえすちょんの数もどんどん増えてきている。
その中にいくつか早めに処理しとかないといけないものがちらほらと……
『飼い主さんのお話も聞いてみたいです!』
『飼い主さんとコラボはしないんですか?』
『飼い主×雀ちゃんの放送はないんですか!?!?!?』
どうやら私にも需要があるらしい……
「というわけで、これより明日家第一回、飼い主問題をどうするか会議を始めます!」
寧々の部屋に入った私は、ゲーミングチェアに座る寧々に突然そう言い放った。
寧々は状況もわからずにぱちぱちと小さな拍手をしている。
「で、何?里親とかの話?」
「くえすちょん読む配信で、私の存在に『飼い主』って名前がついたことあったじゃん?」
「う、うん」
何やら思い出したのか、少しだけ顔を赤くして顔を背ける寧々。
だけど、今はそんなことは置いといて、だ。
「実はくえすちょんで、飼い主さんとコラボしてほしいっていっぱい届いててね……」
「する?」
「えぇ……怖い」
『雀の飼い主さんってそんな人だったんですね失望しました』とか『飼い主の声きもすぎwww』みたいなコメントがきそうだ。
下手したら炎上して、低評価がいっぱいついたり……ひえぇ
「これ」
雀が、一枚のフォルダを開く。
そこに描かれているのは、おそらく成人しているであろうモッズコートを着た女性の姿。髪は肩にかかる程度で、頭身的に身長はそこそこ高いように見える。
「なにこれ?」
「飼い主」
「ふぇ?」
ぽかんと口が開く。
まさに何を言っているんだこいつ状態だ。
「彼方をモデルに一応描いてみたやつ。動かせはしないけど立ち絵はあるよ?どうする?」
「どうするっていうのは……」
「一緒に放送するかってこと。リスナーさんは一緒に放送してほしいってきてるんでしょ?」
「はい……」
「じゃあ期待に応えるためにもするべきなんじゃない?」
「……寧々がしたいだけでしょ」
「そうとも言う」
うぅ、あり?ありなのか?
Vtuberとして認知されてきたなかで、私という不純物が入ってなんやかんやで炎上したりしないか?
「あらためてどうする?」
「うっ、いやいやいや、でも流石にそれは……!」
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『くえすちょんに結構リクエストがきてたから、明日、日曜日の夜21時から飼い主さんと雑談コラボをするチュン!
だいぶ渋ってたけど、なんとかやってくれることになったチュン!
ちなみにこれがチュンが描いた飼い主さんのイメージチュン!』
『飼い主さん美人!』
『てえてえが見れると聞いて』
『楽しみ!』
よし。
呟いて、未だに胃を抑えている彼方を見る。
本人曰く、受験より緊張するらしい。
彼方とはまったくの逆で、私は明日が楽しみだ。
私の大切な友人を自慢するエピソードはたくさん用意している。
独占欲の強い私は、明日みんなに彼方は私のものだと主張するのが楽しみで仕方がない。
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わたしが放送なんてできるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)ということで次回寧々と彼方のコラボです。
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