真昼の月

@Moko0616

第1話

 エアコンの室外機の音に混じって

どこかの家から

12時に始まる昼のワイドショーの

オープニングの音楽が聞こえてくる。

気温はすでに三十度を超えていた。

坂道の途中で静馬は、自転車から降りて

空を見上げた。

気持ちが悪くなるくらい、晴れた空だ。

そこに半月が浮かんでいる。

すこし見上げていると

気分が悪くなって、静馬は自転車を

その場に倒して、地面に座り込んだ。

母が死んだ時もこんな風に

真昼に月が出ていた。

月を見ながらいつものように

学校に出かけて行ったのだ。

背負っていたリュックの中でから

小さな鳴き声がした。

覗き込むと猫がいた。

母のクローゼットから現れた。

今は静馬のリュックに住み着いている。









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