第3話 お金も必要ですね
次にすることは「資金計画を立てる」と書いてありました。
いくら設備にお金をかけないと言っても、普通の家をカフェにするにはある程度の改装も必要になって来ます。
葉月さんは、保健所や消防署の審査が心配でした。
調理師学校の先輩たちの話を聞いていたからです。
そのことを弥生さんに聞くと、大丈夫よ~とのんびりと構えているのです。
「山田のおばさんの弟さんが親戚割引で最低限の改装をしてくれるんですって。」
弥生さんによると、その弟さんは個人で工務店を経営してるそうです。
食品を扱う店舗の改装も請け負っているらしく、公的機関の手続きの相談にものってくれるんだとか…。
「そんなことまで聞いてたの?」
「おばあちゃんの仕上げ法事の時にちょっと聞いたのよ。だっておばさんがおばあちゃんの家をこれからどうするの?って聞くんだもの。」
「…お姉ちゃん、勉強は嫌いだったけどそういう段取りは本当に得意だよね。いつも飲み会の幹事を任されるはずだよ。」
「飲み会の幹事とお店の経営って、関係あるのかしら?」
「周りの状況を即座に判断して、必要な解決策を打っていく。ほら…ね、同じノウハウじゃない。」
なるほどぉと弥生さんは思いました。
葉月さんの言葉に、自分でもお店の経営が向いている気分になってきました。
単純な弥生さんらしいですね。
「でもいくらなんでも最初の軍資金はどうする?」
葉月さんのその心配はもっともです。
最初からお金を借りていたら、すぐに行き詰ってしまいます。
「実はね、おばあちゃんが貯金から私の介護代を出してくれてたの。ずっと家にいたから使う暇がなくて、そのお金はまるまるあるのよ。それを最初の元金として出すわ。利益が出たら少しずつ返してもらうから。」
「へぇ~。」
「それから運転資金としては、おばあちゃんちのアパート代が使えると思うの。アパート経営は儲からなかったようだけど、主婦のパート代くらいにはなるみたい。それを食材や布や小物の購入費にしたらどうかしら。」
「お姉ちゃん、私、お姉ちゃんの実力を見くびってたかも…。御見それしました。感服したでござる。」
「ほっほっほ、お主もまだまだ人を見る目が肥えておらんな。」
「ははぁーーーっ。」
弥生の殿様は、なかなかやり手のようですね。
ご家来衆の葉月さんは弥生さんの用意周到さに感心してしまいました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます