第2話 何から始めましょうか
妹の
「用意がいいな。こんなものを買ってたの?」
「うん、だって自分たちで出来そうかどうか読んでみないとわからないでしょ。」
弥生さんが持って来たのは、「カフェの起業の方法」という本でした。
おっとりしている弥生さんですが、段取りはいいのです。
まず最初に決めるのは、どんな店にするかというコンセプトを作ることだそうです。
葉月さんは考えます。
「コンセプトねぇ。設備にお金をかけないんだったら、おばあちゃんちの台所やうちにあるもので始めるんでしょ。」
「そうね。二人だけでするんだし、料理は簡単なもののほうがいいかもね。」
「…うーん、あの家を改装できないんだったらオシャレなカフェはダメだな。むしろ昭和を前面に出して、面白さを狙ったほうがいいかも。おばあちゃんちに遊びに来てる感じで、出てきそうなおやつとか、ご飯とか。」
「なるほど…それは珍しいわ。最近、オシャレカフェは増えてるから、却って売りになるかもしれない。葉月、天才!」
弥生さんに褒められた葉月さんは、てへへと頭を掻きました。
そうだ!と弥生さんは叫びました。
「店の名前は『おばあちゃんち』というのはどう?」
「お姉ちゃんネーミングセンス、ゼロだね。」
「じゃあ葉月が考えなさいよ。」
そう言われて葉月さんは考えたのですが、頭に浮かんでくる名前がどこかコンセプトにしっくりきません。
「…『おばあちゃんち』がいいような気がしてきた。」
「今日のランチは『おばあちゃんち』に行こう。ほらね、使えるフレーズになりそうじゃない?」
こうして、二人のお店『おばあちゃんち』の最初の産声があがりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます