願いをスルーした夫第9話傲慢じゃない?
9.
"Gloomy もやもや1"
== 天羽冬也 + 天羽 姫苺 ==
「仕事を覚えさせてほしいって言われて連れて行ったんだが
何の何の俺のほうが助けられた結果になってさ。
だからもう少し彼女を育ててみたいっていう気になってもいるから
そんな分からないこと言って俺を困らせないで!」
夫の着地点を私は冷めた目で耳で聞いた。
夫はその女のお願いは聞けても妻である私のお願いは聞けないらしい。
私のお願いはどうやら単なる嫉妬にかられた妻の我がままなんだと。
私は夫の返事にガクリと疲れを覚えたのだった。
自分をおっさんと自覚し、彼女とは男女の仲にはならないと宣言した夫。
そっちに自信があるというなら、この先も何もない関係をちゃんと
貫いてくださいな。
そんなことを心の中で反論するしか術がなく、気がつくと私は幽体離脱
状態からひとつの身体にひとつの魂という本来の自分に戻っていることを
自覚した。
強気の私はどこかへ胡散霧散してしまったようだ。
正直言うと、彼女(強気な自分)にはもっと頑張ってほしかった。
まぁね、タレコミで手にした画像だけで不倫しているとまでは追及できない
だろうし、しようがないのかなとも思えてきて、夫に約束してもらうまでは
引き下がれない、という気持ちを持て余したまま、その日はそれ以上の
追求が出来ずに終わった。
それからしばらくの間、私のモヤモヤが晴れることはなかった。
そして私らしくない思考にどんどん陥ってしまい、自己嫌悪などにも
苛まれ、イライラがマックスになった頃、またあの善意の人からの手紙が届いた。
まさか!
また手紙が来るなんて思いもしなかったけれど、嘘みたいにうれしかったり
したのだった。
だって夫と女について気になるばかりで一切調べようのない中、何か手掛かりに
なりそうなものが目の前に差し出されたのだから。
私は変な胸の高まりを抑えることができなかった。
どんなことが・・今度は記されているのか、私は思い切って封を切った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます