7夫をさぐる第7話傲慢じゃない?
7.
"Question Him 問いただす2"
== 天羽 姫苺 + 天羽冬也 ==
そんな中、いろいろと不安で心の中は修羅場ってるのに、私の口から勝手に
ポロポロ言葉が出てきたのだった。
なんていうのかなぁ~その時の私は、弱ってる私が、目の前で
別の強い私と夫が話してるのを心配そうに少し離れて見ているような感じ
なのだ。
こんなこと生まれて初めてのことだった。
実際、夫に話しかけている自分の姿が見えちゃったんだから。
ふたつの魂があって、ひとつの魂が身体から抜けて透明人間のように
2人の遣り取りを聞いてたっていう感じかしら。
本当に私はその時、幽体離脱とやらを経験していたのかもと思うほどに。
食事の準備をしながら私は彼にその話を振った。
「ね、一緒に行った相手の人って女性だったりして」
「えっ?」ギクッ
今絶対、きょどったよねぇ~。
私は夫のどんな変化も見逃すまいと全神経を彼に注いだ。
「そ、そうなんだ。彼女仕事熱心な子でね、仕事を覚えたいから付いて
行かせてほしいって頼まれてね・・」
「そんなことで、女子社員が上司と一緒に出張行くなんて、あなたの会社では
認められるンだあ~。
すごいね・・っていうことは、あなた会社ではなかなかな地位なわけなんだ。
へぇ~、ほぉ~、いつの間にそんなに偉くお成りあそばしたのかしらぁ~?」
夫が怪訝な様子で食事をはじめた。
これまでの私と夫との歴史の中で培われた関係性において
私はこんな嫌味を言うような人間じゃなかったって思ってるはず。
だから、私の発した言葉が果たして意味深な嫌味なのか、ただの感想なのかを
吟味しているのかもしれなかった。
どうやら結論を出せず、だから反応する言葉も出せないでいる。
「ねっ、どうして今頃私があなたにこんなこと聞いてるのか気にならない?」
「ははっ、何か今日の 姫苺 怖いなっ」
「怖いなんてっ、やだっ・・心外だなっ♪」
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