問いただす第6話傲慢じゃない? 

6.


"Question Him 問いただす1"



== 天羽 姫苺 + 天羽冬也 ==



 

 あのような垂れ込みに最悪の場合を考えて準備をする、なんて考える一方で

まだ夫に限ってと、半信半疑の自分がいた。


 そしてただただ、夫に確認するのが怖くてたまらない自分がいた。

 6日が過ぎた頃、流石にかなり精神的に参ってしまい、否が応でも聞かなければ

 己の精神が持たないところまできてしまったのだった。



 聞きたくない、聞きたくない、そんな思いでその日もいつもと同じように

聞くなんてできるような精神状態じゃなかったのに、心と裏腹に気が付くと

私の口が勝手に夫に向けて言葉を発していた。


 心が不安で押しつぶされそうになっているのを身体の中にある何かしらの

エネルギーが口を使って私の心を助けようとでもするかのように。




・・・


 「ただいま~、はぁ・・汗かいちゃったよ」





 「お帰りなさい・・お疲れ様。今日はどんな感じだったの?」




 「仕事は、まぁ最近ことにいい感じで進んでるよっ」




 「ねっ? この間の出張確か、2人で出掛けるって言ってたわよね? 」




 「ン?そうだったっけ?」




 「やだ、覚えてないの?」

 2人で出張なんて珍しいから私に報告したんじゃなかったのかいっ。

 たまにしかない出来事を普通忘れるかなぁ~、しかもつい最近なんだぜぇ~。




 「あぁ、フムフム そうそう、2人だった。ねぇ、それより腹空いた飯にして!」



 刺身を買ってきてたんだけど、ネタの裏にコッテリわさび塗ってやろうか!


  

 「そうね、私もそう言われてみればお腹すいちゃつたぁ~。

早くご飯にするねっ」



 なんか、話してて胸がスカスカして、だんだんドキドキしてきちゃった。

 これはいけない兆候なのだ。


 こういう傾向は相手と向かい合うにはかなりヤバいのよね。

 あがり症が出てきてるっていうか、活舌よく話せなくなりそうで

そんな自分に不利な状況ではとても女性のことなんて上手く追及できない。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る