妻に手紙第3話傲慢じゃない?3

3.


" Out Of The Blue.それは突然に "




== 天羽 姫苺 ==



 そう、それは突然にやってきた。

 私宛に届いた手紙。


 友人知人から届くような感じではなく、まるでどこぞの団体や企業等から

届くような形状の封筒に、印字がちりばめられたそんな書簡であった。



 厚さはそれこそペラっと1枚。

 サラッと書かれていた。


 「前略、突然の無礼をお許しください。ここのところ気になっていることが

あり、お手紙させていただきました。最近ご主人と某女子社員25才が日常的に

2人一緒に仕事に出掛けることが増えました。これまでの会社のシステムや

状況から見てもあきらかに変だと考えられます。先日ご主人が出張に行かれた

時にも彼女は一緒に随行していたようです。老婆心ながら、男女の仲になって

からでは、奥さまにとりましてもまた彼ら自身にとりましても、いかがなものか

という思いが日に日に募って参りまして。突然のご連絡で、悪戯だとかただの

嫉妬やお節介などと思われるかもしれませんので、わたくしの申しあげている

ことが腑に落ちますよう、2人が仕事に出掛ける様子や社屋での様子などを

SDカードに落としています。わたくしからのこのカードを有効に

お使いいただけることを節に願って・・。善意の者より」



 手紙がきたこと、そしてその内容に驚きながらも私はすぐにSDカードを

セットした。


 凄かった。



 何が凄いって撮影している画像の枚数の多さだった。


 まぁ、内容そのものは大したことないと言えば言えなくもない、って

いう感じだったが。2~3枚くらいなのだろうと思っていたからよけい。


 実に20枚ほどあった。

 どれもほとんど同じ場所のものがなく、何日にも亘ってちょこちょこ

撮りためてたのだろうことが伺えた。


 内容は二人が揃って出掛けるところとか、歩いているシーンばかりで

男女の関係を如実に・・語っているものは幸いに?なかったのだけれども。


 この日、今までの穏やかで幸福だった私の人生が一転した。




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