第4話始まっていたんだ→高校生活は!?その4
活発な女と、冷静(?)な女。
彼女達が入って来た割れ目。そこは、地面から何十メートルも上であり、無傷で着地出来るはずが無い高さだ。
「凄い能力...?はっ、そういうことか」
活発な女は、落ちてく間の空中で二本の短剣を腰から抜き、私の首元に軽く当てた。そして笑顔で言った。
「はい、うるさーい。殺されたいの?妖幻の弱点ならいっぱい知ってるよー?ま、いっか。バレル前に殺すかー。死ぬ?死にたい?死んじゃいたい?殺されたい?んじゃ殺す」
冷静で冷徹な瞳。
「未来、怖い。本当の任務忘れないで」
狂ってるのか?この未来という女は。仲間まで怖がらせてどうするんだ。
「あー、そだったそーだった。彼を救いに来たんだったね」
未来が首元から短剣を離し、仕舞う。近くに横たわっている川崎康也を背負い、くるりと背を向け歩き始めたが、すぐ止まった。
カオリ
「香、キューブ持ってる?」
「餅。――はい」
「さんくー」
彼女達はこちらに振り返った。
未来の手には、香から受け取ったと思われる、キューブが握られていた。
未来はそれを私に向かって投げつける。
、、、
「またねー」
未来が言った瞬間、外からの情報――音も視界も遮断された。身動き一つとれない。
「ちっ。どうすれば川崎康也を取り戻せる...ここから出られるんだ...?」
何も分からない世界で、私は一人呟いた。
「さ、帰ろ帰ろ~♪」
未来はキューブを拾いあげると、再び歩き出した。
「未来、やっぱりさっきの怖かった。きゃー」
「うふふっ♪」
★
「あっ、あの...康也の状態は...?」
夏美は聞く。
「よっぽど生かしたかったんだと思う。命に別状は無い。けど――遅かった。記憶、喰われてた」
香は相変わらずの無表情で答える。
「生き、てた...良かった...」
夏美はホッとして、深く息を吐いた。
「んじゃ、私達はこの子――えっと、康也君と妖幻を連れてくけど...来る?」
「はいっ!」
未来の問いに夏美が答える。
これは、誰の思惑だったのか―――。それはまだ、彼や彼女達は知らない。
「ここ、ですか?」
「そだよー?なかなかデカイよね、ここ」
着いた。
大きな建物───ビルのようなその建物は、割と堂々と建っていた。
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