第2話 始まっていたんだ→高校生活は!?その2

なぜ、自分が歩いているのかも、分からない。

なぜ、声の方に向かっているのかも、分からない。ただ、懐かしいという感情が、頭の中に渦巻いていた。


何度も脳内で再生される謎の声の方に向かう。

あの声の所にいかなければ…。──すると、


「あれ?康也、まだいたの?何やってんのー?」


「───」


幼なじみの声が聞こえてきた。夏美だ。


どうやら、廊下一直線で結界的なものがあるため、ドアがふさがれていてでれないようだ。


「え?この距離で聞こえてないの?康也!出せぇぇぇぇぇぇい!」


今度は大声で夏美が叫んだ。

それは、体全体に、廊下に、学校に響き渡った。


あれ?今、俺は一体何をしてたんだろうか。

帰ろうとしてた、よな。あれ???


数々の疑問が浮かぶ。


───その直後。


『…ちっ。はやく、こっちに……』


再び聞こえたあの声は、一回目のときよりも一層強く響く。また、あの声のする方へ行きたくなってしまった。


「何っ!?これ………?」


夏美も聞こえたらしい。そして、ついに結界は教室にまで広がり、ドアが開く。やっと教室から出られた喜びもつかの間、夏美はフラフラになっている。


「うぇー。クラクラする。ってか、もしかしてこの声って…………?」


なんだよ。そこで言うのやめんなよー。


俺はまた歩き出す。

角の教室に到着した。閉まったドアの前に立つと、『ブルッ』と寒気がした。それは、恐怖をも感じるほどで、本能が危険勧告している。だか、一瞬だったのと、頭がぼーっとしていたからだろう。俺は、あまり気にせずドアを開けた。


教室では、半袖と短パンという夏のような格好をした女が、教師用の椅子に腰かけていた。

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