一章 始まりはずっとずっと、前のこと

第1話 始まっていたんだ→高校生活は!?


『キーンコーンカーンコーン』


「さ、帰るか」と、鞄を手に取り、すたすたと教室を出る。昼食後に掃除がある学校はすぐ帰れて楽だな。


部活には一応、伝説の文芸部に入っているが、文化祭位しか強制執筆の部活は無いため、ほとんどの文芸部員は帰宅部状態である。


『ドドドドドッ』


「待ちなさ~いっ!康也!」


「...なんだよ」


嫌な顔をして、帰らせろとアピールしつつ、声をかけた人物――幼なじみの草川夏美の方に振り返る。


「む。そんな顔しても無駄だ!早く日直の仕事をしろ!ほとんど私がやってやるから、このプリントを職員室に届けるのだ!さあ行け、発進だ!川崎康也よ!」


ロボかよ...。プリントと言葉を残し、彼女は教室へ戻っていった。


「めんど...よし、職員室、行こう」


そう独り言を呟き、鞄を自分の机に一度置いてから、歩き始める。


STが終わってからそんなに時間は経ってない筈だが、人が全然いない。職員室に行っても、先生は一人もいない。


担任の机にプリントを置き、荷物を取りに教室へ。教室に行く途中には昇降口があり、皆の靴を確認してみる。


夏美と俺以外誰もいない。何でこんなに人が全然いないんだ?部活は...そうだ、二週間に一回の部活休みデーだった。朝も午後も部活が休みになる日である。だからといっても、静か過ぎるきがするが……。


「.....?」


気がつくと、目の前の空間が歪んでいた。触れてみると、コンクリートのように固かった。背筋もビクビクしてきた。するとか突然、


『こっち、だよ。こっち』


という声が頭に響き、何度も繰り返された。


「!?」


俺は、無意識に声の呼ぶ方へとぼとぼと歩いていく。頭がぼんやりとしていく。声は角の教室(俺の教室の隣)から聞こえてくる気がした。

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