なんだこいつら…?
もちろん、どれもかつての私自身であり、その本質は邪悪であり、クォ=ヨ=ムイとしての意識が解き放たれれば力は強大である。
「な、なんだこいつら…?」
突然現れた私の影にナハトムが戸惑う。
「細かいことは気にするな! お前はお前で励め!!」
私が声を掛けると、ナハトムは、
「あーもう、訳分かんねえけどやってやらあ!!」
とウルミを手に構えた。
その後はもう混戦である。化生共も雑多なものばかりでいちいち名前など紹介していられない。
藤波沙代里がドロップキックやドラゴンスープレックスなどを披露すると、市野正一は崩歩で蟷螂のように化生共を屠った。白小夏は得意の鉈を振るい、エイドリアン・メルケルは銃剣で切り刻んだ。
ブリギッテ・シェーンベルクは殺された時の憎悪を基に呪詛を吐いて呪い殺し、十一歳の連続殺人犯コンスタンティア・エリントンは「キャハハハ!」と狂気を孕んだ笑い声を上げながら大きな<裁ちばさみ>で化生共の目玉や頭を抉った。
リーネは自分の体よりも大きな刈り取り用の鎌で無表情なまま刈り掃う。家の手伝いをしていた時に使っていた鎌だ。
それにしても、これほども一度に化生共が現れるということは、普通では有り得ない。そうだ。奴は必ずこの近くにいる。恐らく今も私達を見ている。しかし、この騒ぎは人間共の目にも当然触れていた。再びトマホークミサイルが接近。だがそれは、化生共によって迎撃された。
トマホークによる爆撃が有効でないとなれば、人間共はまた別の方法を取るだろう。
と思っていたら、やはりきた。今度はAC-130ガンシップだ。かなり高度を取ってるが、上空を旋回しつつガトリングガンを放ってきた。容赦のない攻撃だ。
地上で戦っている双方共に完全に殲滅する気だな。奴らにしてみれば私も化生共も危険な敵勢力だろう。しかもここは既に放棄された町であり、住民はおらず民間人もいないということに建前上はなっているだろうから、躊躇もない。まあそんなことはトマホークミサイルをぶち込もうとした時点で分かっていたことだが。
こうなるとそのうち、戦術核はともかくサーモバリック爆弾やMOABくらいは使われる可能性も出てきそうだ。
なお、軍事的な知識についてはその方面のオタクだった市野正一のそれを基にしている。ただしこの辺りになると市野正一の知識を基にして私がネットなどで見聞きしただけだからさすがに詳しくはないが、まあロクでもないバカみたいな威力を持つ爆弾ということだな。
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