正直、ムカついたぞ

バージャムデレクェ共を捻りつぶし、取り敢えずはこんなところかと思いながら見ると、


「うおおおおおっ!」


などと声を上げながらナハトムがウルミを自在に操り、ケネリクラヌェイアレ共を次々とバラバラに切り裂いていた。


「ははは、なかなかやるではないか!」


「どうも…!」


私が声を掛けるとナハトムが嬉しそうに応えた。


だがその時、バリバリと空気を叩く振動音が私達の体を震わせる。


「何い!?」


見上げた私の前に、黒い巨大な影が覆いかぶさるように姿を現す。ヘリだ。しかも軍用の。


だが、何かがおかしい。細かい部分の形が歪で、どこか生物っぽくもある。


って、こいつ、バージャムデレクェか!? 墜落した軍用ヘリを取り込みおったのか! 


それに気付いた私に、ヘリが装備していたチェーガンが浴びせられる。咄嗟に<拒絶>したものの、ゴンゴンとデカい岩が無数にぶつけられるかのような衝撃がある。恐らく三十ミリの多目的榴弾とかいうやつだな。それを毎分六五〇発も食らわされると、さすがに身動きがとりにくくなって鬱陶しい。


「―――――む!?」


しかもそれに気を取られていた私の顔に、デカい金属の塊がぶつかってくるのが分かった。うっかり物理的に受け止めただけだったので、金属の塊から噴き出したメタルジェットで頭の半分が一瞬にして蒸発した。今度はHEAT弾とかいうやつだった。


「ぬ…ぐ、おのれ……!」


人間の軍隊とやり合った時も使われたやつだが、あの時はあらゆる物理干渉を拒絶してやったから何ともなかった。しかし今回はチェーンガンに気を取られてしまったのだ。すぐさま巻き戻すが、正直、ムカついたぞ。


見れば、そこには戦車がいた。いや、戦車を取り込んだバージャムデレクェだ。しかも二匹も。おいおい、貴様らいつの間にそこまで出来るようになった?


まあ最初はさっきのトラックを見るに自動車辺りから始めたんだろうが、そのうちにヘリや戦車まで取り込める奴が出てきたということか。以外と侮れんな。


とは言え、こんな初見殺しなど私には通じん。正体が知れてしまえばどうということもない。が、相手はこいつらだけではなかった。


ヘリのローター音に紛れているが、明らかにジェット戦闘機が近付いてきている音がする。


「ふん…人間共か……」


さすがにこれだけ派手にやったから、人間共が爆撃の為に寄越したのだろう。ええい、鬱陶しい。しかも今度は投下型の爆弾じゃない。カメラ誘導のミサイルだ!


バガーンッッ!!! という爆発に、私達は巻き込まれていたのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る