プレイ

『ただの<余興>だよ』


クォ=ヨ=ムイがこともなげにそう言ってのけた瞬間、彼は、怒るとか憤るとかを通り越して、ただ唖然としてしまった。


『<神様>ってのは、こんなにいい加減なのか? 理不尽だとは思ってきたが、これはそんなことも通り越してる。人間を馬鹿にするのもほどほどにしろ!!』


などと考えたら、当然、その思考も読まれていた。


「人間を馬鹿にだと? とんでもない。馬鹿になどしてないさ。私にとっては可愛い可愛い愛玩動物だからなあ?」


『…こいつ……!』


「いいぞ、その表情かお。実に愉快だ! これだから人間は面白い!


くは、くはは、くぁははははっははっはははははははは!!」


およそ<邪悪>としか言いようのない表情かおで、クォ=ヨ=ムイは高らかに嘲笑わらった。


「いい! いいな! お前、いいぞ! よし、こうなればお前に<褒美>をやろう! 見事奴らを始末できたら、お前の癌を治してやる!


いや、それだけじゃ物足りんか。そう言えば<チート主人公>とやらにはハーレムがつきものだったな。うん、そうしよう。女を助けたら、その女もお前と同じように動けるようにしてやろう。そうしてハーレムを築くといい!


どうだ? やる気が出たか?」


嘲るようにそう言いながら、クォ=ヨ=ムイは指をパチンと鳴らした。


その瞬間、


「…パパ…? ママ……?」


という声が聞こえた。声のした方に視線を向けると、今、彼があの怪物から助けた女の子が、動かない両親の体をゆすりながら不安そうに見上げてるのが分かった。


『そういうことか……!』


彼の脳裏に閃くものがある。


「ハーレムって…? 何がハーレムですか! こんな小さい女の子、俺にどうしろって言うんですか!?」


『僕にそんな趣味はない! 馬鹿にするのもいい加減にしてくれ……!!』


「ひ…っ!?」


急に大きな声を上げた彼に、女の子はビクンと体を竦ませて怯えた目を向けた。当然の反応だろう。


なのにクォ=ヨ=ムイは、


「なんだ、お前。贅沢な奴だな。それとも私の方が良かったか?」


と言いながら、白いブラウスに包まれた胸を持ち上げるようにして、舌なめずりした。その淫猥さに、背筋がぞくっとなる。


正直、体の方が反応してしまいそうだった。確かに、見た目だけなら彼女の方が好みに近かった。彼は基本的に、大人の女性が好きだったのだ。


「くくく、正直な奴だ。いいだろう。どうせこの体も今回の為に用意したただの小道具に過ぎん。好きにすればいい。


なんなら、犯して殺してもいいぞ? 私はそういう<プレイ>もありだからなあ」


「…く……!」


そう言って艶めかしく微笑わらう彼女に、彼はただ戦慄しか覚えなかったのだった。


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