第23話 第二形態?
俺は、三度目の復活によって、一旦記憶が吹っ飛んだが、すぐに取り戻す事が出来た。
そして、俺は、勇者を倒す為の、第ニ形態の考え中だ。
「魔王。どうするつもりだ?」
「一つだけ考えがあってな、魔族召喚ってあるじゃん?アレを自分自身に使う。そうする事で融合って出来ねぇかなぁ?」
「で、それをどうするんだ」
「魔族召喚する瞬間、魔法陣に一瞬だけ、別次元の入り口が開くんだよ。その穴に俺が飛び込む」
「戻れ無かったら知らんぞ」
「大丈夫だって!」
そして俺は、何も考えずに魔族を呼び出す。
すると、何が出るか知らないが、魔法陣に出来た穴に俺は勢いよく飛び込んだ。
魔法陣の中は、覚えのあるヌメヌメとした感覚が俺を包み込み死ぬかと思った......。
そして、魔王ではあるが、得体の知れない物が産まれた。
禍々しい色をしたスライムで、申し訳程度に角が生えている。
「俺の声聞こえるか?俺今どんな感じ?」
「今すぐ戻ってこい!魔王!」
俺は、無理矢理魔法陣に詰め戻され、元の姿に戻った。
「何すんだよ!ヴォルグレイ!」
「弱体化どころでは無い事になりそうだったぞ!」
「うおっ......マジか......」
ヴォルグレイがここまで本気になるのは、珍しい。まぁ、俺の思い付きでやった事だしな。元の姿に戻れ無かったら、それは焦るだろう。
「この方法は止めよう......リスクが高すぎるか」
「勇者の様に、別の力を出せたら十分では無いのか?」
そこでトロールが話に入って来た。
「何なら、魔装具なんて作ったらどうだ?」
「魔装具?なんだそれ?」
「王国騎士が装備していた物だよ。前に騎士の装備を売った時があっただろ?あの時に、調べておいたんだ。王国騎士の装備は、魔装具であると」
「で、その魔装具って簡単に言ってなんなんだ?」
「魔力で出来た装備だ。つまり、魔王の魔力で装備作ったらえげつない物が作れるんじゃ無いか?」
「なるほど!そう言う事か!なら、今すぐ作業に取り掛かるぞ!」
「おう!」
そして、四時間後・・・
「良いねぇ!似合ってる?」
「あぁ......見た目はな......」
四時間掛けて、全身魔装具を作った。周りから見れば、見た目は重厚感があって格好良いが、トロールの思うたった一つの問題がある。
それは......予想以上の重さでその場から動けないのである。
俺が、全力を出して作った鎧。勿論、頑丈さは、力が自慢のフロガが本気で殴っても傷一つ付かない。
そう、これは、無敵の鎧では無く......『無敵の飾り鎧』だぁ!
更に、人が中に入り兜を被って仕舞えば、『完全なるカモフラージュ』を発動し、魔王不在の魔王城を演じる事ができる!
............ってこれって、ただ隠れてるだけじゃねぇかぁあ!!
やっぱり第二形態って難しいわ。力が無い者は弱いままでいるしか無いのか?
そこで次は、エクウスが話に入って来た。
「なぁ、魔王。やっぱり第二形態って言ったら変形だろ。魔王なら体とか変形出来ねぇのか?」
「それが出来たら、既にやってるわ。ただやり方が分からん」
「あ、あぁ。さっき魔王がやったみたいに、魔力を自身に触れさせる様に、魔力を一つの場所に溜めるとか?」
「なるほど......やってみるか」
俺はとりあえず、片腕に魔力を溜め、変形させる事を意識し、魔力を一気に解放する。
すると、片腕は見事に吹っ飛んだ......
「うおぉお!?腕がああぁあ!」
「お、おい!?大丈夫か!」
「あー駄目だこれ。変形もやめた方が良いな。下手したら全身吹っ飛ぶ......腕は心配するな。すぐ戻る」
さて、どうしたものか......それから、色んな方法を試すが納得する第二形態は出来上がらない。
そこで俺は、最終手段を思いつく。武のおっさんとかなんか作れねぇかな?
武は、魔王街に作るつもりだったルシファーの一撃で粉々になった工事現場にて、隣のベンチ座って、鉄のプレートの様な物を触って暇を潰していた。
「何してんだあいつ?」
俺が武の前に立つと、それでも武は気付かず、鉄のプレート触りに集中している様だった。
「おーい武。何やってんだ?拠点作りはどうした?」
「あ?」
武は、とても不機嫌そうだった。
「お前、こんな所でサボってんじゃ......」
「てめぇがぶっ壊したんだろうが......俺の苦労を返しやがれ」
どうやら、ルシファーの一撃で粉々に吹き飛んだ建築途中の拠点が、とても悔しい様だ。
人間って何したら喜ぶんだ?金?休息?いや、新しい物を頼んでみるか。
「それは済まなかったな。だから、とりあえず拠点は置いといて、お前って兵器とかって作れる?」
「急に何を言い出すのかと思ったら......俺まで戦争に巻き込むつもりか」
「いや、別に作らなくて良い。見た目だけでも良いんだ。今、俺の第二形態を研究中でな。今回は俺も手伝おう。設計は考えてある」
「そうか......それなら良いだろう。で、どんな設計なんだ?」
「ハ◯ルの動く城的な?魔王城を改築する」
「お、おう......なるほどな」
そうして、第二形態とも呼べるか分からないが、魔王城を改造する事にした。
一方、王国・・・
王国は、魔王によって全て建物が崩れ、壊滅状態で国民も誰一人居ない為、魔王を打ち倒した勇者と王様は、ただ、黙り込んで居た。
「勇者倒したけど......」
「この先、どうすれば良いのやら......」
復興しようにも、人手が足りない。人を集めようにも、他の国は、他大陸にある。他大陸に行こうにも、勇者と王がいなくなれば、ガラ空きになってしまう。
「魔王め......この事を予測していたのか......!」
「うーむ......」
「俺の人生を潰しやがってええええ!」
「まぁ、そう憤るな......」
「あのなぁ!俺は、勇者の歴史も知らねぇし、血も継いで無ぇんだよ!勇者選考会なんざ訳の分からねえ物開いて、俺は何故かあの剣を台座から抜いてしまった!そこから俺の人生は狂ったんだよ!だから、王の所為でもある!」
「くっ......それは深く反省している......しかし、君がいなければ、今やこの王国は、勇者も国王も居ない空っぽの国になっていたかも知れないんだ」
「でもよ......俺の家も今は粉々に吹き飛んでる......どうすりゃ良いんだ......」
「そうだな......とりあえず魔王を倒したのだ。魔王城の物を回収しよう」
こうして、魔王は、第二形態の魔王城を改築し、勇者は、倒したであろう魔王の城へ行くのだった。
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