第2話 2000年がはじまった。

小学生の頃は「ノストラダムスの大預言」で大騒ぎ、今で言う都市伝説っちゅうヤツやな。1999年から2000年になる時に人類が滅亡するという噂で持ちきり、私は2000年になる時は何歳になっているだろか?



小学生の頃は、30歳と言うだけで親の年齢と同じだから相当なおばさんになっておるし、死んでもそりゃそれでいいんじゃないかと思っていたような気がするが、内心どきどきしていたものだ。遠い未来の話だから実感湧かないけど。その、2000年はあっという間にやってきて人類が滅亡することもなく、私はロンドンにいてビッグベンでカウントダウンの大はしゃぎであった。



1999年も2000年も昨日が今日になっただけで「ノストラダムスの大預言」のことなど思い出しもしなかった。ただ、20世紀から21世紀をまたぐ時代に生きていることが少し誇らしげでもあるけれど。



私の職業はグラフィックデザイナー、当時は麻布十番にある広告代理店のデザイン部に勤務していた。毎日毎日、仕事は忙しくて定時は何時なのかもわからないほどだったけど、仕事は本当に楽しかった。



あの頃はグラフィックデザイナーが私の天職なんじゃないだろかと思えるほど好きな仕事で、帰りが終電になろうが徹夜になろうがそんなの関係ないって感じでよく働いていたんじゃなかろうか。



ある仕事で営業がダメ出しをしてきた。何本も仕事を抱えていたので、ここで直しかいってちょっとイラっとしたそぶりをする。今日プレゼンしてきたのに明日修正したものを再度プレゼンしなければならいというではないかい。今、時計は夜の10時なんだけど・・・。これから修正するの?まじで?営業も付き合ってくれるのでできる限り納得いくように修正をする。



出来上がってチェックしてもらう間はヒマなので別の仕事に取り掛かる、その頃はすでに午前3時をまわっている。「何やってるの?仕事してるの?」って営業に声かけられて、仕事あるからやってたって返事したら「タフだね」っていう返事、「私、健康だけが取り柄の人間ですから好きな仕事はどれだけやっても平気でございます」そう答えるけど、本音ではあるけど仮眠をとるとか休憩するという考えが浮かばなかっただけだ。この仕事は生活の元でもあるけど、仕事が趣味っていうのもありでございますわ。そもそも会社に入ってくる仕事も悪い仕事ではないし、誰が聞いても知っているブランドだったり、それなりに良い仕事してたんじゃないかなと思っているけどどうですかね。




私、デザインの仕事好きなんです。

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