登場人物紹介(ほぼ完成版)、その3

 酒羅凶しゅらき 酒呑童子 温泉街初期メンバー

 『8話-1、居酒屋浴び呑みの手伝い』より登場。


 身長は三メートル以上あり、ゴワゴワした白髪混じりの髪の毛がヒゲと繋がっていて、顎まで伸びている。

 ひたいには、鮮血を思わせる鮮やかな朱色をした強固で長い角が二本生えていて、岩場のようなゴツゴツとした面立ちの隙間からは、獲物を狙う金色の獣王の瞳が対象を睨みつけている。

 あちらこちら傷だらけの赤い甲冑を着ており、歩く度にカチャカチャと音を立たせている。


 甲冑が傷だらけなのは、温泉街に来る前。大嶽丸おおたけまるという妖怪と、連夜死闘という名のじゃれ合いをしていたせい。

 温泉街で働き始めてからは、そのじゃれ合いを繰り広げる事はなくなり、二十五年の間、一切連絡を取っていない。

 見た目通りに傍若無人っぷりを発揮しており、何かある事に取り巻きと酒天しゅてんを蹴り飛ばし、吹っ飛ばしては店内の壁や扉、ありとあらゆる物を破壊している。


 しかし、それをやるのは客の前だけであり、店を開けていない時は手足をまったく出さない。なので、キャラ作りではないかと噂されている。

 店で出される料理の数々は、半分以上は酒羅凶が作っていて、どれも舌を唸らせるほど美味しい。

 店員達には必ず、昼と夜にまかない料理を出しているが、その賄い料理の内容は豪華絢爛で、花梨もこの店で働いた際、たいがふんだんに乗っている鯛丼を食べた。


 小ネタ①:仕事が終わった後、店員達全員にお金を出し、永秋えいしゅうに行くよう促している。このお金は給料には含まれておらず、酒羅凶のポケットマネーである。


 小ネタ②:居酒屋浴び呑みの売り上げの六分の一は、店の修繕費に消えている。その合計金額は低く見積もってもウン千万、下手したら億までいく可能性もあり。


 小ネタ③:花梨が初めて剛力酒ごうりきしゅを飲み、酒天と見間違えて蹴りを入れた時。ぬらりひょんはその光景をバッチリ見ており、次の日に死ぬほど怒られた模様。


 好きな物

・酒天、取り巻き

鷹瑛たかあき紅葉もみじ

・居酒屋浴び呑み

・酒、それに合うツマミ

・永秋の露天風呂

・あやかし温泉街、秋国


 嫌いな物

・ルールや決まりごとを破る者(自分も該当)

・花梨(緊張する為。嫌いと言うよりも苦手)

・失敗作の酒(廃棄処分になる為)

・花梨に仇なす者(花梨自体は嫌いではない)

・修繕費の合計金額を見る時




 首雷しゅらい ろくろ首 温泉街初期メンバー

 『9話-1、着物レンタルろくろの手伝い』より登場。


 深紅の着物を身に纏い、舞妓を彷彿とさせる黒い髪型で、煌びやかな髪飾りを頭にいくつも付けている。

 独特の喋り方をしていて、温泉街で唯一ちゃんと妖怪をしている人物。

 厳密にいうと初登場は『3話-1、永秋の手伝い』で、マッサージ処で花梨にマッサージされた妖怪である。


 ぬらりひょんとは昔ながらの付き合いであり、現世うつしよでは京都で『ろくろ屋』という着物屋を営んでいた。

 そのろくろ屋でも妖怪の接客をおこなっていたお陰か、人間や妖怪の相手に長けている。

 人を驚かせるのが三度の飯より好きで、花梨とゴーニャに会う度に驚かせ、その反応を見て悦に浸っている。


 花梨が建築途中の温泉街で産まれた後、連日驚かされていたせいか、怖い物が苦手になってしまった。(特にろくろ首が苦手)

 しかし、仕事中やマッサージをされている時は素直になり、ごく普通に接してくるので、この時の首雷は平気である。


 小ネタ①:花梨にあげた赤い着物は、元々紅葉もみじの為に用意していた物。花梨が温泉街に来る前まではしまっていたが、店の手伝いに来た日だけ目立つように展示した。

 そして花梨がその着物を見つけ、ものすごく気に入っている姿を見て、花梨にあげる事を決めた。


 小ネタ②:ろくろ首の日は、着物を全品半額かそれ以下の金額でレンタルをする日である。が、今回は花梨がいるので、特別仕様にしようと企んでいる。


 小ネタ③:首はおおよそ十五メートル以上伸びる。狭い部屋で伸ばし過ぎると、こんがらがって自らの首を絞めることもしばしば。


 好きな物

・他者を怖がらせる事

・ぬらりひょん

・鷹瑛、紅葉、花梨、ゴーニャ

・紅葉と花梨のマッサージ

・あやかし温泉街、秋国

・着物を作っている時


 嫌いな物

・身長が十メートル以上ある客

・体型の個性が強すぎる客

・狭い空間(首が伸ばしにくい為)

・驚かせても怖がってくれない者




 朧木おぼろぎ 木霊 温泉街初期メンバー

 『10話-2、とても臆病で元気のある木霊達』より登場。


 木霊農園を仕切る木の精霊

 背丈は十センチほどと小さい。青いチェック柄の三角巾を頭にかぶっており、青いブロックチェック柄の民族衣装を思わせる服を着ている。

 鼻の下に灰色のチョビ髭を生やしていて、髪の毛も同じ灰色。とても愛嬌のある見た目と表情で、人柄も優しい。

 花梨を過度のおもてなしにより、食で打ち倒した功績を持つ数少ない人物。(もう一人はぬえ)


 他の隠世かくりよで趣味である野菜を大量に育て、自給自足で仲間達と暮らしていた。

 しかし、その野菜を狙った妖怪達に連日襲われており、猫又の莱鈴らいりんの元にその情報が入り、ぬらりひょんが助けに行って温泉街に保護する。


 本来ならば何不自由なく暮らしてもらい、温泉街の施設などは無償で使わせるつもりでいた。

 が、木霊達はぬらりひょんに助けてもらった恩があり、育てた野菜を無料で温泉街に提供すると申し出る。

 だが、それは悪いと思って断ったぬらりひょんであったが、木霊達の熱意ある訴えに折れ、安く買い取る事で相談がついた。

 それ故に、温泉街の店で出されている野菜は全て木霊農園の物であるが、量が多すぎるせいか扱いきれず、現世うつしよの店にも回しているらしい。(現世での売り上げは、全て木霊達に渡っている) 


 野菜は全て生で食べられるほど新鮮で甘く、他にも果物や穀物。味噌や発酵食品など幅広く取り扱っている。(これはほとんど朧木の趣味)


 小ネタ①:現時点で、木霊農園にいる木霊達の正確な人数は不明。これは朧木さえも把握しておらず、いつの間にかどんどん増えているらしい。(最初は数百人程度だった)


 小ネタ②:木霊の正体はやまびこであり、花梨が初めて木霊農園に訪れた際、ほぼゼロ距離でやまびこ爆音衝撃波を浴びせた。(なお、木霊全員が一斉にやまびこをすると、温泉街が吹き飛ぶ威力になる)


 小ネタ③:鵺が木霊農園に訪れた時にも、過度のおもてなしリレーをおこなったが、あっという間に完食されてしまった。(木霊達は満足した模様)


 好きな物

・ぬらりひょん

・どんどん増えていく仲間達

・木霊農園

・鷹瑛、紅葉、花梨

・野菜を育てている時

・あやかし温泉街、秋国

・争いが無い平和な世界


 嫌いな物

・前にいた隠世かくりよ

・自分達を襲ってくる妖怪

・暴力

・初めて目にする人

・見た目が怖い人




 辻風つじかぜ カマイタチ 温泉街初期メンバー

 『12話-1、薬屋つむじ風の手伝い』より登場。


 薬屋つむじ風を営んでいる妖怪。

 見た目はイタチに似ており、全身はクリーム色の毛皮で覆われている。

 診察をする為に出向く時は白衣を着ているが、店にいる時は何も着ていない。

 現世の限界集落で小さな病院を営んでいたが、人がいなくなり途方に暮れていた所を、昔ながらの仲であるぬらりひょんと再会し、この温泉街に来ないかと誘われて来た。


 現在はとある薬を開発しており、その薬を試す為に満月の光を浴び過ぎたせいで、日中でも暴走するようになってしまい、初めて店に訪れた花梨を襲いかけた。

 普段は温厚で紳士的な態度で接していて、診察が無い日などは主にカウンセリングを率先して行い、妖怪達の悩みを聞いている。

 元々話を聞くのが非常に好きで、親身になって相手の話を聞いてくれるので、一部の妖怪には人気が高く、リピーターもかなり多い。


 小ネタ①:そのカウンセリングも無い時は、大体自分の部屋で寝ている。本人いわく、起こされなければ七十二時間は寝れると豪語している。


 小ネタ②:いつ暴走するかは本人でさえも分からないので、駅事務室の見張り番からは除外されているらしい。


 小ネタ③:手を鋭い鎌に変える事が出来るが、その切れ味は凄まじく、力を込めなくとも鉄ぐらいならば難なく斬れる。


 好きな物

薙風なぎかぜ癒風ゆかぜ

・ぬらりひょん

・鷹瑛、紅葉、花梨

・話を聞いている時

・寝てる時


 嫌いな物

・満月の光に侵された自分

・満月

・花梨を襲った時の記憶

・薙風の顔を切りつけてしまった時の記憶と感触

・寝てるところを起こされた時




 流蔵りゅうぞう 河童

 『13話-1、河童の川釣り流れの手伝い』より登場。


 河童の川釣り流れという店を一人で営んでいる妖怪。

 全身が緑色で頭には白い皿が乗っており、背中には重厚感のある大きな甲羅を背負っている。

 故郷である川が、とある出来事により潰されてしまい、死にそうになっていたところをぬらりひょんが発見し、温泉街に保護される。


 温泉街に来てからまだ一年も経っておらず、温泉街メンバーの中では一番の新参者。

 川で自由気ままに暮らしていいとぬらりひょんに言われていたが、何か温泉街に貢献したいという気持ちが強くあり、考え抜いた結果、釣り屋を営む事にした。

 最初はやる気に満ち溢れていたものの、いくら宣伝しても人は一向に訪れず、起死回生に土俵を設けてみるも、やはり人が来ることはなかった。


 ぬらりひょんも一緒に宣伝していたが、それでも客が増えない現状に見かね、流蔵には内緒で花梨を店に向かわせた。

 そして、花梨と流蔵が相撲を取っている場面を、血の気が多い妖怪に目撃されて相手をし続けた末に、今では温泉街屈指の人気店になっている。

 連日、朝から晩まで相撲を取っているせいか、全盛期以上の力が付いており、日々強くなっていっている。


 小ネタ①:累計で五千以上の相撲を取っているが、未だに無敗。今なら酒天しゅてん酒羅凶しゅらきとも良い勝負が期待できそう。


 小ネタ②:寝る時は川の中で。満月が出ている時は渋々小屋の中で寝ている。時折、故郷の川の事を思い出し、人知れず涙を流す事もしばしば。


 小ネタ③:実は大の人間嫌い。花梨が初めて河童の川釣り流れに訪れた時、冷たい対応をしたのはこの感情が強くあったせい。


 好きな物

・相撲

・キュウリ、川で釣れる魚

・ぬらりひょん

・花梨

・川を泳いでいる時

・故郷の仲間


 嫌いな物

・花梨以外の人間

・重機の音

・みるみる内に濁っていき、埋め立てられていく川の光景を見た時の記憶

・駅事務室の見張り番(相撲ができない為)




 馬之木ばのき 牛鬼 温泉街初期メンバー

 『18話-2、外見で損をしている、優しい牛鬼』より登場。


 牛鬼牧場を営んでいる妖怪。

 獅子舞ししまいやなはまげを彷彿とさせる表情で、湾曲した二本の角が、頭にかぶっている麦わら帽子から突き出ている。

 人間みたいに二足歩行をしていて、背中からは六本の蜘蛛のような足が生えており、時折、その足がカサカサと動いているせいで、異様な不気味さを醸し出している。

 現世でひっそりと牧場を営んでいたが、動物が増えすぎて放牧が困難になり、ぬらりひょんに声を掛けられて温泉街へ移り住んできた。


 不気味な見た目のせいか、赤ん坊だった頃の花梨が牛鬼に囲まれるや否や、ギャン泣きして牛鬼達を困らせた。

 その騒ぎを耳にして更に牛鬼が集まり、もはや収拾がつかない事態となる。が、一時間もしたら花梨は慣れたのか、牛鬼達に抱っこされても笑っていたという。

 しかし、大人になってから初めて牛鬼牧場に訪れると、やはり不気味な外見に畏怖いふしてしまい、ゴーニャと共に体が固まってしまった。


 だが、慣れた今では良き常連客となっており、ゴーニャと一緒になって牧場内を散策し、馬のブラッシングや羊の毛刈り。牛の乳搾り体験をして、動物達と触れ合っている。

 牧場内には販売所が設けられていて、様々な種類の牛乳、ソフトクリームはもちろんのこと。豊富な数の加工食品が売られており、全てが産地原産とあってか非常に美味。


 小ネタ①:花梨は週一でこの牧場に訪れ、色々な物を購入しているが、なぜか牛乳だけは大量に購入している。


 小ネタ②:見た目こそは不気味であるが、外見とは裏腹に心優しく、誰にでも温かく接してくれる。しかし妖怪の子供にはよく泣かれているので、本人達も見た目を気にしている模様。


 小ネタ③:基本、この牧場から外に出ることはない。牧場内にも天然の温泉が多々湧いているので、動物達と一緒に温泉を満喫している。


 好きな物

・牧場にいる動物達

・ぬらりひょん

・鷹瑛、紅葉、花梨、ゴーニャ

・バーベキュー

・動物達が赤ちゃんを産んだ時


 嫌いな物

・動物に寿命が迫り、弱っていく様を眺めている時

・妖怪の子供に泣かれる事

・動物同士が争いごとを始めた時

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