文様
第十二話
「破門だ」
言われた言葉は冷たかった…。
反論するすべもなく、家の前まで連れていかれ、扉を閉められた。
家の中にはもうはいれないきがして、何気なく学校に向かって足を向けた。
そのままなんとなく歩き出す。
こんな時こそ、覚醒できたらいいのに。覚醒できたら道が開けるのかも…。そういえば、自分で覚醒する方法を考えたことがない。
覚醒しそうになるときは、何かに熱中して…。そうだ。熱中しているのだ。今熱中できそうなものは…お母さんの豹変の理由を考えること。
なんでお母さんは…そこまで考えて、ため息をつく。お母さんはちゃんと理由を言っていた。あの文様の描き主が術か何かの書き方を間違えて、わたしに決まりを破らせたのだ、と。そんなことを言われても、いきなり納得できるわけじゃないけれど…。
「莉子!どうしたんだ?」
後ろから声をかけられて、慌てて振り向くと爽が立っていた。
「な、なんでもない。」
「そんなわけないだろ。それはなんだ。」
うしろから、ユネラクルが顔を覗かせる。わたしの手を指差しているのを見て取って、慌てて手を隠した。
「隠しても無駄だぞ。」
「どうせ信じてもらえないし…。」
「その辺な模様がある時点で信じる。」
「…」
結局、わたしはすべての事情を爽たちに話してしまった。
「その『描き主』が文様を書き間違えたからそうなった?どこがおかしいんだ?」
「最初から意図してやったんだ。」
ユネラクルが断言して、爽が不思議そうな顔をする。
「なんでわかるんだ?」
「線が曲がっているところがないだろう?」
「たしかに…。」
「莉子はこの文様が書かれたときのことを覚えているのか?」
「覚えてないよ。多分私が小さい時に書かれたんじゃないかな。」
「莉子が双子の存在を聞いたらそんな対応をされたんだろう?双子が本当に存在しているんじゃないか?莉子が言ったことが的確だったから破門されたんだ。」
「確かに…。私に双子がいるの?なら、その子も文様を描かれているのかも。瞳孔が大きくなるクセは、文様のせいのはずだし。」
「ならどこに住んでいる可能性が高い?探すのは難しいか…?もしかして、その文様どうしで居場所がわかったりする事はないのか?」
「文様にそんな特殊能力があるのなら、だけど。ないと思うな。」
『あったら楽なのに』
「え?」
聞き慣れた爽の声のはずなのに、やけに響いて聞こえて、思わず顔を上げた。
「えって…。どうした?」
「今の爽の声、変じゃなかった?」
「俺の声?さっきからユネラクルばっかり喋ってるのに…?」
「…わかった。莉子、お前の特殊能力は、人の心の声を聞くことなんじゃないのか?」
「え…?」
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