第十話

「違う…。わたしじゃないっ!」

自室にもどって、呆然としながら呟く。私のわけがない。だって…。

ひとつだけ…。ひとつだけ違うところがある。

髪の色が違う。私の髪は茶色ががっているけど、の髪は黒っぽい髪にピンクが少し光って見える。

本当に見間違いにしか見えないほどの違いで、周りの光によっては私も天才少女も普通の黒髪に見える。

でも、あんなに似ているのは流石におかしい。何か裏が…?

1、私に似た姿で推理をし、私に濡れ衣をきさせようとしている

2、単に似ているだけ

3、その他

まともそうな理由が思いつかない。

2は多分ありえないし、1だとしても、わたしは怨みを買うようなことをした覚えはない。したとしたら…。たぶん、覚醒しているときのこと。でも、さすがに怨みを買うようなことをしたことを忘れるなんて、ありえない。そもそも例外はあるが、覚醒している時のことはだいたい覚えているんだ。

4、前世で何か

思いついた四つ目をノートに書き留めてから、自分でも馬鹿らしくなってため息をつく。

前世って…。そこまで考えないといけないほど自体は深くないと思うのだが。というより、そうであってほしい。流石に前世は専門外だ。


憂鬱すぎてベッドに手足を投げ出した。ふと思いついて、4、と書いてあるところに書き足してみる。どうせ見当はずれなんだから、なにを考えたっていいはずだ。

4、前世で何か

↑①前世で仲が悪かった誰か

②前世での行いの返り討ち

③前世の私からの忠告

…。③なら、『自分の子孫から』と言ったほうが理屈が通るのかもしれない。

だとしたら…。私はあの事件のせいで何か大ごとに巻き込まれる?いや、巻き込まれるところだった?


頭を振って、軽く考えを払いのけようとして、ふと手を止めた。子孫という言葉に軽く引っかかりを覚える。

「血が繋がっているから似てる、とか?」

瞳孔が大きくなるのがわかったー覚醒モードだ。


私のは兄弟はいない…はず。もしいるとしたら?

限りなく妄想に近いけれど、妙に納得できるものがある。兄弟なら覚醒の癖が同じなのもありえるし、姿が同じなのもありえる。

「…双子?」

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