第八話

なんだかクラスメイトが私を遠巻きに見ているのは気のせいだろうか…。

「気のせいだよ!」

爽が即答する。そこまで即答されると逆に納得できる。

「そうだよね。このクラスには、私以上の変人がたくさんいるもんね。」

さりげなく爽を横目で見たけれど、爽は気づいているのかいないのか、全く反応しない。



「びっくりしたぞ?突然倒れるから、心配するじゃないか。まあ…その様子だと、大丈夫そうだな。」

先生が本当に心配そうに聞きにきた。

…決して大丈夫なわけでもないんだけど。今でもまだ、めまいがする。

「…早く水を飲みなさいっ!脱水症状にもほどがあるわ!」

私が運び込まれてきた瞬間、先生にさけばれた。そんなに驚くほどみずをのんでいないわけでもないのに…。まあ、せいぜい24時間ぐらいなんだから。瞳孔が変になっているときは、このぐらいなんのことない。

「そ、それは、莉子だから大丈夫なんじゃ…。」

ミウラが後ずさりをしながらおそるおそる言う。

「私も普通の人間なんですけど。」

冷たい声で言ってやると、ミウラが逃げ出した。

なにがそんなに怖いんだか。

「久しぶりにやらかしたな…。」

頭上から呆れごえが投げかけられた。

「なによぉ…。」

ノロノロと首をあげると、超がつくほどイケメンな顔。…それだけはみとめよう。

だからって、性格の良し悪しを判断しないように。アルフは性格が悪い。ずる賢い。とにかく嫌なやつだ。

「一回しか知らないくせに、何言ってるんだよ。」

爽が心底嫌そうな顔で、私の気持ちを代弁してくれた。

「中学の時、一回だけ見たことあるからって、偉そうに言うな。」

爽に続けて言うと、アルフは肩をすくめる。

「こんなの、一回見ただけでも言えるレベルだろ。それとも、これがよく起こることだとでも?」

「うっ…」

「ふん。自分で墓穴を掘りやがって。」

一生の不覚。こいつに口で負けるなんて。

「そんなにいつもあることなの?」

委員長が腕組みをしてこっちを見ている。アルフに釣り合いそうな黒いストレートの髪の美少女だけど、遠慮というものがない。ズバズバ言いたい放題言ってくれる。

「そんなによくあることじゃない!」

叫んだら、教室が水を打ったように静まりかえった。

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