第七話
「リコ…今日、変だよ!」
「私のどこが変?そもそも、本当の私ってなに?いつもが変なんじゃなくて、今日が変なのだという確信はあるの?」
「…リコっ!」
ミウラが後ずさって周りをキョロキョロと見渡す。何がおかしいのかさっぱりわからない。
「どうしたんだ?なあ、何してんの?」
急に爽が聞いてきたので、私は状況を淡々と説明する。
「ははは!それでミウラがひっぱりまわされたのか?莉子らしいな。ミウラ、莉子って、時々覚醒するから。止めようとしても無理だから、悪いけど付き合ってあげてくれる?」
保護者ぶって説明する爽を睨むと爽は肩をすくめた。
「莉子、一旦落ち着けって。」
爽が私の瞳を覗き込んで、医者がやるように私の目の前に影を作る。
「…にしてもすごいな。暗かろうと明るかろうと全然瞳孔の大きさ変わらないし。お前、新種なんじゃないか?ホモ・サピヘンスとか。」
「ホモ・サヒエンスって…」
ミウラが横で吹き出す。
「何よ。人を動物みたいに!」
「あ、やっと正気に帰った。」
ニヤッと笑った爽を見て、ようやくはめられたことを悟る。
「ほら、もう瞳孔も正常だ。」
もう一回影を作って爽が頷く。医者の真似事をしたいだけのようにも見えないことはない。
「ねむ…」
急に眠気が襲ってきた。そういえば、昨日はろくに寝てない。
「ほら、正気に戻しておいてよかっただ…」
爽の声を最後まで聞かず、足元から崩れ落ちる。
厳密に言うと正常に戻ったわけじゃない。瞳孔が小さくなっただけだから、相変わらず暗くても明るくても瞳孔の大きさは一緒だし、瞳孔が小さくなると言うことは、取り入れる光が少なくなる…すなわち、周りが暗くなると言うことを意味している。
私の場合、といっていいのかどうかわからないが、正常に戻った場合、極端に暗くなるので人間の本能的に眠くなるのは仕方ない…
私は初めて旭ヶ丘高校でこの状態に陥り、私の本性がクラス全体に知れ渡ることとなった。
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