第二話

私たちが体育祭の準備に追われている中で、変わり者の一人・安代が登校して来た。長い髪をなびかせ、練習をしている私たちの間をすり抜けて自分の席に座る。そのまま、足を組んで読書し始めた。

「…安代の趣味ってよくわかんない。」

ミウラが安代が読んでいる本を覗き込んでため息をつく。

『大学数学全書』なんていう、見ただけでクラクラしそうな名前が書いてある。

「そうか?この本はまあまあ面白いぞ。」

さらりというユネラクルに頭痛を覚える。


結局帰る前までに学校にきた生徒は、クラス40人中20人。サボりだということは全員承知だ。

長すぎる通学路を歩いていると、前からカメラを持ったレポーターらしき人物が走って来た。私の前まできて、立ち止まる。

「すいません!あなた、本条莉子さんですよね?お話を聞かせていただいて…」

「私は、あの推理事件には何一つ関連してないので。」

そういって、スタスタ歩き出すと、リポーターはニヤッと笑みを浮かべた。

こういう商売を長いことやって来た人の、闇のある笑み。

「そう言われてもねぇ?写真に写っている人物はは君以外に考えられないよ?少し話をしたらすぐ終わるから。」

「…」

言い返す言葉がない。実際、推理をしたという女の子は、本当に私そっくりなんだ。観念して、取材に応じようか…。

「おい!おまえ、何してんだ!」

きゅうにこえをかけれて、私もリポーターもビクッとする。この声は…、爽だ。

「お前なぁ…。」

爽がリポーターを睨みつけた。

「本気でこいつが犯人だと信じてるのか?」

私を親指で指してリポータをどやす。私は穴があったら入りたくなった。まるでヤンキーだ。こんな奴が幼地味だとは決して思われたくない。

「こいつがそんなに頭がいい訳ないだろ?いつも赤点とってる俺よりも頭が悪いんだぞ?授業中はいっつも寝てるし、先生に当てられようが、怒られようが、ずっと狸寝入りするし。それに…」

「そ、爽。それ以上言うな。」

聞いてる自分が恥ずかしくなって来た。

「なんだよっ!」

一見爽がキレたように聞こえたが、爽の指が素早く動いたのを察知して、ハッとした。爽はまず、唖然としているリポーター指差した後、私の家の方を指した。この二つが意味していることは?

私は家の方に向かって、全力で逃げ出した。

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