散歩

能無し芳一

第1話

知らない街を散歩していた。


散歩は知らない道を歩いている時の方が楽しいので、よくわざと迷って、どこかしらの駅に着くまで散歩したりする。


適当に歩いていたら狭い路地に入ってしまった。人がぎりぎりすれ違えるくらいの幅。


両側とも塀で、これは袋小路に入ってしまったかと思い、引き返そうかと思ったら、若い女の人の後ろ姿が目に入った。


あぁ、人が歩いてるならこの先どこかしらに繋がっているのだろう。と思い、引き返すのをやめた。


女性は狭い道なんかで後ろから足音がしたら怖いだろうと思い、コホン、と軽く咳払いで存在を知らせてからさっと女性の横をすり抜けて前に出た。


そして1分ほど歩いたところで、突き当たりに到着した。


そう、やはりこの道は袋小路だった。


あれ、じゃあさっきの女性はなんでこの道を…?そして振り返った。そこには誰の姿も無く、ただ歩いてきた道が続いているだけであった。

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散歩 能無し芳一 @toumeina

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