1-15【コソコソ隠れずに出てこいっ!!】
☆ファイター
商店街を抜け、森の中に入る。目を閉じ、意識を整える。ふと気づくと、夜明けが近づいてきてるようだった。
「コソコソ隠れずに出てこいっ!!」
ファイターは大声で叫ぶ。その声に反応はなく、しばしの間沈黙が広がる。代わりに風を切り、何かが飛んできた。
まっすぐ飛んできたそれを、ファイターは避ける。それは一本の弓矢だった。ファイターは満足そうに笑い、その矢を飛んできた方に投げ飛ばす。
その矢が木に刺さる音が聞こえる。時間を置き、今度は何十本の矢が飛んできた。ファイターは大声で笑いながら、その矢を避けながら、走り出す。
「俺はファイターだ!お前はアーチャーとお見受けする。さぁ、血湧き肉躍る闘争を行おう!」
返事の代わりに矢が飛んでくる。ファイターはそれを叩き落としたり、受け止めたりしながら、確実に進んでいく。
そして、見つけた。ファイターは弓が放たれた場所にたどり着く。そこにいたのは、赤いウェディングドレスをきた、魔法少女がいた。
「お前がアーチャーか。さぁ、ここからが本番だ。コソコソと、遠くから狙い撃ちなどせずに、なに」
「何言ってんのよ!……私は負けるわけにはいかない。あんたみたいな化け物、真面目に相手する気なんてないわよ」
アーチャーの声と同時に、彼女は弓を構える。しかし、この至近距離、当たる訳などなく。ファイターは弓を蹴り上げる。
そのまま姿勢を低くして、アーチャーの腹に拳を突き刺す。アーチャーは口から唾を吐き、飛ばされる。
ゴロゴロと転がり、アーチャーは木に背中を打ち付ける。こほっと咳き込むのを見て、ファイターはため息を吐く。
「つまらんな。戦う価値すら見出せん……やめだ、やめ」
「……っ!?そ、それは、だめ……!!」
「……なに?」
アーチャーは立ち上がる。それは、覇気があるわけでもない、まるで何かに怯える小動物のようだ。
弓を構え、放つ。一連の動作を、ファイター見てから避ける。その矢を真っ二つにおり、道に投げ捨てる。
「っく、くそぉ!!」
「やめろ。つまらんと言っているだろう。あまり見苦しいことをするな」
「うるさいっ!わ、私は、生きるために殺さないといけないの!」
「……はぁ」
ファイターは駆け出す。アーチャーの弓を避けて、そのまま彼女のクビに手刀を落とす。とんっと軽い音がして、アーチャーは地に伏せる。
「一度眠れ……まぁ、起きるまでは、一緒にいてやろう」
ファイターの言葉は聞こえているのかわからないが、アーチャーはそのまま眠りについたようだ。
思わぬ事態で時間が過ぎてしまいそうだ。早く強者と戦いたいというのに。ファイターはもう一度ため息をついたのだった。
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