第十三話「修了式のその後」
みんなで楽しくおでかけしたり、いかにも青春なことをしていたらもう高校二年生も最終日になってしまった。毎年思うのだが、修了式が終わってから始業式までの間の期間は何年生になるのだろうか。二・五年生だろうか。そもそも、学年という概念がその期間にはあるのだろうか。
年度は四月の一日で替わるのに、学年の境が四月二日であるのを疑問に思うのと同じような気持ちになりながら電車に揺られ登校する。
今日もまたおそらく鳥海さんに絡まれるのだろう。
教室に入るといつもより早く来たのか数名人がいた(鳥海さん含む)。
二年の終わりに早くくる理由というものはイマイチ分からないが、きっと何かしらあるのだろう。僕はそんなことは気にせず読書に勤しむとしよう。
案の定というべきか、鳥海さんは僕に話しかけてきた。この間は楽しかったね、とか、そういった世間話である。
と、そこへ杉原が到着である。
「よおお前ら。筋肉痛とかねぇのか?特に八野、てめぇだ。」
「残念ながらございません。」
「チッ」
おい、舌打ちがモロに聞こえたぞ。せめてもう少し隠そうとしろよ。
さて、無事修了式が終わり下校中である。何故か隣には鳥海さん杉原高井さん村田小向さん、そして、そして、そして――
――楠山妙教諭が居る。
仕事はどこへやら、平然と六人の横を歩いている。
今、まずい飲み物代表伊○衛門スパークリングドライwithゆずを口にした。
今、伊○衛門スパークリングドライwithゆずを道端に吐き出した。
今、残った伊○衛門スパークリングドライwithゆずが入ったままのペットボトルをゴミ箱に捨てた。ポイ捨てしてないだけいいか。
今、鳥海さんはもったいないとでも言うような目をゴミ箱に向けつつちらっと僕のほうを見た。でも僕はその処理が正解だと思う。
そして楠山妙教諭は別の自動販売機から普通のお茶を仕入れてきた。選ばれたのはやはり○鷹であった。取り残されたのは、伊○衛門スパークリングドライwithゆずだった。あれは取り残されるべき飲み物だと僕は思う。
そして我々六名+一名は、ファミレスに入った。それぞれ飲み物やデザートや食事を頼み、適当に雑談を始めた。
僕の隣に鳥海さん、その隣に楠山妙教諭、その隣は窓。向かい側に村田、その隣が小向さん、そして隣は高井さん。最後にテーブルの脇に杉原だ。
杉原のハブられ感が尋常じゃないが、それは置いておいて。
「それでは、来年から受験生ないし就活生の皆様!かんぱーい!」
と、受験生でも就活生でもない楠山妙教諭が乾杯の挨拶をかけた。
だから、なんであんたはいるんだよ。
「先生!質問!」
お、鳥海さん、いいぞ。
「なんでこのファミレスなんですか!!」
そこじゃないと思います先生。
「いや、近いからいいかなぁなんてね。」
ところで、僕は一度も誘われた記憶がないのだが、何故メンバー入りを果たしているのか、疑問である。
疑問だらけなこの謎の打ち上げ(?)の中、鳥海さんはチラチラ僕のほうをみてくる。
なんやねん、なんか文句でもあるんか。そして、どうやら楠山妙教諭はその僕をチラチラ見ている鳥海さんをチラチラ見てるようであった。わけわからん。
と、楠山妙教諭が鳥海さんの脇をつつき始めた。くすぐったかったのか、鳥海さんが応戦する。
そして、最終的に鳥海さんは僕に寄りかかりながら楠山妙教諭に無い胸を揉まれるというとても悲惨なことになった。
それをとてもうらやましそうに見ていた杉原についてはまた別の話だし、胸を触りたいなら圧倒的にお前の隣に居る人のがいいと思うぞ、うん。別に、ぺったんこではない、触ればたしかにふにっとはするけど、でも、絶対お前の隣に居る人のほうがいいと思うぞ。
しまった、全然関係ないところで熱くなってしまった。
ちなみに、村田小向さんの二人は別に空気なわけではなく二人でイチャイチャしている。あとで聞いた話によると、二人は付き合っているらしい。なるほど確かに仲がいい。
まあ、それはいいのだが。人がどんな恋愛をしようが、自由だと思っている。僕はしないが。
漸く片半身にかけられた体重がなくなったかと思うと、今度は楠山妙教諭が餌食になっていた。ちなみに、
楠山妙>小向桃香>高井由香>鳥海みゆき
と胸囲格差はこんな風になっている。鳥海さんは触ったので分かる。前の三人は杉原やらが話していたことなので、正直よくは知らない。
そんなこんなでわけのわからないファミレスでの打ち上げが終了し、帰路についたときであった。
楠山妙教諭に呼び止められ、
「気付や!!!」
と叫ばれた。何を気付けというのか…。
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