第二話「はじめてのともだち」
僕に友達ができた。何を言っているのか分からないと思うが、僕も何を言っているか分からない。
なんて心の中で考えてポルナレフしていたのだが、なんか、自分で悲しくなってきたのでやめた。
事の発端は数日前、最近買った本を読んでいるときだ。
「あ、その本、面白いよね。」
なんて声をかけてきた奴(仮に男子Aとする)がいた。
「ああ、うん。面白いよね。」
なんて話をしているうちに、その男子Aと仲良くなり、そのまま話していると男子Aの友達男子Bが話に加わって…。
なんてやっていたら立派な友達ができていた。
男子Aは名を村田茂と言い、吹奏楽部らしい。なかなかに大人しい。読む本がなかなか一致していて、話していて楽しい。人間関係面倒とか言ってたが、やっぱり好きなことについて話せる友人が居るのはいいものだ。
男子B、杉原良。サッカー部らしい。村田とは対照的で、活発系である。サッカー部のくせに本を沢山読んでいるようで、私の知らない本を沢山紹介してくれる。
なんて、三人で盛り上がっているとだ。
「あ、そうそう村田。明日の部活無しね。」
なんて鳥海さんと話していた女子二人のうち細いわりに胸があるほうが村田に話しかけた。
「いや時と場合を考えろや。」
「いやだって忘れちゃうんだもの、仕方ないじゃない。」
確かに、思い出したときに言わないと結局言えず面倒なことになることは間々あるな。仕方ねえや。
「あれ、その本。」
唐突に僕の持っていた本を指差しておもしろかったよね、なんていい始めた。
「いやー、まさか最後に」
「まってまってまってまって最後まで読んでないんだ言わないでくれ。」
懇願とはまさにこのことなのだろうか。あまり日本語は得意じゃないからよくわからん。いや、外国語はもっとダメなのだが。
「ああ、ごめんごめん。」
なんてその女子が言うと、
「八野くん、昨日その本を鞄からうれしそうに出して休み時間ずっと読んでるんだよ。まあ、ずっと本読んでるのはいつものことなんだけど。」
「わるかったですねぇ!!いつも本読んでて!!!」
と、そこまで黙っていた鳥海さん以上細い割りに胸があるほう未満な女子が口を開いて、
「そんな叫ぶようなキャラだったのか。」
などと感慨深そうにつぶやいた。
それで、一応最初に見たときにAとしたので先に書くが、鳥海さん以上細いわりに以下略な女子は名を「高井由香」と言う。高い床ではない、高井由香だ。陸上部らしい。
で、最初に見たときBにした細い以下略は「小向桃香」、村田と同じ吹奏楽部だ。
そして、我々六人は、親交を深めることとなった。
尤も、村田と小向さんはもとより深い仲にあったようだが、それはまた別の話。
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