第四話「八野、見事なぼっちと化す!」
ここ三日くらい学校で生徒と話をしていない気がする。
いや、気がするというかしていない。これは断言できる。
あの日から鳥海さんが茂みに隠れているのは見ていない。ストーカーと言われたのが気になったのだろうか。もっとこう、正面から行こう、正面から。
自分が関わるのは絶対嫌だが、他人の恋愛は応援する主義である。がんばれ。
そういえばその鳥海さんだが、どうやら陸上部のエース的存在になっているらしい。それに次いで
はてさて、鳥海さんとも話さなくなれば僕は一切人と話さない。つまり、僕は真のぼっちとなったわけである。
いや、本来友達が要らないとかそういうわけではない。何か趣味が合うとか、そういうのがなければ基本関わらないと、そういう風に決めているだけである。
一言で言えば昔のトラウマからそうなっている。
まあ、趣味の合う人が現れれば仲良くすることはあるだろうが、今のところそんなことはなさそうなので、一人読書に勤しむとしよう。
読書に勤しんだ結果、僕は高校一年生を無事にクリアすることができた。
いろんな本を読んだが、個人的にオススメなのは藤○論理先生のラブ○ートだ。なんか心に刺さったが、僕にあんな青春がくるわきゃないので…いや、女子のパンツを見るのはあったな、うん。
ってそんな話ではない。僕は見事、高校生活の1/3を終えたのである。
そして、これは修了式での話。
いつもの自動販売機で最近入った普通の紅茶を購入していると、鳥海さんがあまり容姿がいいとは言えない男に手をつかまれて連れて行かれるところが目に入った。少し面白そうだ。
学校の裏にふたりっきり、これはつまり告白だろうか。とんだ修羅場であるが、とても面白そうだ。見よう。
「す、好きです!!付き合ってください!!」
男が言った。それ、たぶん表まで聞こえるぞ。それを聞いた鳥海さんはすごい困惑の表情を浮かべつつも、
「ご、ごめんね。私、好きなひと居るから…。」
そう、きっぱりと断った。こう、なんかもっと考えてたからOKなのかやんわりことわるのかと思っていたが、どうやら単純に状況が読み込めなかっただけのようであった。
鳥海さんは都合よく僕が居るほうとは別の方向へ走り去っていった。今日は運がいいぞ。
一方フラれたほうは、膝を突いて泣きじゃくっている。制服が泥だらけになっているが、僕はそっとその場を離れた。
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