第三話「鳥海さんの目的」

 さて、先日の鳥海'sパンツの日から二日たった。ちなみに、昨日はジャージを履いていた(このことの意味することは言うまでもないだろう)。ちなみにだが、鳥海'sパンツはイチゴ柄だった。ずいぶんかわいらしいが、まあ、人がどんな下着つけようがその人の自由ではあるな、うん。

 ところで、ドク○ーペッパーがおいしく思えてくるほど不味いものしか売っていない自動販売機に普通のお茶が入荷された。これは歴史的なアレであると思う。アレとは、アレである。

 なんにせよ、僕は帰りにそのお茶を買うことに決めた。

 決めてたのだが、お茶は見事に売り切れていた。そりゃそうだよな、だって、他が世間一般で言って不味いものばかりなのだから。

 仕方ない、ドクターペ○パーを――

 チャリン。

 小銭を落としてしまった。あーっ、鳥海さんが隠れていた茂みに…ん…?

「あーっ、違うの、違うの、別に隠れてたとかそういうのじゃないから!」

ああ、そう、隠れてたのか。

「そう、分かったから、まず女性として自分の下着を最初に隠してください。あと僕の百円を取ってくれるとうれしいです。」

今日は、真っ白だった。

 いや違う、鳥海さんのパンツの柄なんてどうでもいい。また鳥海さんか。

「あーっ、はい!はい!百円!」

鳥海さんはスカートを抑えて百円玉を捕まえ僕のほうに差し出してきた。なんだろう、結局鳥海さんは何がしたいのだろう。

 葉桜の並木道を通り駅前のロータリーに出た。だいたいこの辺でいつもド○ターペッパーなら飲み終わるので駅前のコンビニでゴミを捨てることにしている。ここのコンビニは小さなわりに品揃えが僕好みで、朝食を家で食べられなかったときはよく利用している。

 ……何か視線を感じる…。

――鋭いというほど鋭いわけではない、かといって見守るような感じでもない。見つめられている気がする。

 後ろを向いても誰が居るというわけでもなく、よく駅前にあるような銅像があるわけでもない。不審な人物も居ない。ただ強いていうなれば「アトランティス帝国を探す旅をしています」というわけの分からない旗を掲げた女性は居るが。

 一つアドバイスしておきたいのは、アトランティス帝国を探すならまず日本から出ることからはじめよう、ということである。

 まあ、ほかに不審なものはない。

 ちなみに、僕が通学で利用しているのはJRだが、私鉄でも来ることができる。運賃は同じなので、別に私鉄を使ってもいいのだが、JRのほうが微妙に乗り心地がいい気がするのでJRを使っている。

 電車に揺られること20分、自宅の最寄り駅に到着。家は駅からすぐ近くで地味に便利である。

 ちなみに実家暮らしなので家事は全部親がやってくれる。人と関わらずに済むので親にはとても感謝している。


 翌日、雨がしとしとと降り、僕が一番嫌いな天気となった。傘は電車に乗ると他の人に当たってしまうので、折り畳み傘を使うことにしている。駅に着いたらすぐに水滴を払ってカバーをかけて鞄にしまう、こうすれば誰にも迷惑はかからない…はずである。

 電車に揺られ20分、学校の最寄り駅に到着。

 購買の食事に少し飽きたので駅前のコンビニでおにぎりをいくつか買った。あと、お茶も。

 校門をくぐれば女子たちが相も変わらずかしましい。まあ見事に群れを成している。雨だってのに。

 まあどっちにしても僕に関わる女子などよっぽどな物好きだ、ほぼいない。ほぼと言ったのは鳥海さんのことである。物好きだなぁ、などとは思っている。


 授業がすべて終わりさああとは帰るだけだ。朝降っていた雨は止み、空は少し晴れ間を見せている。今日はお茶が残っていると個人的にはとてもうれしい。

――お茶…、おっ、残ってる。

 お茶を買ったら売り切れのランプが点灯したので僕はとても幸運だ。

 そして、今日も鳥海さんが居ればおみくじでいう「凶」である。

――いたーっ!今日は体育着だ。部活なのだろう。

「あの、鳥海さん…?なんで毎日そこにいっつも隠れてるんです?」

「いや別に隠れてるわけじゃ…っ。ああ、もういいや!言う!好きな人のことを一目見ようとがんばってるんだけど、いっつも八野くんに見つかっちゃうね。」

「まあ、その辺は運がないねってことで。そういえば、そういうの、世間一般で言えばたぶんストーカーの部類に入ると思います。」

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