第13話 特訓!
次の日、演習場にて特訓が始まった。
今日の午前の相手は、六番隊隊長の長門佐助と、副隊長の明石美桜。二人はまじめすぎる性格だそうで、しっかりとした戦術、チームワークがある。演習場は、一瞬で都市へと変化した。両チームは離れた場所につくと対戦が始まった。
「アクティベーション!」
双方、魔法を展開させた。佐助は、黄色い粒子からできた、日本刀・播州住手柄山氏繁ばんしゅうてがらやまうじしげるを握る。美桜は、紫の粒子からできた、紫色のスナイパーライフルをとる。佐助は、走り始め、美桜は、スナイパーにとって好条件の場所を探し始めた。
一方、結衣は、目の色を赤くし、予測魔法を使って相手の動向を探る。すると、佐助がこちらに向かってくるのがわかった。地面をアウェイで蹴っ飛ばし、一気に距離を縮める。自分にフィールドをかけると、佐助もフィールドを使った。そして、お互いに剣で受け止める。だが、パワーは佐助のほうが上だった。佐助が結衣を押しきり、隙を狙う。結衣は予測魔法で次手を理解し、高速魔法で避ける。そして、そのまま佐助に攻撃を行う。佐助は、なんとか刀で止め、結衣の動きをとめる。そこを狙ってどこからか銃弾が飛んできた。音速を超える速さで、気づかないはずなのだが、結衣は、予測魔法でこれを避ける。ここで結衣が動く。
「ぽつりぽつりと水が滴る
7つの波紋が重なり
ひとつとなる
オキシダンビーム!」
七つの水柱が佐助に命中し、押し飛ばした。その間に、結衣は美桜の位置を予測魔法で把握する。そして、魔法を唱える。
「ざわめくものたちよ
灼熱の炎に焼き焦がれよ
その身を果て 塵となれ!
アパートファイアボール!」
6つの炎の塊が一斉に美桜のほうへ向かう。美桜は、フロートで逃げようとするが間に合わない。炎はビルごと破壊し、美桜は、屋上から落ちた。
「明石美桜、戦闘不能。救護班、回収急げ。」
演習場内に総司の声が響いた。これを聞いて、佐助は起き上がる。
「やるな。だが、美桜の仇は取らせていただく。」
すると、佐助の播州住手柄山氏繁ばんしゅうてがらやまうじしげるが魔粒子を集めて黄色く輝き始めた。佐助が下の方で構えをする。魔力が充填し、プラズマを放ち始めた。
結衣は予測魔法を展開し、攻撃に備える。
「中国の四海を司る竜王よ
雷鳴をならし
天空を切り裂け
龍飛剣!」
佐助の刀が結衣の剣を上にやり、そのまま空いた隙に下へ斬る。結衣は、電流で麻痺したまま、後ろのビルへと飛ばされた。ビルの壁を一枚壊し、次の壁につきつけられ、地面に落ちる。麻痺して動くことができず、佐助が来た。佐助は刀の切っ先を結衣の頭に突きつける。
「チェックメイトだ。」
そう勝利の宣言をしたところで結衣は、目を閉じた。
「リリース!」
力強く結衣が唱えると、黒い魔粒子とともに黄色い魔粒子が放たれた。それから、目を開けて立つ。結衣が佐助を押し戻して、外に出す。
「まさか自分の魔力をリリースして、俺の魔法ごと飛ばすとはな。」
佐助が再び構える。結衣は、本で学んだ、魔法を詠唱した。
「ローマの最高神ユーピテルよ」
結衣のからだが浮き始める。
「天を操り、雷を起こせ」
上空に雲が集まり、結衣の周りに風が吹きはじめ、辺りに電流がはしる。
「天使の羽を付与し」
結衣の背中に天使の翼が現れ、
「我の願いのために」
羽を羽ばたかせて天高く舞う。
「事象を支配せよ」
結衣の剣が黄色く輝く。
「インペリアル・エンジェル・スカイ!」
その瞬間、結衣は気象を操り、ものすごい速さで佐助に攻撃をする。佐助は、暴風、雷雨で視界が悪い上、立っているのがやっとだった。幾度となく、四方八方からくる攻撃を受け、ボロボロだった。
それを見ていた総司は、
「これは、やばいな。結衣の魔法が暴走している。」
観戦ルームを出ようと振り替えると葵がいた。
「どうやらやばいみたいだね。」
「そうだな。ちょうどいい、おまえも手伝え。葵は佐助をかばって戦線離脱、俺は結衣をなんとかして止める。いいな?」
「りょーかいでーす。」
葵は少しだるそうに返事をして向かった。総司も演習場に向かう。
総司が演習場に出ると、台風のように雨風が吹き荒れていた。佐助はまだ結衣の攻撃に耐え続けていた。
「アクティベーション!」
総司が魔法を展開させると、葵も展開させた。
「ソード・ターン!」」
総司の魔法の杖が刀の姿へと変わった。そして、佐助と結衣の間に入り込んで、結衣の攻撃を受け止める。そのまま、結衣を押し戻して、佐助との距離を置く。そのうちに、葵が佐助のもとへいき、避難を開始した。それを確認した総司は、結衣を見る。目を黄色に輝かせて、背中に天使の羽を生やし、嵐の中、宙を舞っている。
「これは、結衣ではないな。乗っ取られかけている。やむを得ん。結衣の身体を傷つけたくはないが、やるしかないな。」
総司は、フロートを使い結衣と同じ高度にくると、刀・菊一文字を構える。
「さあ、来い、結衣!俺が相手してやる。」
その言葉に反応した結衣は、高速魔法を使って、一気に距離を詰めてくる。総司はこれを左によけ、結衣の背後にまわり、距離をとる。そして、魔法を唱える。
「夜に桜が咲き乱れ
花びらが舞い落ちる」
結衣が距離を詰めてくると、総司もアウェイで立ち向かう。
「なんてね。少し眠ってろ!」
総司は、結衣の剣を受け流し、結衣の胸にアウェイを当てる。結衣は、それで意識を失った。総司は、魔法を解除して結衣を受け止める。嵐は止み、結衣の背中の翼も粒子になって消えた。
この対戦で、組織内に結衣の脅威が広まっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます