第12話 告白
生まれてはじめての告白を受け、私は目を大きくひらく。そして、目をあちこち泳がせていると、私の肩にある総司の手に力が入り、私をおとなしくさせる。逃げることもできず、必死になって考えた。
そういえば、私はこの人に助けられてここにいるんだっけ。あのとき、この人に助けられていなかったら、私はとっくに死んでいたかもしれない。そう思うと、私はこの人に尽くしてもいいと思えるようになった。それに、少しだけだけど、この人は私に似ている気がする。家族をなくした気持ちはすごくわかる。私は、この人と一緒ならどんなことでも乗り越えれる気がする。よくよく見れば、外見はかなりいいほうで、頭首をやっているのもあり、かなり頼りがいがある。もしかしたら、私もこの人が必要なのかもしれない。けれど、婚約をするにあたって、この人は何歳か知らないけど、私の年齢的にあと一年待たないと結婚はできないし、それに、婚約する前に私のあのことは話しておくべきだろう。
「うん。わかった。でも、その前に私の話をきいてほしい。私の過去の話を。」
総司は、うなづいて、私の肩を離す。それから、私は話し出した。
つらくて苦い思い出を泣きながら、話し終えると、総司は私の背中に腕をまわし、抱いてくれた。私はそれがとてもとてもうれしかった。うれしすぎて、また、さらに泣いてしまった。落ち着くまで総司は抱いたままでいてくれた。強くて優しい、だけど、どこか切なげな、そんな彼が私は―
―好き。
私たちは、演習場をでて、部屋に戻った。廊下を歩いている間は、手をつないでいた。すごく安心した。部屋に戻って、夜ご飯を二人で食べる。食後に私は部屋にあるバスルームでシャワーをあびた。その間、総司は私の部屋でまっていた。そして、私が寝るまでそばに座って手を握ってくれていた。
その日は、温かくて安心して眠れた。
次の日に、集会が行われ、総司が私のプライマリーへの加入と婚約について話した。私の魔法についてはふれなかった。
そして、そのあとの幹部会議にも出席し、私の地位が決まった。実質、プライマリーのNo.2になった。入ったばかりで魔法の素人がそんないきなり高い位をもらって大丈夫なのだろうか。といっても、実際は総司の指示で動くのだけど。
プライマリーは主に幹部をリーダーとした、グループ単位で動く。戦闘担当の幹部は総司と私を抜いて、11人いる。総司のグループを含めて12の戦闘部隊となる。他に情報部隊、救護部隊がある。そして、拠点は、3つあり、今私たちがいるのは山梨でそこが本部である。支部はドイツとアメリカにある。
今度に行われる作戦は、3つの拠点同時に行動する。この作戦の鍵を握るのは私だ。会議のあとから、作戦決行日直前まで、実戦に備えて特訓が行われた。私を強化するためで、相手をしてくれるのは、幹部たちだそうだ。もちろん、総司も見届け人としていてくれる。
今日は、総司から渡された本で勉強することになった。この本は、強力な魔法がまとめられたもので、これを使えるとまさに最強になれるらしい。夜遅くまでかかってその本を読み終わった。明日からは実戦の特訓が始まる。私は、これからのどんなことでも乗り越えようと覚悟した。
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