第4話

サイコロがまた8を示したとたん、目を開けられないほどの閃光が溢れ出た。

お世辞にも綺麗とは言えない、灰色の光が。


「これは……無属性魔法――――!?」


若干昔のアニメみたいに説明的なセリフを吐きながら驚く様は、どことなく滑稽で、それが余計に私の怒りに障る。


「お婆さんの仇……!!!」


その後私が口にしたのは、なぜか突然脳内に流れ込んできた言葉。

聞き慣れても言い慣れてもいないというのに、口はその言葉をどう発するのかを知っていたみたいだった。


「【神々ヴォロッソ・デン・酒宴ツァデュランシェ】」


酩酊した人々の様な影が、そこかしこに沸き始めた。ウネウネとうごめく実体のないそれは、辺りのものを文字通り消していく。


「あなた……一体何なのっ!?」

「……カタキ……カタキ…………」


どうやらその時、すでに私は平常心などとうに欠落していたみたいで。

最悪の事態に陥る前に【あの人】が助けてくれなければ、恐らく私は力に飲み込まれていただろうと、今になって思う。


そう。それは私が暴走した直後の事だ。

突然【VSセクター】が終わり、互いのサイコロが閉じたのだ。

これによりあの高慢ちき女子は九死に一生を得、私は力の暴走から一時的に救われた。


あの女はさっさとサイコロを振って逃げていった。


「大丈夫?豆佳ちゃん?」


薄れゆく意識のラストフレームに映ったのは、見覚えのある様な影だった。




「……ちゃん、豆佳ちゃん!!」


気がつくと【あの人】はどこかにいなくなってしまった。その代わりと言っては失礼なのだが、寝落ち通話していた霧宗実都きりむねみと弓熊遊歩ゆみぐまゆうほが膝枕をしていた。


「倒れてたけど、大丈夫なの?」

「……たぶん、だいじょーぶ……」


実都と遊歩の手には、それぞれ空色とクチナシ色のサイコロ。どうやら双六に参加したらしい。

彼女たちから聞いたところによれば、私は何故かぼろぼろの格好ですぐ近くの空き地に倒れていたという。


【あの人】は一体誰だったのか。

私は空き地の方を見ながら、密かに思ったのだった。


(Twitterアンケートに続く!!)

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日進月歩!地球1周双六 アーモンド @armond-tree

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