だい11わ まいほーむ

日の出港と、ラッキーは言っていた。


海の風が妙に心地よかった。

海岸線を3人で歩く。


「ここなら、将来この子が大きくなって、海の外へ行きたいって言ってもすぐに出られそうだね!」


「そうですね。なら、この近くにしますか?」


二人の意見はすんなりと一致した。


「じゃあ、建築家のプロを呼ばないとね」


サーバルの声にアードは頷いた。


バスで一旦戻り、彼女たちを呼んできた。

時間は掛かったが二人ともやる気に満ち溢れていた。


「お任せ下さいっす!匠の力で立派な家を立てるっす!」


「はい!きっと 、アッと驚くような家を建ててみせるであります!」


そうして、家の作製工事が始まった。






一方、こちらのマイホーム


「ど、洞窟の中なのだ...?」


「そうダヨ〜」


嬉しそうにフェネック改め、セネックは

言った。


「ココなら、誰にもアライさんを取られなイ...」


(時々、怖い物が滲み出てるのだ...)




3日後


「遂に出来たっす!」


「どうでありましょう!」


なんということでしょう!

海を望む陸地に高床式の家が出来ているではありませんか!


はしごを登るとダイレクトに室内へ。

上がった先には青い青い海が広がっています。天気の良い日にはごこくの土地も、薄らと望むことが出来ます。


家具職人プレーリードッグの粋な計らいでダブルベッドも!

マットレスはボス支給し、まるでロッジの様!


小さい赤ちゃんが大きくなった時の為に、庭には遊具もあるではありませんか!


匠の手によって夢のマイホームを手に入れた二人は幸せに暮らしましたとさ...





数十年後...





ラッキーの言ったようにかばんちゃんは大きくなりました。

16歳になったかばんちゃんはこう切り出したのです。


「お母さん、お父さん、僕、このパークを一人で旅したいです」


「えー、危なすぎるよ!」


「まあまあ、かばんも大きくなったんだし、過保護になり過ぎるのもどうかと思いますよ?可愛い子には旅をさせよって言うじゃないですか」


不安気なサーバルに対してアードは

肯定的だった。


「そっかぁ、もう親離れかぁ...

かばんちゃんは大人だね...」


「必ず戻ってきますよ。さばんなへ行って戻るだけですから」


結局、サーバルとアードウルフはかばんを送り出した。



かばんは一人で旅をした。

サーバルとアードに教えて貰った事を

活かしつつ、旅を進めたのだった。


そして、目的のさばんなに辿り着いた。


(今日はここでキャンプしよう...)


夜のサバンナで眠りについたかばん。


しかし、この後、予想もしない事が起きるのです。

寝ているかばんに忍び寄ったのはセルリアンでした。

セルリアンはその巨大なスライム状の体の中に、テントごと呑み込んだのです。


中にいたかばんが気づいた時は、後の祭りでした。


「な...なんで...」


そのまま、かばんは意識を失いました。




かばんが旅に出てちっとも帰ってこないので心配してサーバルとアードは一生懸命探しましたが、かばんが見つかることはありません。

二人も徐々に命のタイムリミットが近付いていました。


頑張って頑張って、探し続けましたが、願い叶わず、二人は老衰でこの世を去ってしまいました。



それからまた幾つもの時が流れ...


サンドスターの大噴火が起きました。


あの“かばんちゃん”がセルリアンに呑み込まれたのもここです。


そして、山からのサンドスターが、奇しくも、“かばんちゃん”がキャンプした場所に落下したのです。運命の悪戯か、落ちていた髪の毛に、そのサンドスターが当たりました。


そして、ヒトのフレンズが産まれました。


このヒトのフレンズ、後に“かばん”と呼ばれ、同じちほーで前世の“かばんちゃん”を世話したフレンズ、個体は別ですが、“サーバル”と出会い、このパークを

再度救うことになるのですが...、それはまた別のお話。





セネックとアライさんはどうなったかって?


セネックはサーバルと同じように年老いたアライさんを自身の体で吸収したあと

別のちほーへ向かいました。


今でもセネックはアライグマを愛でながら広い広いパークのどこかで、暮らしているでしょう....







物語はここで、お し ま い。

























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

けものふれんじゅ みずかん @Yanato383

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ