だい9わ しーぶんしゃ

ジャパリバスは雪山の近くに差し掛かりました。ラッキーから雪についての事前の説明を受けたサーバル達は...


「私寒いのは嫌だなー...」


サーバルはそう言った。


「私もですよ...」


アードも同感したようだ。


「この上には温泉宿があるんですけどねー」


キリンは独り言の様に言った。


「温泉?」


サーバルは聞き返した。


「ええ、温かいお水ですね。

タイリクさんとよく一緒に行ったものです。けど、私が出入り禁止になっちゃって...」


「何故ですか?」


アードが聞いた。


「ジャパリタイムス新たな試みとして、18禁のジャンルに踏み込もうって編集長が言いましてね、それで温泉をカメラで何枚か撮ってたらキツネの姉妹にこっぴどく叱られまして...

温泉宿を出入り禁止になったんですよ。編集長は“表現の自由の冒涜だ!”って言って、温泉宿を酷評した記事を書きましたよ。それがだいぶ前になるので、今温泉宿があるのかどうかさえ、

わかりませんけどね」


「...、編集長と会うのが怖くなったんですけど」


小声でアードが呟いた。


「確かに...。まあ、不味くなったら逃げよう...」


『ジャア、ユキヤマヲ、サケテイコウカ』


バスは雪山に向かわず、

そのまま森の中を進んで行った。




ロッジ...の中にあるジャパリタイムスにて...


『あっ...ちょっ...ダ、ダメ...//』


『ぎ、ぎんぎつ...、はぁっ...あぁ...///』


(まさか盗撮してるとも知らないでこんな恥ずかしい姿を晒すなんてなぁ...

報道機関を敵に回したらどんな目に遭うか...)


「身内同士でやるなんて堪んねぇなぁ...!」



コンコン


「失礼しまーす」


バタンッ


慌ててパソコンの蓋を閉めた。


「お、おお、キリンか…」


「編集長、お客様を連れて来ました。

サーバルさんとアードウルフさん

とかばんちゃんさんです」


二人は頭を下げた。


「や、やぁ...。よく来たね。

彼女から聞いているかもしれないが、

私がジャパリタイムスの編集長、

タイリクオオカミだ。何か問題でもあったのかい?」


「いや、文句を言いに来たんだけど...」


サーバルはそう言った。


「文句?クレームかい?なら、この紙に要件を書いて」


タイリクは紙と鉛筆をサーバルに渡してきた。


「えっ...、字?そんなの書けないよ!」


「それじゃあ残念だ。君の文句は受け付けられない」


再び椅子に座った。

そして見つめた。


(しかし、あのアードウルフ...

かわいいな、おい...)


「取り敢えず、こんなに新聞いらないから返しとくよ!」


サーバルは束をそのままに置いた。


「博士達は喜んで受け取ってくれるのになあ...」


(きっと捨ててるんですよ...)


「まあ、私らのジャパリタイムスは

読まれなくても読まれても関係ない。

事実を独自の目線で述べ読者の教養を深めているんだ。それが達成されれば、

捨てられようが構わん。ジャーナリストというものはそういう物だよ」


「なんだかよくわかんないけど...

私達に取材とかしないでね?」


「ああ、わかったよ」


そう諦めたように言った。


「今日はここに泊まっていったらどうだい?元々ここはロッジだ。

私らはその部屋の一室を借りてるだけだからね。アリツカゲラに頼めば泊めてもらえる」


「じゃ、そういうことなので、私がご案内しますよ」


サーバル達はアミメキリンと共に部屋を出て行った。


「ふぅー...」


軽くタイリクオオカミ息を吐いた。


「ハァ...ハァ...アドちゃんかわいいなぁ...貧乳美少女...あは、あはっ...

ぺろぺろしたいなぁ...ハァ...」


トントン


「あっ、編集長」


「なっ、なんだ...」


「あれ、なにか言おうと思ったんですけど...、ごめんなさい、忘れました!」


「...」


「よだれ垂れてませんか?」


「アハハ、気のせいだよ気のせい...」


急いで見えないように手で口を拭った。


「そうですか」


ガチャッ...


(あっぶねー....。

温泉盗撮させたのが自分の為だってバレたらまずいまずい...)


冷や汗を軽く拭いた。


「さて...、キタちゃんギンちゃんの

続きでも見るか…」




タイリクオオカミがとんでもない

ド変態だとはつい知らず、サーバル達は

ロッジに宿泊する事にしました。


そして、なんと、運命の悪戯か。

もう一方の変...、

ゲフンゲフン、失礼、宿泊客が同じ場所に居たのでした…。


「なんか凄い身体に...、違和感があるのだ...」


そう、アレはアライさんに

アイスティー(砂糖入り)を入れたあと、

急に気を失ったので、私は一人で彼女を

おぶって、このロッジまで辿り着いたのです。その途中、一瞬彼女を犯したいという気持ちが芽生えましたが、それを抑え、彼女と私の下着を交換するだけに留めておきました。

私の本当の性格がそうしたのか、

はたまた、裏の性格が出たのか。

突然の事で私もよくわからないままです。

ただ、ひとつ言えることは、私はアライさんが好きなのではないか。ということです。


「アライさん...」


ベットに寝転がる彼女の姿を見ると、

私の身体を何かが抉っていきます。

何でしょう。この気持ちは...


「...ダメだ」




そして...、恐ろしい夜がやって来たのです...




「...ん?ここは...」


アードが目覚めたのはなんとあの編集長のいた部屋でした。


「特別な取材をさせてくれよぉ...」


「ちょっ、何ですか!?やめてくださいよっ!」


アードはすぐ立ち上がり、部屋から出ようとした。


だが、何故か開かない。


「無駄だよ」


そう言ってタイリクはゆっくりと近づく。


「ハァ...、キミ...、カワイイね...」


(やべぇ...、コイツ変態じゃん…!)


「舐めていい?」


「いやです...」


「なんで?(殺意)」



一方...


「フェネック!?何してるのだ!?

まずいのだ!?」


「暴れないで...、暴れないでよ...」


「うっ、羽毛....」




そして、こちら...


「うわああああん...」


「ッチ、うるさいなあ…。

夜泣くの辞めてくれない?ストレスで昼も寝れないし、夜も寝れないじゃん...私はマクドじゃな...、あれ?アードは?」


アードの姿がいないのに気付く。


「ん...?水滴...?」


点々と水の滴れた跡の様なものが見えた。


サーバルはかばんちゃんを抱き抱え、その点を辿って行った。




「いやっ...!やめてっ...!」


「どうしてそんなに嫌がるんだ?」


「この身体は私の好きな人に捧げるって決めたんですっ!」


「好きな人?もしかして、サーバルかい?(あのノーブラの何処がいいんだか)

それより、一線を越えよう。

一線を越えれば北と南が一つになれるって、言われてるんだよ?」


「嫌と言ったら嫌です!

どうしてアナタみたいな変態に!」


「変態じゃない!仮に変態だとしても、それは変態という名のジャーナリストさ!さあ早くドッタンバッタンと大騒ぎしようじゃないかぁ…!」


バタンッ


警察サーバルだっ!」


「は!?」


「抵抗しても無駄だよ!

大人しくしなっ!」


サーバルはタイリクの腕を押さえつける。


「おいやめろ!」


「(かばんちゃん入れて)3人に勝てる訳ないでしょ!」


「シュバルゴ!」


アードは縄を持ち出す。


「やめろっ!何するっ!」


スマブラ紛いのことをしている一方




「ちょっ...、ホントに!」


「アライさんのことがすきだったんだよお!!」


ガチャッ


警察セルリアンハンターだ!」


「多分変態だと思うのだっ...!」


アライさんは足でフェネックに抵抗する


「ちょっと連れていきます」

キンシコウが注射針の様なものを取り出した。


「ねぇちょっと!!」


「大人しくしろっ!この野郎!」

ヒグマががっちりと、フェネックを押さえ付ける。


「先輩!早く睡眠剤をっ!」

リカオンはそう指示を出した。


「うぅッ...」


キンシコウの手によってフェネックは

深い眠りに落ちた。


「偶に発情期を迎えたフレンズか、

元から変態のフレンズかよくわからないが、しばらくセルリアンハンターの施設へ連れてゆく」


ヒグマはアライさんに説明した。


「何でもいいのだっ!もうフェネックとは絶交なのだ!」


その一言は奇遇にもフェネックの耳に届いてしまった。


(絶交...?なんで...?わたしは...

あなたをすきなだけなのに....)




「すみません!ここにも変態が居ました!」


アードはセルリアンハンターのヒグマにそう言い、タイリクを突き出した。


「いやいや。それは誤解だ!

私は取材をしようとしただけで...」


「へー、そうなんだ。じゃあこれは何?」


サーバルはパソコンの画面を開いて見せた。


「何で、裸のフレンズの写真とかがいっぱい保存してあるの?」


「いやっ!これは、ウィルスのせいで!」


「へ、編集長...?」


「あっ...」

(ま...まずい...)


「何なんですかこれは...」


「いや、その、違うんだ!違うんだよ!これには色々訳があって!」


「温泉旅館で撮影するように言ったのもこのためですかこの為ですか!?」


「お、落ち着け!話せばわかる!」


「私は編集長のこと慕っていたのに...どうして私の写真は1枚もないんですかっ...」


「そっ、それは...」

(単に好みじゃなかったとか言えない...)


「私は何の為にっ...批判を浴びつつジャーナリストとして頑張ってきたのか...」


キリンは今にも泣きそうだった。


「変態の顔なんて見たくないですっ!」


バシッとタイリクの頬を叩いた。


「っ...」


「お前も連れてく!」


ヒグマはタイリクも連れて行った。


「その証拠品は我々が回収して処分します!」


リカオンはパソコンとその他諸々を回収して行った。


どこかへ連れてかれる二人のフレンズを

受付のアリツカゲラは黙々と見つめていた。


「悲しいなぁ」


そう呟いたのである。




その後、アライさんは一人で旅に出て、

アミメキリンは“真っ当なジャーナリスト”になると、きょうしゅうに旅に出た。


サーバルとアードは、もう二度とロッジに寄らないとお互いに決めた。


「はぁ...、もう懲り懲りです」


「助けられてよかったよ...」


お互いに色んな意味で安堵したのだった。





そしてここはきょうしゅうのとある

施設...。


通称、セーフハウス


特殊な事情を持ったフレンズを隔離する施設である。


「クソッ!こんな檻に閉じ込めやがって!人権侵害だっ!私はあの有名なジャーナリストのタイリクオオカミだぞ!!!」


大声を出すが返事はなかった。






なんで...?

なんでわたしは、きらわれたの?

どうして?どうして?どうして?

あらいさん、あらいさん...


すきなだけなのに


どうして...、どうして...









こ ろ し て や る

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る