だい8わ ぺぱぷらいびゅ

サーバルとアードの二人はかばんちゃんを育てることを決意。

新居を探す為にバスを進めておりました。

辿り着いたのはみずべちほーでした。



「景色がいいね!住むには最高じゃない?」


バスの窓から身を出しているサーバルは後ろのアードに尋ねた。


「景色はいいですよね」


そう感想を口にした。


「はあうう!」


かばんちゃんは元気そうだ。


「ちょっと歩いて見てみよう!」


「あー、いいですね」


サーバルの提案でバスを止め、歩いて散策する事にした。


バスを降りて歩いているとある人物に

出会った。

木で出来た橋の欄干に座っていた。


「ねえ、何してるの?」


サーバルが声を掛けた。


「うっ...うっ...助けてくださいいい!!」


「ど、どうしたんですか?」


その様子にアードも気になり、声を掛ける。


「私ぃっ、ぺパプのメンバーのっ、

ジェンツーペンギンのジェーンっていいまずっ...」


「そ、そんなに泣いてどうしたの?」


「メンバーから追放されたんですぅ...」


片腕で涙を拭った。

二人は可哀想なので、話を聞いてあげる事にした。


「まず...、あれは昨日..、

楽屋での出来事です...

私、実はフンボルトペンギンのフルルのことが好きで...」




昨日


「ねぇ、フルル...」


「ん、なーにー?」


「私と今日ワンナイトレッスンしない?」


「えっ...?」


困惑した顔を見せた。

フルルは突然立ち上がり、

他のメンバーの元へと行った。


プリンセス、コウテイ、イワビー、そしてマネージャーのマーゲイの元へ...


「ねえ、ジェーン...」


「なに、フルル?」


「そういうのセクシャルハラスメント、“セクハラ”って言うんだよ」


冷たい目で言われた。

意味はわからないが雰囲気的にマイナスのイメージなのはわかった。


メンバーは次々に私に向かってこう言った。


プ「メンバーにわいせつな言葉を掛けるなんて!」


イ「許されるべき行為ではないね」


コ「残念だよ。君がそんな人だったとは...」


マ「有り得ない!有り得ないですよね!」


私はそう言う意味じゃないって言ったんだけど...




「ねえ、ワンナイトレッスンって何?」


サーバルは回想の途中に尋ねた。


「徹夜で練習って意味!いやらしい意味じゃないからっ!」




だけど、みんなそう批判するわ、フルルはこの人怖いだの言うだもんで...


「おまけにジャパリタイムスにも

こんな記事がっ!」


新聞紙を差し出した


「これ読めるの?」


「私も読めません」


二人は、口を揃えて言った。


「図書館より先のエリアのフレンズは文字が読めるの!

『セクハラ疑惑、PPP追放!ジェーンメンバー涙の謝罪会見』って書いてあるの!

追放も会見もしてないのにマスゴミがっ...!うっ...ううっ...

私の清楚なイメージに泥がっ...」


どうやら図書館より先のちほーは本当に文明が発展しているらしい。


「まあ、かばんちゃんでも見て元気だしなよ!」


サーバルはアードからかばんちゃんを

受け取りジェーンに渡した。


「可愛いですね...!純粋な瞳に純白の肌...、清純だったあの頃を思い出します...!」


抱きかかえたまま上下に揺らした。


「世の中は嘘と偏見で塗れてるんですよ…、見抜けるようになってくださいね...」


あやす様な言葉じゃない言葉を掛けていた。


「どーしますか、サーバルさん...」


「しょうがないねー...。助けてあげようか...」


二人はそう決めた。


「ねえ、ジェーン、PPPに戻れるように手伝ってあげるよ!」


「本当ですか...、ありがとうございます!えっと...」


「あっ、サーバルだよ」


「アードウルフです」


「お願いします!

サーバルさん、アードウルフさん!」



ジェーン案内され、ライブ会場に来た。

すると...


先程、ジェーンが言っていたメンバーが

何故かライブ会場に立っている。


座席にはカメラを構えた、黄色の記者がぽつんと一人だけ


「何ですか!?この状況!

突っ込みたい...、突っ込みたい!」


「落ち着いて!アード!」


何やら残ったメンバーは頭を下げた。

フルルの姿は見られない。

その瞬間フラッシュが寂しく焚かれる。


「本日は...、お忙しい中、お集まり頂きありがとうございます...」


コウテイが頭を下げた。


「この度はジェーンがセクハラ発言をしてしまい、申し訳ございません...」


プリンセスも頭を下げた。


「ジェーンのした行為は許されない行為です...」


イワビーも涙を堪えて言う。


「フルルさんは被害届を出しましたが、何とか和解してくれました...」


マーゲイは言った。


「ちょっと、何これ!捏造報道よっ!!」



「ジャパリタイムス記者のアミメキリンです!5人で話合いはされたんですか?」


「ええ、5人で話し合って、ジェーンは...、退職届を...、この私に託しました...」


コウテイはそう言った。


「出してない!出してないよ!」


ジェーンは遠くから抵抗した。


「なんでこんなありもしない事を?」


アードはそう疑問を呈した。


「知らないよ...」

(図書館から作風が変わりすぎてるでしょ...)


サーバルは重い息を吐いた。


「では...、今後の音楽活動については?」


「あっ、普通通りやります!」


プリンセスはそう答えた。


「普通にやるんかい!」


アードは思わず突っ込み入れた。


「これで記者会見は終わりです

ありがとうございました」


4人は楽屋に戻って行った。


「これは特ダネね!早く帰ってタイリク編集長に教えなきゃ!」


記者のアミメキリンもそそくさと帰って行った。


「さあ、作戦会議だよ!」


サーバルは三人で話し合いを始めた


「何か案ある?」


「要するに信用を失ったんですよね?

じゃあ、信用されるように何か...」


『ネェ、ジェーン』


アードの話に割り込んだのは意外にもボスであった。


『キミハ、フルルノコトガ、スキナンダロ。ジャア 、コクハクスレバイイ』


「えっ...どういう事ですか?」


ジェーンはボスに尋ねた。


『フルルガ、キミトイナキャ、ダメダト、イエバ、メンバーニ、モドレルダロ』


「あっ、フルルさんを逆に惚れさせるってことですね」


アードは手を叩いた。


(そんな事上手く行くのかな...?)


サーバルは半信半疑であった。


『カンタンナ、ハナシダ。

マエニ、“カコ”トイウ、ケンキュウシャガ、ツクッタ、“らぶじゃぱりまん”ヲ、ツカエバイイ』


「らぶじゃぱりまん?」

アードは首を傾げた。


『タベタアイテガ、サイショニ、ミタモノヲ、スキニナルンダ』


「へぇー...、じゃあ早速やりましょう!」

ジェーンは乗り気だった。


「この人本当に捕まったりしませんかね?」


アードはそんな事をサーバルに漏らした。


「捕まっても私助けないから!」




そんなこんなでジェーンは楽屋にやって来た。サーバルとアードは影から見守る。


「あの、フルル、この間はごめん。

お詫びにこのじゃぱりまんを食べてくれないかな?」


「ちょうどお腹空いてたんだ!ありがとう!」


そんな会話が聞こえた。


「あの人たち怒ってましたけど、本当に怒ったんですか?」


「水曜日にやるなんとかの説とか、

どんな反応するか観察するとか、そういった類のドッキリだって言うの?」


「いや、なんで豚がマスコットの某局なんですか...、じゃなくて、いや、言ってる事とやってる事が矛盾してるというか...」


「ストーリー構成が滅茶苦茶になるなんて仕方ないことだよ」


「今回メタ多くないですか...?」





パクッ


「ジェーン!ありがとー!大好きだよー!」


抱き着いて礼を述べた。


(よしっ、効果は覿面ね!)


そこに3人とマーゲイもやってきた。


「あっ、みんな...」


「よう」


「どうも」


「お疲れ」


「お疲れ様です!」


4人はいつもと同じ挨拶をした。


「あれ...?みんな怒ってないの?」


「ん?何のことだ?」

イワビーがじゃぱりまんを食べながら言った。


「ほらあのセクハラがどうとか...」


「ああ、アレ?一度そういう練習をやっておこうかなって思って、勝手に汚れ役に指名してごめんね」


プリンセスは笑いながら言った。


「えっ...、じゃあ...」


「えへへーっ、ジェーン、一緒にあそぼー」




「れ、練習...」


「なんか一気に興ざめしちゃったねー」


「うぅ...」


寝ているかばんちゃんが小さく唸った。






このあと、PPPのライブ公演があった。

ドッキリの様に観客は大勢いた。


「凄いですよね。あの新聞の効果が全くない」


「本当は誰も読めないんでしょ」




ライブ終了後


「なんか、チケットも要らなかったね」


「スナネコだったら、“ただの紙切れに価値を見出すなんてばからしいですよね”

って言ってますね」


そんな会話をしながら、ライブ会場を後にしようとすると...


「号外ですよ!号外!あのアイドルグループのメンバー、ジェーンに熱愛報道ですよ!なんと相手はあのフルル!」


「サーバルさん、あのマスゴミですよ」


「マス“コ”ミでしょ...?」


記者のアミメキリンはカメラを下げ、

片腕に新聞紙を挟み、コチラに来た。


「あっ、いらなっ...」


「なんですかそのフレンズ!!」


問答無用でアードウルフに新聞の束を渡し、サーバルの抱えるかばんちゃんにフラッシュを容赦なく炊く。


「ちょっと!目が悪くなる!」


「へぇー、これなんのフレンズですか?」


「“これ”じゃないよ!かばんちゃんだよお!ヒトのフレンズ!!」


「ヒト!?これは記事にするかいがありますね!」


「ちょっと勝手に記事にしないでよ!

編集長の顔が見てみたいな。

こんな滅茶苦茶な取材して!」


サーバルは少しキレていた。


(かばんちゃんに集られて少しイラついてる...)


「あー、いいですよ。私と行きますか?歩いて」


「歩きは面倒臭いからバスで!」


(あっ...、やっぱ行くんだ...)


サーバルとアードはジャパリタイムスの記者、アミメキリンを連れて、

ジャパリタイムスの編集長、タイリクオオカミに会いに行くのでした...

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