だい7わ とちょかん

バスを進めていたサーバル達は図書館の森へとやってきました...。


『ココカラハ、バスヲオリテ、ススモウ』


ラッキーの指示に二人は従う。


暫くすると看板の様なものがある。

二人は読めない。


「なんて書いてあるの?」


サーバルが後ろのアードウルフに尋ねる。


「私も知りませんよ...」


『ダイジョウブダヨ。セイカイノミチハ、シッテルカラ、ボクノアトニ、ツイテキテ』


ラッキーの後ろに付いて行くと、

図書館にすんなり辿り着いた。


ラッキーも役に立つ物だ。

しかし、辺りは誰もいる気配が無い。


「あれぇ?おかしいね。誰もいないね」


「そうですねぇ...、図書館の中行っちゃいます?」


二人は図書館の中へと入って行った。

すると思わぬ光景を目にした。

二人の茶色と白のフレンズが倒れていた。


「うわっ!アード!フレンズが倒れてるよ!」


「えっ!ちょ!大丈夫ですか!」


アードは呼び掛けた。


「...ハ、ハラが減ったので...す...」


「何か...、食べ物を...」


二人は弱々しい声でそう言った。


「あっ、ボスに頼めばじゃぱりまんを...」


サーバルがそう言ったが、二人はゆっくりと腕を付き体を起こした。


「じゃぱりまんだけは絶対に嫌なのです...」


「別の物をよこすのです...」


「え?何で?」


サーバルは聞いた。


「我々は...、島の長であり、賢いので...、そこらのフレンズと、同じ物は食べたくないのです」


「じゃぱりまんを食べるなら...、死んだ方がマシです...」


白いのと茶色いのはそう反論した。


『カナリノ、ヘンショクダネ。

ボクガ、ヨウイスルカラ、マッテテ』


「ラッキービースト...、喋れましたか...?」


「わからないです...、博士。

我々はお迎えが近いのかも知れません...」


「最後の晩餐が...、森に生えてた変なキノコになるとは...、辛い人生だったのです...、助手...」


「大丈夫ですよ!死にませんから!

いや、死なせませんから!」


アードはそう励ました。


数分後、図書館の外にラッキービーストの大群がやって来た。


「何、この数!?」


サーバルは驚きを隠せない。


『ミンナ。コノヨノナカニ、ナイモノハ、“ツクレバイインダ!”

100ネンマエ、ムジントウヲ、シュトニナルマデ、ツクリアゲタ、

5ニンノ、アイドルノ、ヨウニ!!』


その一言で一斉に電子音を奏で始める

その光景は、異様だった。


『K-7777ゴウ』


『ナンダイ、K-5671ゴウ』


『メンバーハ、4ニン、ジャナカッタ?』


『ソンナノ、ドウデモイイヨ。

ヒトハ、アヤマチヲ、オカス、オロカナ...、イヤ、ソンナコトヨリ、ハヤク、“ハツデンセツビ”、“カデン”、“ショクヒン”ヲヨウイスルンダ!』


『リョウカイ!!!』


一斉に返事をした。


『オキャクサマノ、オーダーハ!』


『ゼッタイ!!』




「なんか凄い事が始まったよ!」


感心するサーバル


「そうですね。よしよし」


アードは哺乳瓶でかばんちゃんに

ミルクを与えていた。


「アード?それいつ手に入れたの?」


「あっ、ボスにどうしてもミルクが出せないって言ったら、くれたんです」


(多分その時私寝てた...!)


「そ、その...液体を...」


「我々によこすのです...」


博士と助手は目を光らせながらアードウルフの背後に立っていた。


「ひえっ!?」



「あぁ...生き返るのです...」


「しかしなんですかこれは。飲みにくい...」


小さな哺乳瓶でミルクを飲み合う姿にアードは苦笑いを浮かべるしかなかった。


数時間工事音が鳴り響いた。


『カンセイシタヨ!カンゼンニ、

ジドウカサレタ、レストランダ!』


特に何も無かった草原にコンクリートの建物が立った。


「すっごーい!!」


「凄いですね...。所で、レストランって?」


「何か出来上がってるのです。博士...」


「腹が減ったのです。食べ物食べれるなら、何でも良いのです」


『サア、ツイテキテ』


ラッキーは四人を連れて、建物の中に入った。


『ココハ、ドリンクバーモカンビシテルシ、ナンデモタベラレルヨ』


「博士、図書館の本で見たアレを頼みますか?」


「そうですね。ハンバーグを頼むのです」


「なにそれ!私も食べる!アードもいいよね」


作り笑いを浮かべ肯いた。

(何が食べれるのか知りたい...)


暫くすると、白い、変わったボディにライドオンしたラッキーが台車を押して、ハンバーグをテーブルに並べた。


『コレハ、ヒューマンボディー...

ガッタイスルコトデ、ニンゲンノドウサガデキルンダ』


一緒にテーブルに座るラッキーが言った。

サーバル達のラッキーだ。


「ねぇねぇ、これどうやって食べるの?」


ナイフでハンバーグを刺すサーバル。


「我々は賢いので」


「食べ方を教えてやるです。お前達もテーブルマナーをわきまえるですよ」


博士と助手はナイフとフォークを手慣れたように使い、ハンバーグを口に運んだ。


「ああ!そうやって食べるんだ!」


サーバルも真似して食べ始めた。


「美味い!美味いのです!」


「久々に食う肉は美味いのです!博士!


(この二人は、何の肉を食べてたんだ...?)


アードは少し疑問に思った。


「あれ?アード食べないの?」


「あっ、いや、かばんちゃんが...」


アードの膝上にはかばんちゃんがおり、

抑えてるので両手を使う事が出来ない。


「じゃあ...」


サーバルはハンバーグを切り分け、

フォークに刺し...


「口開けて!」


「えっ...?」


「あーん!」


ぱくっ...





二人がいい雰囲気になっているのには目もくれず、ハンバーグを食べ続けていた。


「アードのやつも貰いましょう」


「そうですね、博士」


『ドウダイ、キニイッテクレタカイ?』


「気に入ったのです!次は“ピザ”を頼むのです」


「1枚ずつよこすのですよ!」


「助手、ドリンクを持ってくるのです。コーラはありますかね?」


「ちょっと見てきます」


博士と助手は久々の晩餐を楽しんだ。


「ねえ、所で博士!この子、何のフレンズかわかる?」


サーバルはかばんちゃんを見せた。


「赤子のフレンズは見たことないですが、恐らくヒトでしょう」


「たぶん、ヒトです」


「人って何処にいるんですか?」

アードが尋ねる。


「確か、もう絶滅した筈では?」


「たぶん、そうです。この世から消えました」


「消えた!?」

サーバルは目を見開き、驚く。


「あっ、でも海の外ならいるかもですね」


「そうですね」


「海の外...」

アードは海を見た事がないのでどんな物か想像が付かなかった。


「ねぇ、どこに行けば海に行ける?」


「ここから山を越えてびゅんって行くだけですよ」


「そうですよ」


先程から助手は便乗ばかりである。


「ねえ、アード。2人で話したい事があるんだ。いいかな...」


「あっ、じゃあここを出ますか」


サーバルとアードは席を立つと博士は懐からチケットを取り出した。


「こんな立派なものを作ってくれたお礼なのです。今でも使えるかよくわかりませんが、アイドルグループぺパプの

チケットをあげるのです」


「あっ、ありがとうね」


一応サーバルは礼を述べた。

そして、店をラッキーと共に出た。


「海の話をしたら寿司が食べたいのです」


「そうですね。ボス、寿司を!」


一方、厨房では...


『ココノリョウリハ、スベテレイトウ

イチブノリョウリハ、テンカブツガ、タップリダ。

アノフレンズ、ヤサイヲタベテナイ。

シヌノハチカイネ。

ヤハリ、ニンゲンハ、オロカ...』


『K-5671ゴウ!キミツジコウノ、ロウエイハ、ヨセ!!』






二人はバスの車内で話をした。


「ねぇ、この子の為に、ヒトを探してあげるべきかな…」


サーバルはアードに尋ねた。


「でも、人がいるとは限らないし、

この子の親だって...、いるかもわからないし...」


「...」


サーバルは黙って考え込む。


「ねぇ...、ボス、赤ちゃんって大きくなる?」


『ソウダネ。チャント、セイチョウスレバ...』


サーバルは目線をアードに向けた。


「一緒に...、かばんちゃん、育てない?」


「私はどっちでもいいですよ...

サーバルさんと居られたら...」


「えぇっ、それどういう意味?」

ちょっと照れくさそうにサーバルは笑った。


「サーバルさんといたら、どんな事でも、上手く行きそうな気がして...」


そっとサーバルに肩を寄せた。

そして、二人は顔を見合わせる。


「サーバルさん、口にソース付いてますよ」


「アードも...」


『...』


後部座席でそんなやり取りをしているのを聞いたボスは黙って、バスを降り、

距離を置いた。


『オキャクサマヲ、ダイイチニ...』





夜空には万遍の星が輝く。

かばんちゃんは深い眠りに付き、

そして二人の“親代わり”のフレンズは



「サーバルさん...、だいすきです」


「アード...、だいすきだよ」











一方この二人は...


「何か、図書館の横に建物があるのだ!」


「入ってみようか?」




「満足なのです...」


「サイコーの楽園なのです...」


博士と助手は座席で仰向けに寝ていた。



「ここは何なのだ?」


アライさんは博士に尋ねた。


「ここはれしゅとらんなのです...

好きなものを大声で言えばでてくるえすよ...」


「すごいのだ!フェネックも一緒に食べようなのだ!」


「えっ、あっ、うん、いいね!」


2人は席に座った。


「何か食べ物知ってるのだ?」


アライさんは尋ねた。


「多少は知ってるよ。ラーメンとか」


「食べてみたいのだ!

ラーメンが食べたいのだ!!」


アライさんは大声で叫んだ。


「ちょっと飲み物取ってくるね」


フェネックは席を立った。



グラスに飲み物を注ぐ。

そして、笑みを浮かべながら…


サーッ...(※砂糖です)




「お待たせー。アイスティーしか無かったけど、いいかなぁ?」


「なんでもいいのだ!ありがとうなのだフェネック!」




ゴクッ...




「あれ...」


「ん?大丈夫?」


「何か急に頭がくらくらして...」


ドンッ


テーブルに突っ伏してしまった。


「意外と早く落ちたねぇ...。

よいしょっと...」


フェネックはアライさんを抱きかかえ、

店を出た。




「助手、何か良からぬ事がおきそうな気がするんですが...」


「そうですね。まあ、大丈夫じゃないですか?」


助手は適当に返事をした。


「何故アイスティーを飲んだ人間は倒れるのでしょうかね?」


「さぁ...?何かのビデオに影響されてるのでは?」


「ビデオ...?」


「いや、何でもないです...」




このあとアライさんとフェネックの姿を見たものはいない。

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