だい6わ へーげん
二人が連れてこられたのはへいげんちほーにあるお城...
なんかナワバリに勝手に入ったとかで
拘束されてしまった。
正座してるように言われた。
「一体何が...」
「どうなるんだろ...」
二人は小さい声で呟きあった。
二人を連れてきたフレンズは襖を閉めた。
「おい...、お前ら...」
低い声に驚き、二匹は背筋を伸ばした。
「うぇえええ...」
因みにかばんちゃんは先程から泣きっぱなしだ。
あの二人に事情を話したら、ライオンに任せようとか言ってた。
「やぁー、ようこそー。初めましてー。ライオンだよ。よろよろー」
さっきまで胡座をかき偉そうにしてたのにえらい態度の変わりように逆に怖くなった。
「んでさ、君たちなにしに来たの?」
「図書館へ向かってたんです」
「この子がなんのフレンズか確かめる為にね!」
サーバルは抱いていたかばんちゃんを見せた。
「うおー。すごいねえ。こんな小さいフレンズもいるんだね」
若干棒読みでそう答えた。
「かばんちゃんって言うんだ」
「ちょっと見せてよー」
そう言ったのでサーバルはかばんちゃんを渡す。
「おー、かわいいね。でもなんで泣いてるんだい?」
「わからないよー...」
「さっきあなたのお供の方が急に止めたから...」
「あー、めんごめんご。
オーロックスとオリックスはしばいとくから、まあそれはいいとしてさぁ...
ちょっと相談乗ってくんない?」
ライオンは二人に近づいた。
「ヘラジカっていうさヤツが合戦だ合戦だって、ウザくてヤバいんだわ。
だからさ、しょうがないから、なんかで合戦しようと思うんだけどさ、
チャンバラとかねー、危ないしっていうかダサいから平和的な合戦方法無いかなーって思ってんだけどぉ」
「あっ、それなら、かばんちゃんを笑わせた方が勝ちにすればいいんじゃないですか?」
アードがそう提案した。
「おお、いいねぇ〜!それで行こう!
じゃあヘラジカ呼んできてちょ〜」
「ええ...」
サーバルはそう声を漏らした。
(ビーバーさんの時と同じで人使いが荒いフレンズ多くないですか...)
所変わってヘラジカの屋敷
「おお!ライオンから!」
「だから...、来てくれるかな?」
サーバルはヘラジカの目を見てお願いした。
彼女は1度目を閉じて、考え込む仕草をした。
「いいよ!早速やろう!」
話を分かってくれて助かった。
平原に両者が集まった。
右と左で別れて見合っている。
「あの...、サーバルさん。一つ問題が...」
アードウルフが耳打ちをしてきた。
「なに?」
「かばんちゃん...、寝ちゃったんですけど...」
「えっ?そんなの起こせばいいでしょ?」
「はあ?」
「どうせ勝負付けないと先に進めないし...。多少の犠牲は仕方ないよ...」
あまり乗り気はしなかったがここまで呼んでおいて、唐突に中止にするのも、申し訳ない。
そっと呼びかけて起こした。
「うぁー...あぅ...ああああん...」
案の定泣き始める。
「ゴメンね、かばんちゃん...」
「泣き止ませた方が勝ち!ライオン側からだよ!」
サーバルはそう言った。
先陣切って出てきたのはアラビアオリックスだった。
「...」
不慣れな様子で、かばんちゃんを見つめる。
(どうすればいいかわからない...
ライオンさんの手前、試合放棄するのは
まずそうだし...、取り敢えずなんかしなきゃ…)
「ほ、ほーら...、お、玩具ですよ...」
取り敢えず自分の持っていた槍を渡す。
「うあああぁぁぁあん!」
だが直ぐに、放り投げてしまう。
放り投げた槍は不幸にもアードに向かった。
「ひぇっ!」
反射神経の良さで回避する。
寿命は1分縮まった。
「危ないよ!次!」
今度はヘラジカ側。
出てきたのはハシビロコウだった。
「・・・・」
「うああああああぁぁぁぁ!!!」
急に豪雨が襲いかかったかのように
泣き叫び始めた。
「じっと見つめられたら怖すぎるよ!
次!」
サーバルがすぐにストップを掛けた。
ハシビロコウは黙って体育座りをして落ち込む。
「元気出せよ!!まだ子供にははやかったんだ!!」
ヘラジカは呑気にそう言った。
「えっと、人数が多いから、またヘラジカサイドから行くよ」
「ハシビロコウさんのカタキは私がとるですぅ!」
張り切って出たのはヤマアラシだった。
(こういう時は歌で...)
「よーいこーはー...」
「はいストップストップ!」
またしてもサーバルが止めた。
「棒読みすぎる!トキよりはマシだけど何か思い出すから次!」
「えっ...、でも...」
「でもは無し!」
ヤマアラシはハシビロコウと同じように体育座りで落ち込む。
「元気出せよ!アイツの耳が腐ってるだけだ!私は好きだぞ!」
「はいはい!そこ!審判への侮辱行為!アルマジロは失格!」
「えっ、まだ何も...」
「失格は失格!」
アルマジロも2人と同様に落ち込む。
「元気出せよ!失言は誰にでもある!」
「あんただよ!」
アルマジロは今までの不安が爆発した様にそう答えた。
「ちょっと判断厳しくないですか...?」
アードもそう言った。
「いいのいいの。みんな子供の世話の大変さわかってないから!次はオーロックス!」
「お、おう...」
(そうだ...、なんか記憶あるぞ…
赤ん坊はミルクが好きなんだ...)
「ちょっと!ストップストップ!
ミルク使用は最強過ぎるからダメだよ!」
「は?」
「失格って言ってるでしょ!」
サーバルの理不尽な判定により、ライオンとヘラジカの一騎打ちになった。
まずは、ライオン
「ほーら、よしよーし」
かばんちゃんを高く持ち上げたり、
くるっと回ったりする。
泣き声は止んでいた。
「きゃうう!」
という、笑い声が聞こえた。
「私の勝ちだね」
ドヤ顔をヘラジカに見せつけた。
「...、そうか。でも私も笑わせる自信がある」
そう自信満々に答えた。
ヘラジカはかばんちゃんを受け取ると
ライオンと全く同じ動きをしたのだ。
無論、かばんちゃんは無邪気に笑う。
「おい、ズルいじゃないか?」
「ズルなんかじゃない。審判、どっちの勝ちだ?」
ヘラジカに尋ねられたサーバルはこう答えた。
「引き分けだよ。ライオンも勝ったし、ヘラジカも勝った。おあいこだよ」
「それって...」
ライオンは息を飲んだ。
「あのさあ、勝ち負けとかどうでもよくない?そういう一番にこだわってるから、争いが生まれるんだよ。
かばんちゃんを見てみなよ。
ライオンの時も、ヘラジカの時も、
同じ様に笑った。それでいいんだよ
みんな同じで」
二人はサーバルの目を見つめていた。
「それもそうだな。一番になったからって何の意味もないよな」
ライオンはそう言った。
「たしかに」
ヘラジカは肯いた。
「という訳で終わり!」
サーバルとアードとかばんちゃんは
バスに乗り平原を後にした。
「何か、良いこと言ってましたよね…」
「んー、そうかなぁ...」
サーバルは天を仰いだ。
「何か頭使ったら眠くなっちゃったよ」
昼なのにサーバルは欠伸をした。
「かばんちゃんは私が見てますから、
寝てください」
「ありがとうね、アード」
サーバルはそう言うと仰向けになり、アードの太腿を枕替わりにして寝た。
(もう...、しょうがないですね...)
少々呆れつつも、ちょっぴり嬉しかった。
そのままバスは図書館へと向かっていった。
一方二人は...
「ここは何なのだ?」
「フレンズの気配がないね」
勝敗にこだわる事をやめたヘラジカ、
そしてライオンは一日中お互いの城と屋敷で引きこもる様に暮らし始めたのだった。
「なーんにもないのだ...」
「なーんもないねー」
ヒュウウウウと風が平原を通り抜けて行った。
「....」
「....」
二人もただただ、黙るしかなかった。
「あの...」
あるフレンズが二人に話しかけた。
「私、シロサイって言いますの。
この辺に、ヘラジカという強いフレンズが居ると聞いたんですが...」
「知らないのだ」
「そうだね」
二人はそう返答した。
「ああ、そうですか。ありがとうございます」
シロサイはその場から立ち去って行った。
「・・・先に行くのだ」
「はいよー」
平原には、誰もいなくなった…
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