だい5わ こあん
バスで旅を続ける一行はこはんちほー
に近付いていた。
「あっ、サーバルさん」
アードウルフがかばんちゃんを差し出す。
何で差し出してきたかは、サーバル察しづいた。
「ねぇ...、アード言ったよね?
私ばっかりやったら、口ん中突っ込むて」
「冗談だと思ってました」
「ていうか、この前もこの前も私がやったじゃん!いい加減自分でもやりなよ!」
「サーバルさんの方が手馴れてるからいいじゃないですか」
「慣れとかそう言う問題じゃなくて
経験してみろって私は言いたいの!
わかる?この母親の大変さ」
「そう言ってますけど、サーバルさん
寝かしつけたことありますか?ご飯を食べさせたことあります?全部私がやってるんですよ?交換の一つや二ついいじゃないですか。全て私に押し付けるつもりですか?」
「全部やれとは言ってないじゃん!」
二人が口喧嘩をしていると...
ドンッ
「...!?」
二人は前を見た。
「何じゃこりゃあああっ!?」
右側で声がしたので振り向く。
「お、おれっちの家が....」
「あっ...」
「や、ヤバいですよ...」
そのフレンズは近付いてきた
「お前達っすか!後に付いてくるっす...」
『アワ...アワワワ...ワワ...』
ラッキービーストを取られたサーバル達は仕方なく彼女の後をついて行く事になった。
「すみませんでした...。返してください...、ボスさん...」
正座をし、アードウルフは謝る。
「イヤっす」
頑なに拒否した。
「ゴメンね...、態とじゃないんだ。
何でもするからさ...、許してよ...」
「ん?今なんでもするって言ったっすね。オレっちはアメリカビーバーっす
あの家は丹精込めてオレっちが作ったす。手短に言うと、あの家を元に戻すっす」
「えぇ...」
「私達が...?」
「やらなかったら、もっとひどい事になるっすよ...」
「やりますやります...」
「う、うん」
アードウルフとサーバルは頷いた。
「そう言えばまだ名前を聞いてなかったっすね」
「私はサーバル」
「アードウルフです...」
ビーバーは控えめに指を指して尋ねた。
「それは?」
「かばんちゃんだよ」
「それをよこすっス」
二人は顔を見合わせた。
もちろん、二人は短く頷いた。
「どうぞ」
アードウルフはビーバー渡した。
「ボス、ビーバーにかばんちゃんを預けるから、やり方を教えてあげて」
『マカセテ』
「どうしてボスが喋れるんっすか...
それにやり方って何の...」
「かばんちゃんは赤ちゃんなんだ。
だから、世話してあげないと。
私達はちゃんと家を作るからさ、その間見てくれるかな?」
「小さい子と一緒だと
危ないですから...、ね?」
「しょうがないっすね…。
じゃあ、やる事を教えるッスよ。
森に行くと、オレっちの知り合いの
プレーリードッグがいるっす。
プレーリーから木材を貰って来るっす。イイっすか?」
「やりますね!やりますやります!
行こう、アード!」
「そうですね!サーバルさん」
二人はかばんちゃんをビーバーに託し
そそくさと森へ向かった。
「...何でこの子を預けたんっすかねぇ」
『...コウカンノ、ヤリカタヲ、オシエルヨ』
森に来た二人はプレーリーを探しておりました...。
「サーバルさん...、あ、あれ...」
アードは指をさした。
その先には土の中から、2本の足....
「ああっ!死体だよ!」
サーバルは声を上げた。
「ふぇっ!?し、死体!?」
反射的にアードも驚く。
「むふっ!!むぐふふっ!!」
「あの...、死んでないですよ…」
冷たい目線をサーバルに向けた。
「あっ、そうなんだ」
素っ気なく返事をした。
仕方なく某湖で発見された一族の死体の
様な格好をしているフレンズを救出した。
「いやぁ、助かったであります。好きでこうなってる訳じゃないんでありますけど...、あっ、プレーリーと申し上げます!」
「サーバルだよ」
「アードウルフです」
「サーバル殿!アードウルフ殿!まずは、プレーリー式の挨拶をっ!」
「えっ?」
プレーリーは構う事無く、サーバルに顔を近づけ...
「んっ!?」
「はああ...」
アードは思わず息を飲み込む。
「これが、プレーリー式の挨拶でありますよ!」
「そ...、そうなんだ...」
サーバルは顔を赤くし、不思議な感覚に襲われた。
「じゃあ、アードウルフ殿も...」
「あっ、待って!
私達ちょっと急いでるんだ!だ、だからさ、あの...、ビーバーに頼まれ事してて!」
「そうでありますか?サーバル殿
急いでるんだったら、早くしないとダメでありますね...」
「そうなんだ!プレーリーも手伝ってくれる...?」
「ああ、お安い御用でありますよ!」
「さ、早くしないと日が暮れちゃうよ!アード!」
「あっ...、えっと...、は、はい!」
予め切り倒し、綺麗になった木が山積みになっていた。
プレーリー曰く、家計画の長期間を見込んで、ビーバーと二人で予備を幾つか用意していた。とのこと。
運びやすくなっていたのが良かった。
三人であの川辺まで第1段の木材を運ぶと...
疲れ切った表情でかばんちゃんを抱える
ビーバーが居た。
「はあ...はあ...、なんなんっすか....」
「どうしたの?ビーバー」
サーバルはその異様さを不審に思い尋ねた。
「このかばんちゃんって...、凄く大変っすね...。家を作るより大変っすよ...。二人はこんな大変なことをこなして来たんっすね...。正直、感動したっす」
「は、はぁ...」
サーバルは肯く。
「家はバスがぶつかったら壊れますが、
壊れても、元に戻せるっす...
だけど、この子は、一度壊れたら元に戻らない...」
片腕で目を擦りながら、そう言った。
「こんな大変な事をこなすあなた達に
こんな雑用は任せられないっす!
オレっちが間違ってたっす!
もう、許すっす!」
「えっ、許すって...」
アードウルフは恐る恐る尋ねた。
「家はオレっちとプレーリーで直すっす!あなた達は先に行くっす!
オレっちはあなた達を尊敬するっす!」
いきなり感動されたので二人は恐縮してしまった。きまりが悪かったので、
必要な木材だけ運ぶと言って、それだけ手伝った。
全て運び終えるとボスとかばんちゃんを
返してもらった。
「ホントにいいの?」
「いいでありますよ。サーバル殿!
ビーバー殿もそう言ってるでありますし」
「気をつけて行くっすよ!」
「あ、ありがとうございます...」
二人の苦労さを痛感したビーバーは
そのまま見送ってくれました。
ただ、サーバルとアードウルフには
少しモヤモヤした事が...
「あのさ...、さっきは、その...、
キツく言ってゴメンね」
「いえ...、私も、サーバルさんにいつもセルリアン倒して貰って、苦労かけさせてるし、人のこと言えないなって...、こっちこそ、すみませんでした...」
二人は顔を見て沈黙した。
そして、アードは一番気になっていた事を尋ねた。
「あの...、どうして、プレーリーさんの...」
「あっ...、いや...、なんか...、
“して欲しくなかった”って言うか…」
「サ、サーバルさん...」
「なんて言ったらいいか...、難しいんだけど...」
「...そう言えば、私達まともな
“挨拶”してませんでしたよね?」
サーバルは黙ったままアードの
純粋な瞳を見つめた。
「...します、か?」
「...そう...する?」
サーバルは寝たかばんちゃんを起こさぬよう、ゆっくりゆっくり彼女の近くに寄った。今ある自分の語彙力では形容できない感情が湧き上がってくる。
そのまま、二人は目を閉じ幸せなキ...
ドンッ!
「えっ?」
二人はまた顔を前に向けた。
「ボ、ボス...」
「ま、まさか...」
『アワワワ...、ワワワ...』
「おい、待てい!」
「お前達、ここを我が主、ライオン様のナワバリと知っての事か...」
見知らぬフレンズ二名により、
二人は更なるトラブルに巻き込まれるのであった...
一方、その頃
「あっ、そこの君達!この家作るの手伝って欲しいっす!」
偶々水辺の近くを通ったアライさんは
ビーバー達に声を掛けられた。
「アライさん達のことなのだ?」
「そうみたいだねぇ...」
「いいっすか?」
アライさんはフェネックに耳打ちした。
「また、厄介事に巻き込まれるのは
ゴメンなのだ」
「そうだね...」
意見は合致した。
「ごめんなさいなのだ、アライさん達は今急いで...」
「...、プレーリー」
「何でありますか?」
「一応挨拶するっす」
プレーリーは肯いた。
「アライさん殿!プレーリー式の挨拶を!」
近寄って来たプレーリーの行動に、不穏なものを感じたフェネックはすぐにアライさんとプレーリーの間に入った。
右腕で近づくプレーリーの頭を抑える。
「何するでありますか!」
「....」
無言で重圧を掛けた。
「家を作るか、挨拶するか選ぶっす」
木材の上に座りそう、条件を突き出す。
「アライさん、家を作るよ...」
「フェ、フェネック!?」
こうして二人は徹夜して家を再建する事になるのでした...。
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