だい2わ しゃんぐるちほー
サーバルとアードウルフの二人は、夜のジャングルを歩いておりました…。
夜行性の二人はそれ程眠くはありませんでしたが、人間の体、少し疲れが出てきました。
「アードウルフ、ちょっと休もうかぁ」
「う、うん...」
看板のある所で一旦休憩する事にした。
たまたまサーバルがじゃぱりまんを持っていたので、それを二人で食べようとした。
「あの...、この子には?」
「あっ、そっか...。カバはダメって言っていたけど...」
「丸ごと...、じゃなくて、細かくしてあげればいいんじゃないですか?」
「そうだね!そうすれば、喉に詰まらないね」
サーバルはアードウルフの提案に乗り、
じゃぱりまんの一部を小さくちぎった。
サーバルがかばんちゃんを抱きかかえ、
優しく起こした。
「うあぁぁ...んぅぅ...」
「ほら、かばんちゃん!ごはんだよ!」
小さくちぎったじゃぱりまんの皮をちょっとずつ口に近付けた。
小さい歯で噛むような仕草をする。
「良かったぁ〜、食べてる食べてる!」
サーバルはホッとした。
「はぁ...、意外と大変ですね…」
「ホントだよ...、あっ、どうしよう
カバ確か...」
あの光景を頭に思い浮かべた。
「“ミルク”って必要なのかな?」
「なんですか、それ?」
「あっ、知らないんだね。カバが見せてくれたんだ。
えーっとね、ここをね...」
エアでやる様子を見させられた。
(えっ...、そこから出せるの...?
えっ、えっ...)
「とりあえずこの上に着てるやつを外さないといけないんだけど...」
(...私の小さいけど...、出るのかな...?)
そんなこんなで二人が悩んでいると茂みから物音がした。
「あっ、ボス!」
「あいあっ!」
かばんちゃんは突然声を上げもがく。
「どうしたの?」
サーバルはかばんちゃんを地面にそっと置いた。
両手両膝を付き、ゆっくりとボスに近づいた。
『ハジメマシテ、ボクハ、ラッキービーストダヨ』
「え、え、しゃ、喋った!?」
「しゃべったあああああ!!」
フレンズの二人が驚く一方でかばんちゃんはラッキーを触る。
『キミハ、ニュウヨウジ、カナ。
オカアサン カ オトウサンハ、イルカナ』
「はあぁ...」
次の瞬間、驚く事が起きた。
「あっ!かばんちゃん!ボスを食べちゃダメだよ!」
小さな両手でボディを抑え、ラッキーの
左耳に噛み付いている。
『ヤ、ヤ、ヤメ...』
「もう、かばんちゃん!ダメでしょ!」
サーバルはかばんちゃんをボスから引き離した。
「うわあああぁぁぁん....」
「ごめん、でも、ボス可哀想だし、
ほら泣かないでよぉ...。
ごめんねぇ、ボス」
『キミガ、コノコ、ノ、オカアサンカ』
「えっ?」
サーバルは目を丸くした。
「は、はぇっ!?も、も、もしかして
さっきかばんちゃんが噛んでたから壊れたんじゃ...」
アードウルフが憶測を口にした。
『メヲ、ハナシチャ、ダメダヨ』
サーバルは良いことを思い付いた。
「ねぇボス!赤ちゃんの育て方知ってる?」
『ボクニ、シラナイコトハナイヨ。
スコシ、ジカンハカカルケド、パークセントラルノ、メインサーバーニ、アクセスシテ、インターネットノ、ジョウホウヲ、アツメテミルヨ』
「なんかよくわかんないけど、お願い!」
『オキャクサマノゴヨウボウニ、
スグ“ノー”トハ、イワナイコト。
シハイニンニ、イワレタコトダヨ』
そして、ラッキービーストは電子音を
奏で、情報を集め始めた。
『マズハ、ゴハンハタベサセタカナ』
「うん。じゃぱりまんをあげた」
サーバルはそう言って肯く。
『アカチャンニハ、ヤワラカクシタモノカ、ボニュウヲ、アタエナイトイケナイヨ。パークニハ、タイチョウノワルイ、フレンズヨウノ、トクベツナジャパリマンガアルカラ、ソレヲヨウイシヨウ』
「特別なじゃぱりまん?ありがとう、ボス!」
『ソレカラ、ヒツヨウナモノガアレバ、ソノツド、アドバイススルヨ』
意外にもボスが協力してくるということなのでこちらとしては大助かりだ。
それからかばんちゃんを寝かしつけるが、これまた時間が掛かった。
「ハァー、疲れたぁ...。寝よう」
「そうですね...」
二人もかばんちゃんの世話で疲労が溜まり夜であるが眠った。
翌朝
「うぇぇぇえええん...」
かばんちゃんの泣き声で目が覚めた。
「なに...もう...」
サーバルは目を擦りながら目覚めた。
「サーバルさん...、あの...」
「なに、アードウルフ...」
「何かちょっとにおいません?」
「ん...?」
鼻は耳ほど万能ではないが、何となくわかった。
「たしかに…、ボス...」
『オムツヲ カエル ヒツヨウガ アルネ。ヨウイスルカラ マッテテ』
しばらくし、ボスが頭の上にカゴを乗せてどこかからやってきた。
『サア、トリカエルヨ。ボクノイッタトオリニ、ヤッテネ』
「なんだろうね...」
「さ、さぁ...?と、取り敢えずサーバルさんやってみてくださいよ」
ボスの言った通りに行った。
その事後。
「あ...あはは...はは...」
「サーバルさん...、か、顔死んでますけど...」
「アードウルフもやってみなよぉ....
すっごーい....」
「見てました。い、イヤです」
「は?」
急に態度をサーバルは変えた。
「ねぇ、もう一度言ってみなよ...
この大変さわかるよね...
次にヤダって言ったら、たとえ友達であってもかばんちゃんの■■■をアードウルフの口の中に突っ込んでやるからね?」
「微笑みながら怖いこと言わないでくださいよ!余計怖いですよ!命が縮みますよ!!」
「次はあなたの番だから...
もし、逃げたりしたら...
あは、あははは!!!!!!」
爪を光らせながら、高らかに笑った。
「怖っ!!!」
なんやかんやでジャングルの森を進み川岸に出た。
「ボス、この川どうやって渡るの?」
『ケンサクチュウ...、ケンサクチュウ....』
「ボス?なんか白いのが出てるよ?」
「サーバルさん、見てください」
白煙が立ち上がってるボスを無視しアードウルフは指を差した。
「わーい!たーのしー!」
何やら川の方で楽しそうに遊んでいるフレンズがいる。
「ねぇー!ごめーん!川渡りたいんだけどー!!」
「わかった!ちょっとまってね!」
直ぐにそのフレンズはこちら側の川辺まで来てくれた。
「こんにちは!私、コツメカワウソ!
この川渡るんだったら、ジャガーちゃんに乗せてもらいなよ!」
「それっていつ来るの?」
「待ってれば来るよ!」
曖昧な返事だった。
「あっ、挨拶が遅れたね、私はサーバル」
「あ、アードウルフです...」
「で、この子はかばんちゃんだよ。
この子が何のフレンズで誰がお母さんなのか調べてるんだ」
「へぇー!」
かばんちゃんは珍しく眠っている。
気まぐれである。
「すごーい!かわいー!」
「かばんちゃんがかわいいのは当たり前だよ!」
「うあっ...」
かばんちゃんはゆっくり目を覚ました。
(大丈夫かな...)
「ほーら、いないいない、ばー!」
コツメカワウソは自然の流れであやし始めた。
「へぁ!はぁ!」
「すごい!かばんちゃん喜んでない?
才能あるね!コツメカワウソ!」
「色んな遊び考えるのが得意なんだ!」
「そうなんですか」
3人でそう言う話をしている間後ろの川をジャガーが...
「あっ!!乗せて乗せて!!」
「しかし今日は珍しいお客さんがいるね...」
微笑しながらそう言った。
「かばんちゃんのこと?」
「うん。もっと私達と身長が同じで
赤い服を着て帽子と背中に鞄を身に付けてる子が乗って来ると思ったよ」
(け、形容が具体的すぎません...?)
アードウルフは内心でそう思った。
対岸に辿り着くとボスが
『バスヲミツケヨウ』
と言った。
勿論4人はなんの事かわからない。
ボスに導かれるまま森の先に進むと黄色いバスの車体があった。しかし、ボス曰く運転席が無いとダメという事がわかった。
川岸で集まりどうするか話し合った結果、かばんちゃんの面倒をアードウルフが見て、サーバル、ジャガー、コツメカワウソがバスを持ってくる事になった。
対岸に渡り3人で捜索すると、簡単に見つかった。
しかし、問題はこれをどう向こう岸まで運ぶかだった。
「ねぇー、これどーするのー?」
コツメカワウソがそう尋ねるとジャガーは片腕を腰に当て困った顔をして頭を掻いた。
「んー...、全然わからん。多分これそのまま持ってったら沈むよなぁ...」
「じゃあ、私の得意なジャンプで行けるかどうか!」
「あっ、ちょ...」
ジャガーが声を掛けた時には遅かった。
バシャーン!
「うみゃっ!?この川深いみゃみゃ...」
「サ、サーバルちゃん!?」
「サーバル...無茶しやがって...」
「ちょっと!!勝手に殺さないでよ!!誰か助けて!!溺れる!溺れる!」
という訳でグダグダとまあ、ありまして、結局どうすることも出来ず悩んでおりました...。
一方対岸では...
「美味しいですか?」
「あうう...」
アードウルフは楽しそうにボスの持ってきたご飯をかばんちゃんにあげていました。
「あの、皆さんどうされましたの?」
3人の元へやって来たのはあるフレンズがいた。
「あっ...君は?」
サーバルは尋ねた。
「インドゾウですわよ」
「ねぇ、ちょっと手伝ってよ!このバスをね、向こう側に運びたいんだ。
インドゾウって...、泳げる?」
「多少は泳げますよ?」
「おお、そうか!なら...私とインドゾウ、コツメカワウソが下からバスを支えながら泳いで渡ればいいのか!」
ジャガーはそう思い付いた。
「いい考えだね!早速やろ!」
「ねぇ、私は!?」
サーバルは蚊帳の外であったが...
ジャガーの思い付いた作戦の通り行った。
時間は掛かったものの、無事にバスの運転席を対岸へ渡すことが出来た。
「ありがとうな、インドゾウ」
「どうもね!」
「いえいえ...」
インドゾウと別れた。
そして運転席をこっち側のバスとくっ付けた。
「これがバスですか...」
「すげえな」
「ねぇ、動かないの?」
3人はバスを見つめた。
『ウゴカスニハ、デンチガヒツヨウダネ。コウザンノ、ジャパリカフェデ、
ジュウデンデキルヨ』
ボスはバスから電池を取り出した。
「あぁ...、じゃあ、私が行ってきますね。ジャガーさん、かばんちゃんをいいですか?」
「大丈夫だよ」
アードウルフはかばんちゃんをジャガーに預け、ボスと共に高山へ向かった。
「うぅ...うぇぇぇ...」
かばんちゃんが泣き始めた。
「ねぇ、コツメカワウソ、泣いちゃったんだけど...」
「お腹すいてるんじゃない?」
「お腹が空いてるのか...、そうだ、
ミルクをあげよう」
「なにそれなにそれ〜?」
またこうして一人、パークで母性に目覚めたフレンズが増えたのだった...
バシャバシャバシャバシャ
「ハァッ!ハァッ!私を忘れないでよっ!」
一方サーバルはクロールをしながら
必死に対岸へと向かうのだった...。
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