けものふれんじゅ
みずかん
だい1わ しゃばんなちほー
ある日さばんなちほーで昼寝していたサーバルはあるモノを見つける...
スー...、スー...
気持ちよく木の上で昼寝をしていると
(うぇえええ....)
その声で、目を覚ました。
「なになにー?」
耳を立てて、その声の方角へとサーバルは駆け始めた。
木の根の下、そこに居たのは...
「わああっ!」
小さな子供だった。
黒い髪をして、茶色い目で
薄い青色の毛布に包まれており、
薄いピンク色のベビー服を着ている。
不安そうな目でこっちを見た。
「あなた、しっぽとみみのないフレンズ?フレンズにしては小さいね!
私はサーバ...」
「うぇぇぇぇぇ!!」
「な、泣かないで!!
ほら、えーっと...、ど、どうすればいいのかな...」
(言葉わかんないみたいだし...
あっ、そうだ、カバなら知ってるかも!)
「ねぇ、キミ!いっしょにお出かけしよう!えーと、名前どうしよー...。
かばんちゃんで!」
「うぇぇぇぇぇん...、えぇぇ...」
「泣かないでよー...」
サーバルは赤ん坊のかばんちゃんを
抱いてカバの元へと走るのでした。
サーバルは水場へとたどり着いた。
「ねー、カバいるー?」
「なあにい?」
水面からカバが出てきた。
「ねぇ、この子知ってる?」
「あうっ...あうぅ...」
「この子って、赤ちゃんじゃないの」
「えっ、かばんちゃんだよ?」
「そうじゃなくて、うまれてきたばかりの子供を赤ちゃんって言うのよ。
サンドスターで赤ちゃんがうまれるのかしら...」
「はうあぁ...、うぅ...」
泣きそうな声を出してる。
「その子いつも泣いちゃうんだ...
なんでだろう...」
「お腹が空いてるんじゃない?」
「あっ、そっかぁ。じゃぱりまんを...」
「ダメよ。ノドに詰まらせちゃうかもしれないじゃない」
「ええっ、じゃあどうすればいいの?」
サーバルは首を傾げた。
「ミルクなら飲むかもしれないわ」
「えっ、何それは」
「取り敢えず見てなさい、サーバル」
例の顔でサーバルはその様子を見た。
カバはその“やり方”を手慣れたように行った。
(うわぁ...、
(いろんな意味で)すっごーい...)
「ほら、大人しくなったでしょ?」
「ウッ...」
「変な声出したよ?大丈夫?」
「何かに食べた後はこうしなきゃだめなのよ」
「詳しいね。カバ」
「母性本能ってヤツよ...」
「何のフレンズかわかる?」
「図書館に行けばわかるんじゃないかしら?その子のお母さんもわかるかも」
「わかった!ありがとう!」
「セルリアンに気を付けるのよ!」
「ん?あそこにいるのは...?」
サーバルはその姿をみて駆け寄った。
「おーい!アードウルフ!」
「はえっ!?」
急に呼ばれたアードウルフはビクッと
体を震わせたあとこちらを振り向いた。
「あっ、なんだ...、サーバル...
脅かさないでよ...」
「ごめんね!ところで何してたの?」
「ちょ、ちょっと散歩しに...」
「そうなんだ。ねぇ、私と図書館へ行かない?」
「えっ...?」
アードウルフは目を見開いた。
「この子の世話、ひとりでやるの大変なんだよね」
サーバルが差し出したその子をアードウルフは上から覗き込んだ。
「わぁ...、か、かわいいですね...」
少し嬉しそうな反応だった。
「なら良かった!アードウルフ!」
「えっ、ちょ...」
「かばんちゃんの世話お願いね!」
「は、はい!?えっ、私、まだ何も...」
「がいど〜、がいど〜、さばんながいど〜♪」
「ちょっ、ちょっとー!!」
「あははは!」
笑ってるかばんちゃんを抱きつつアードウルフは先に行ってしまったサーバルの後を追いかけた。
さばんなちほーとじゃんぐるちほーの
境にサーバル達はやって来ていた。
「うわあ...何あれ...」
「ひぇっ...」
ゲートに張り付いてるのは巨大なセルリアンだった。
「あううあう...」
妙な声を出しながら
小さな手を動かすかばんちゃん。
「あれはセルリアンって言って
こわいこわいなんですよ...」
アードウルフはそう言い聞かせた。
「アードウルフ、ちょっとやっつけて来るね」
「ちょっ、サーバルさん!?
まずいですよ!あんな奴一人で勝てるわけ...」
「平気平気!なんとかやってみるよ!」
サーバルは親指を立てた後に、
セルリアンに接近した。
巨大な目玉はサーバルを凝視する。
そして鋏のような触手を伸ばして攻撃する。
「ほら!ほら!」
機敏な動きで交わすが、一向にアレが見つからなかった。
「石がないよ!!」
サーバルが叫んだ。
「あっ、後ろですよ!」
だが、セルリアンは背中を見せない。
「ああ...、もうどうしたら...」
「うぇ...、うぇぇぇぇ....、
うわあああぁぁぁん....」
何故か急に大声で泣き出すかばんちゃん
「あぁ!もうどうしてこんな時に泣くんですかぁ...」
「あ、あれ?」
サーバルは一瞬戸惑った。
セルリアンの動きが止まっている。
あんなに執着に攻撃していたのが嘘のようだ。
「あっ、今のうちに!」
サーバルは得意の大ジャンプを決める。そして野生解放し、渾身の力を爪に込め、石を砕いた。
セルリアンは青い破片となり、星離雨散。辺りに消えた。
「やったあ!」
「今なにか聞こえて様子を見に来ましたけど...、大丈夫ですの?」
アードウルフの後ろから声を掛けたのはカバだった。
「あぁ...、えっと、まぁ...、はい」
「うわああああっ...」
かばんちゃんはまだ泣いていた。
「アードウルフ、ちょっといい?」
「あぁ...、はい...」
カバにかばんちゃんを抱き渡す。
「はいはい...、いい子ね...、よしよし...」
何度か軽く揺さぶり続けると次第に
泣き止み、眠ってしまった。
「す、すごいですね...、カバさん...」
「母性本能よ...」
(ちょっとドヤ顔で言ってるんですけど...)
「かばんちゃんのおかげで助かったよ!」
サーバルは呑気に笑っていた。
「二人共、気を付けてね?」
「うん!」
「あっ...はぁ...」
(何で私も付いてくることに...?)
「そうだわ、あなた達も“母性”目覚めればミル…」
サーバルはその言葉を遮るように
「あ!うん、わかったよ。うん。大丈夫大丈夫...」
(まさか“アレ”がこういう役割だったなんてねぇ…、たまげたよぉ...)
「そう...?ならいいけど...
ま、とにかく気を付けてね?
赤ちゃんを大事に扱うのよ?」
二人は肯いた。
カバに別れを告げ、二人と赤ん坊のかばんちゃんは“じゃんぐるちほー”へと向かうのでした...
一方、夜になったさばんなちほー
「アライさんの気に入ってた毛布が無いのだ!ぐぬぬ...!見つけるのだ!毛布泥棒め!」
「面白そーだねー。アライさん、私もついて行くよ~」
「多分...、あっちなのだ!」
当てずっぽうで指を差した。
「急いで行くのだ!」
「はいよ~」
はてさて、かばんちゃんが赤ちゃんになった世界。この二人はどうなることやら...
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